老舗を再生!「私どもは常にお客様に新しいものをお届けする」の実行力
長瀬産業株式会社
代表取締役社長
朝倉 研二
「常に新しいものを察知する変革を会社にもたらす」。老舗商社において創業系以外から初めての社長となり、立て直しと向上を実現させた男がいる。歴史ある会社でいかに改革を進め、変貌を遂げたのか、その哲学と方策とは?
福井さて、神戸にあるナガセR&Dセンターにやってきました。こちらはバイオ関連の研究をされていらっしゃるということなのですが、どんな研究をしているのか、早速、お邪魔してみたいと思います。
1990年に設立された、ナガセR&Dセンターはバイオ関連事業を研究開発段階から手がける施設。新しい事業を創出するという役割を担っているという。
福井こちらはどんな役割を果たされているのですか?
劉微生物の一種、放線菌という微生物がありまして、それを研究対象にしてまして、いろいろな物質を作り出すという技術を開発しております。
こちらで研究されている放線菌とは、どんな微生物なのか? 研究員に話を聞いた。
仲谷一番身近なところですと、皆さんが風邪をひいたりして、病院で処方される抗生物質などの多くは、現在知られている抗生物質の約7割ぐらいは放線菌から単離(抽出)されたものだと言われています。
これまでの我々の研究で、放線菌にしか大量生産できないような物質というものが数多くあり、実際、そういったものの中には有機合成等のほかの方法では製造困難なものがあるということも分かってきています。
放線菌の研究をしている施設は国内でも極わずか。ナガセR&Dセンターでは放線菌を培養し、多くの化合物抽出に成功している。商社が作った研究所の強みはいったいどこにあるのか? 研究員に話を聞いた。
山田メーカーでは自分たちの力で製造、販売も行っていくのですが、やはり、商社の場合だと製造を行うのはなかなか困難なのですが、その中でビジネスの種を見つけて、それをほかのパートナーに提案していくというのが、やはり、商社のR&Dではないかと考えています。
福井今後の展開はどのようにお考えですか?
山田やはり、長瀬産業に入社して、商社という会社の研究部門で働いていますので、長瀬のグループ力を活用して、プラスチックや日用品といった、薬以外の汎用品の化合物をビジネスに繋げていきたいと考えております。
2017年3月期からは大学や外部研究機関との連携を強化。顧客ニーズ調査のもと、いち早くシーズを発見し、新規開発テーマを創出していくという。
白石さて、この番組では長瀬産業の今を象徴するものをお持ちいただき、進行させていただきます。今日は何をお持ちなのでしょうか?
朝倉こちらのトレハロースというものですが。
中谷トレハロース、聞きますね。おにぎりの裏に……。
白石そうですね。聞いたことはあるのですが、どんなものなのかは分からないのですけれども、これはどういった……。
朝倉これはトウモロコシなどのでん粉に酵素を作用して、作られた、今、夢の糖質とも言われる様々な機能を持った物質です。たとえば、でん粉の老化、たんぱく質の経時変化、等々を改善する機能を持っておりまして、お陰様で日本では和菓子やご飯や麺類、その他、ものすごくたくさんの分野で今、お使いをいただいています。
5年前に私ども、林原という会社をグループの中に入れました。この林原が糖質においては世界をリードする技術を持っておりまして……。
中谷もともとユニーク企業の一番、代表格のような会社ですからね。
朝倉そうですね。実を言いますと、まだ我々もまったく分かっていない効能というものがどうもたくさんあるようなんです。この可能性を秘めているということで、会社を象徴するものとして今日、お持ちした次第なんです。これから私どもが市場を開発、開拓していくというつもりでいるところです。
朝倉別の分野としましてはやはり、エレクトロニクスというところに力を入れています。ナガセケムテックスという会社がありまして、そちらが持っております材料、ケミカル等々が中心ですけれども、半導体、液晶、そのほかの電子部品、昨今話題になっております有機EL関連……、そういった部品の製造に用いられる材料に今、力を入れているところです。
加えまして、今、カーエレクトロニクスという分野、こちらにも力を入れています。今、EV、電気自動車ですね、こういったものに代表されるように、車の世界がものすごく変化を遂げているところです。自動運転というものも取りざたされているのですが、これで車の業界から求められる素材というものがガラッと変わってきているんですね。
ですから、私どもは自分たちの製品であれ、よそのお取引先の製品であれ、こういうものを組み合わせて、なかなか世にない付加価値の高い製品、部品、材料を探していければいいなと思っているところです。
時代の先を読み、顧客のニーズに応える。それが商社の枠を超えた、長瀬産業の強み。
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