「コロナ」後の日本、遅きに失してもデジタル化を


時代刺激人 Vol. 313

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

コロナが「茹でガエル」日本を飛び上がらせるか

このデジタル化の遅れは官だけの話でない。民の世界でも起きている。かねてから「日本はイノベーションも起こせないぬるま湯の茹でガエル状態」と危機意識を強める三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光さんが最近、次のように述べた。「私は、日本が『茹でガエル』状態にあり、カエルをぬるま湯から飛び上がらせるヘビが必要だと言い続けてきた。しかし今回、日本を飛び上がらせたのはヘビでなく新型コロナウイルスだった」と。

その小林さんは現在、政府の規制改革推進会議の議長に就任したこともあり「今、日本は大変な危機だ。デジタル化推進への改革機会に変え、乗り越えることが今後につながる。ポストコロナの社会を見据え、デジタル時代をにらむ制度改革の方向性を打ち出したい」と。新型コロナがこの際、「茹でガエル」日本を飛び上がらせるのを期待したい。

デジタル化は経済社会システム改革のカギ

このデジタル化に関して、「データ・ドリブン・エコノミー」(ダイヤモンド社刊)の著作で有名な東大大学院工学系研究科の森川博之教授は、米経営学者ピーター・ドラッカーさんの「蒸気機関車が鉄道の登場を促し、鉄道というインフラ整備があらゆる産業の変革を促した」という言葉を引き合いに、「ICT(情報通信技術)がインターネット、スマートフォン、クラウド、センサなどの登場を促し、これらの普及が、新たな産業や社会制度の登場につながった」と述べている。まさに経済社会のシステム改革のカギを握るツールだ。

もちろん、デジタル経済社会化がバラ色の未来を約束するわけでない。功罪相半ばの部分がある。しかし私から見れば、間違いなく新たな社会変革をもたらす。悔しいことに米国や中国のプラットフォーマーと言われるメガ企業群の取り組みは、すごいスピードで先行している。これまでと様変わりとなるポストコロナ社会のことを考え合わせれば、日本は遅きに失したとはいえ、デジタル経済・社会化に大きくギアチェンジをすべきだ。

医療のオンライン化は遠隔地をつなぎ必須課題

人が密集することなど「3密」による新型コロナウイルスの感染リスクをどう克服するかが社会課題になってきた中で、懸案だった医療のオンライン化もその1つだ。病院での院内感染のリスクを気にする患者がオンライン上で病気診断を医師に診断を仰いだり、薬の処方を得るだけでなく、医療インフラがない地域での遠隔治療にはそれが必須だ。

これまで初診は対面診療が原則と、頑なだった厚生労働省は行政姿勢を変え、コロナ危機への特例対応ということで、オンライン診療を今春から認めた。日本医師会は「あくまでも特例措置。危機が過ぎ去れば、対面診療に戻すべきだ」との姿勢だが、ポストコロナ社会を見据えた変革の発想がないのが残念だ。

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