衰退日本を危惧する海外諸国に新・成熟社会モデルを


時代刺激人 Vol. 315

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

成長センターASEANに提示すれば日本RESPECTも

世界の成長センターとなりつつある新興アジアの中でもタイなど人口の高齢化が急速に進む国々にとっても同じことが言える。現時点で、ASEAN(東南アジア諸国連合)の国々は、高齢化のテンポが早いタイ以外には人口動態面で若手主導の国が多い。しかし、これらの国々は急速な都市化などで中間層の厚みが出てきて、経済成長をおう歌、そして新たなライフスタイル願望が高まるだろうが、いずれ人口の高齢化が進み、中国と同じ「中進国のカベ」の問題に直面する。

その点で、日本が、しっかりとした新・成熟経済社会モデルを提示すれば、これらの国々から、日本というのは学び対象となる先輩国だな、との評価を得て存在感も高まり、RESPECT(尊敬)の対象になるのでないか、と思う。

リンダ・グラットン教授が「LIFE SHIFT」で日本評価

成熟社会化が進む欧米諸国でも今やAGING SOCIETYという形で人口の高齢化に伴う経済社会のさまざまな問題に直面している。英国ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授らが長寿化に伴う人生100年時代の生き方を描いた著作「LIFE SHIFT――THE 100 YEAR LIFE」で、成熟社会におけるそれらの問題に照準を当てたところ、大きな話題になり、日本でもベストセラーになった。

教授は著書の中で、「日本は高齢者医療や年金の問題で世界の先例をつくりつつある。日本の制度を参考にしようとする国も多い」と評価、そして「世界で長寿化が進む日本は、ほかの国々のお手本になれる。社会をうまく機能させるにはどうすべきか、実証するという点でも世界の先頭に立ってほしい」と述べている。
冒頭の「日本化」という経済衰退の研究とは別に、日本は、成熟社会の先進例となりつつあるのだ。日本はこの際、新たな成熟社会モデルを示すチャンスだ、と重ねて言いたい。

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