業界他社にさきがけて、いち早くAI技術を業務に採り入れ、ベンダーと協業しサービス化へ
株式会社ベルウェール渋谷
代表取締役会長
平野 宏
コールセンター、電話代行、テレマーケティングのパイオニアとして、契約実績22,000社以上を誇る株式会社ベルウェール渋谷。最先端技術のいち早い導入は、コールセンター業務を新たなステージへと招き入れた。
「AI開発ソリューションチームを社内に新設し、さまざまな形でAIを採り入れています。例えば、過去のデータを分析して、回答を予測していく機能が挙げられます。AIを利用して音声をテキストに変換することで、活用できる可能性が大きく広がります」
同社では2016年頃からAIを利用した取り組みをスタート。2020年を迎えて業界内にも採り入れられつつあるのが現状だ。
「AIを効率化に結びつけるためには、膨大なデータが必要です。すぐにすべての分野に生かせるわけではありませんが、条件の整った特定の用途には大きな成果を発揮しています。今後、データが蓄積するに従って、さらに精度も高まっていくと期待しています」
コールセンター業務では以前から効率化が課題になっていたという。トレンドになっているAIを活用することは、現場レベルからの求めという背景もあった。さらにビジネスは大きく広がる。
「AIを開発しているベンダーとコラボレーションして新たなシステムを開発し、サービス化を図ろうという取り組みも進めています。これはRPA(Robotic Process Automation)を活用し、従来は人がやっていたことをロボットに代行させ、作業を自動化させるものです。例えば、クライアントへのメール返信をプログラム化して、自動的に行うことができます。これにより空いた時間を使って、オペレーターは他の電話の対応や、業務の品質を高めるために費やすことができます」
さらに新たなチャネルとして定着しつつあるチャットにも活用される。
「チャットでAIを活用することで、的確な回答事例を瞬時に探し出し、即時解決を図ることも可能です。また、話題のAIを採り入れるという名目で、業務をまな板の上に置いて、業務整理のきっかけにできるという企業側のメリットもあります。今後はこれをどのようにクライアント様やエンドユーザー様に提供できるか、サービス品質を高めていけるかが肝要なところだと感じています」
同社は創業から46年という長い社歴のなかで実績を積み重ねながら、大きな信頼を築いてきた。
「当社はISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO27001(ISMS/情報セキュリティーマネジメントシステム)、JISQ15001(プライバシーマーク制度)を取得し、それぞれ更新を続けています。また、契約実績22,000社以上という数字には、多くの信頼と期待が寄せられているものと実感しています」
これから新しい生活スタイルが浸透していくことにより、コールセンターには何が求められていくのだろうか。
「クライアント様がお客様との接点をとりにくくなっているのが現状だと判断しています。コールセンターには、より高い品質や、フレンドリーな対応など、多様化した要望が求められると考えます。注文を受けるだけでなく、記憶に残るひと言を付け加えてほしい、などという取り組みも求められています」
クライアントのニーズにも変化が表れると予測する。
「新しいニーズをつかむためにコールセンターを活用することが、クライアント様のビジネス拡大につながります。コールセンターは第一線でお客様と対応します。そこには商品への要望など貴重な生の声が含まれているのです。これを正確に汲み取って、クライアント様に提供することで、次の戦略としての活用も可能になります」
同社は社内業務の変革にも積極的に取り組んでいるという。
「これまでも全社的にKPIを管理するシステムがあったのですが、従業員全員できちんと短・中・長と目標を立てて取り組むことをスタートしました。さらにKGI、KPIの管理、OKRで短期目標を回していくことにしました。これを一気通貫に管理していく仕組みを採り入れ、2020年9月から運用を始めたところです。目標を決める際には、当社に根付いたWHYの精神やHOWの精神が必要になります。最近では、目標に向かって取り組んでいくことが楽しみになっているという声も聞かれます」
これが社員のモチベーションアップに直結し、離職率の低下にもつながっているという。同社はコールセンター業務をライフラインのひとつと位置づける。大切な生命を守るためには、緊急時であっても決して止めることはできない。今後もその使命を大きな誇りに事業を続けていく方針だ。
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