大学から世界に。新薬開発で病から解放したい思いを乗せたペプチドリームとは
ペプチドリーム株式会社
代表取締役社長兼最高経営責任者
窪田 規一
東京大学発の新薬開発を手掛けるバイオベンチャーが上場した。東京大学大学院教授の菅裕明と、ペプチドリーム株式会社の窪田規一が出会い、同じ夢を共有することで誕生。創業から7年経った今、ペプチドリームは国内外の大手製薬メーカーが共同開発を熱望する異色のバイオベンチャーへと成長を遂げた。二人が共有したペプチドリームの夢とは?
原私はですね、このペプチドさんの凄さっていうのは、確かに技術面だとか、特許のプラットフォームの卓越さというのはあると思いますけれども、それだけじゃないと思うんですね。それはやっぱり自分の土俵で戦っていると。低分子化合物と、それから副作用の少ない抗体医薬というのはわかるんですが、これは大手も当たり前に、今日も明日も明後日もやっているんですね。戦っているんですね、血眼になって。
だから、そこを目指すんじゃなくてね。やっぱり自分達の専門分野をもうちょっと別なところに。別なところで戦おうと決心して、更にこの土俵の中で相撲を取ると。ゲームのルールまで自分で作ったってことですよ。これですよ。これが全てなんですね。ここまで完璧に考えられる人っていうのはそんなに滅多にいないですよ。だから私は、あの会社は只者じゃないなと思ったんですね。
つまり、プラットフォームで戦うということは、いわゆる世界中のトッププレイヤー、企業、例えばアップルだとかグーグルだとか、更にアマゾンとかですね、そういった会社がみんな使っている技なんですね。ですから私は本当に、あの会社は、いわゆるペプチドにかけた壮大な夢、その夢の実現の第二幕、第三幕というのをちゃんと考えているはずだと思うんです。社会的なイノベーション、つまり社会の仕組みを根底から変える、それだけの原動力を持っている創薬イノベーター。新たな創薬イノベーションの始まりじゃないかなと思うんですね。
蟹瀬ペプチドリームというのは、今までの製薬のこういうベンチャーとはだいぶ違うということですよね。
窪田今までのバイオベンチャーのビジネスモデルって、創薬系ベンチャー。先ほど申し上げた、お薬の種を見つけてそれをお薬にしていくというベンチャーさん。それから創薬支援系。要するに創薬、お薬を作ることを支援する、検査であるとかいろんなものをバックアップするという、そういったベンチャーさん。それから研究支援系というような、大きくは三つのカテゴリーに分かれていたと思います。
それで、私共は先ほどご紹介させていただいたように、特別な我々のプラットフォーム・テクノロジーがあります。ですから、種を生み出す、創薬を基盤技術として作り上げる技術を持っていて、それに創薬系をくっつけている。いわゆる創薬基盤技術系+創薬系ベンチャーとして考えております。
蟹瀬そういう意味では非常に基盤を抑えているだけに強い土台があるっていうことになりますよね。
窪田そうですね。例えば、今アメリカの創薬ベンチャー。ベンチャーの規模じゃないんですが、アムジェン社であるとか、ジェネティック社、あそこが20年、25年前にどうだったかというと、我々のような独自の技術を持って、そこから生み出されるシーズを薬にしていく。これをアライアンス組んだり、それから売ったり、ということを繰り返すことによって、今の非常に大きな会社になられています。ですから、我々が目指しているのはまさにアムジェンさんです。
蟹瀬なるほどね。やはりアメリカでそういうトレンドが最初にあって、それで日本である程度遅れて出てくるという感じになるんですかね。日本一で最初に行ってほしい気はありますけど。
窪田ジャパン・イズ・ナンバーワンじゃありませんけれども、それを私も願っています。
白石では、続いてのキーワードは何でしょうか。
窪田次のキーワードは、「アンメット・メディカルニーズ」。
特許ポートフォリオで新たなビジネスモデルを組み上げた窪田規一の狙う領域、アンメット・メディカルニーズ。その真意に迫る!
蟹瀬さあ、三つ目のキーワードに「アンメット・メディカルニーズ」と。日本語で訳すと「まだ対応できていない状況」と言うんでしょうかね。これは具体的にはどういうことなのですか?
窪田こちらもフリップ用意させていただきました。ここにいろいろな病気疾患がございます。例えば高血圧であるとか、それから消化性潰瘍(かいよう)、こういった部分に関しては、ある程度お薬が存在していますね。治療もまあけっこうと言っては何ですけれども、効果があると……。
蟹瀬そうですね。「血圧が高いからあなたこの薬を飲みなさい」とか「血糖値高いからこの薬飲みなさい」とみたいなことですよね。
窪田ですから、この分野はある程度満たされている部分なんです。ただ、こちらの部分。例えばエイズ、肝硬変、アルツハイマー。こういったところは的確な治療薬が存在していないという部分なのです。
蟹瀬原因もわからないといったような・・・。
窪田原因もまさにそうですね。アルツハイマーなんか未だにその原因がはっきりわかっていません。我々がお薬の開発で目指すところはやはりここです。
窪田ですから、今満たされていないお薬、そのアンメット・メディカルニーズをいかに少しでも解決できるか。これが我々の目標であり、使命だと思っています。
蟹瀬やっぱり窪田さんがこのビジネスに入られた最初の思いっていうのは、こういうところにあるような気がしますね。
窪田はい。ですから、私共はこの会社を起ち上げる時に、先ほどご紹介させていただいた菅教授と話している時に「たった一人の人でもいい、病に苦しんでいる方にありがとうと言ってもらえる仕事がしたい」と。それが我々の思いなんですね。すなわち、ここでありがとうと言ってもらえるようなお薬を提供する、それがやはり我々の夢です。本当に私事になるんですけれども、私の母親もCKDと呼ばれる慢性の腎臓疾患でかれこれ20年以上ずっと病気で苦しんでいたんですね。でも本人が本当にがんばって生活を安定させたりとかで乗り切っていたんですが、最期はやはり治療が至らなくて他界してしまったんです。ですから、そういう同じように苦しんでいる方に、ちょっとでもいいから一刻も早く何かご提供したい、お薬提供できたらというのが、本当に(我々の)思いですね。
蟹瀬ドクターはドクターとしてやっぱり仕事があって、そのドクターの右腕、左腕という意味では、このお薬っていうのは本当に大事な存在ですよね。
窪田そうですね。ですから、本当にお医者様の手助けになるようなものを開発したい、開発できるということは本当に我々の夢ですね。
蟹瀬このペプチドリームの独自技術はこれからどういう風に発展し進んでいくという風に考えればいいでしょう。
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