KLab株式会社の成長戦略を象徴する業態転換の仕組みと必要性
KLab株式会社
代表取締役社長
真田 哲也
受託型のソフトウェア開発事業から一転、自社開発のソーシャルゲーム開発に業務転換し、成功を収めたKlab株式会社 代表取締役社長 真田 哲弥氏は、会社が成長するための柔軟な変革の必要性を訴える。成長戦略の一環として導入した国際分業化とはなにか。また、社員の能力を向上させる新陳代謝の良い経営とはなにか。その核心に迫る。
真田こちらは我々のリフレッシュエリアで、通称、社員の間ではファミレスと呼んでおります。ちょうど椅子がファミレスのような感じになっていまして。
白石面白い作りですね。
蟹瀬東京タワーが見えていますよね、素晴らしい。
真田そうですね。東京タワーがドーンと見えます。
白石じゃぁ今日はここ、ファミレスからお送りしたいと思いますね。では社長、改めましてよろしくお願いいたします。
真田よろしくお願いいたします。
白石それではここで真田社長のこれまでの成長戦略をVTRにまとめました。こちらをご覧ください。
KLab株式会社をけん引するリーダー真田哲弥は、1964年大阪で生まれる。1984年に関西学院大学経済学部に入学。1989年ダイヤルキューネットワーク設立。その後インターネット技術を習得するため1997年にアクセスに入社。1998年、iモードビジネスに照準を合わせ、サイバードを設立。2000年KLab株式会社の前進となる、ケイ・ラボラトリー設立、代表取締役社長兼CEOに就任。2009年ソーシャル事業に参入、2011年東証マザーズへ上場、現在に至る。
蟹瀬こんな広々としたところにいるとすごくリラックスして、仕事の雰囲気が出てこないですね。
白石はい。いつもとちょっと感じが違いますけれども、色々と進行していきたいと思いますが。この番組では、企業の成長戦略を象徴する3つの言葉で進行させていただきます。まず、最初の成長戦略を象徴する言葉は何でしょうか。
真田「業態転換」です。
蟹瀬業態転換?要するにやっていることをガラッと変えるということですよね。
真田ガラッと変えてきました。
蟹瀬具体的にはどういうことを変えてこられたのですか。
真田元々、当社は設立から12年目の会社なのですが、どこにでもあるソフトウェアの受託開発を事業としていたのです。いわゆるB to Bで会社様から開発を受注し、その納期までに納品してお金を頂戴すると、こういうビジネスを元々はやっておりました。皆さん同じご苦労されていると思うのですが、クライアントさんが直前になって仕様変更をしたら、こちらはお金をもらう立場ですから、もうそれに合わせてやらざるを得ない。自分たちに主導権がないから、お客様に振り回される。
我々としてそれではつまらないなと、自分たちで考えて色んなことやろう、自分たちが思ったものを作りたいと。受託型のビジネスでも、それなりに当社は10年間ずっと成長を続けてきたのですが、そろそろ成長の限界が見えてきたり、日本全体が今デフレになったりしていますね。
その中で、もっと成長していこうとするとやはり業態転換していかないとこの壁を破れないかなと。そこからB to C、いわゆるコンシューマー向けに、企業向けではなく一般のお客様向けにゲームを提供していくという、ソーシャルゲームのビジネスが今のメインビジネスになって、ガラッと変わりましたね。
ソーシャルゲームとは、幅広いコミュニケーションを取り合うことを目的としたコミュニティ型の、webサイト上で提供されているゲームの総称。ユーザー同士が共にゲームを楽しんだり、ゲームを通じてコミュニケーションをとったりできるという特色がある。
蟹瀬ただ、そのソーシャルゲームっていうのでしょうか、そこでリーディングカンパニーになっていくというところは、イニシアティブをとらなければいけないわけですよね。ということはそこでいわゆる皆さんがこれ買いたいと思うようなヒット商品が必要になりますよね。そういうのは出たのですか。
真田そうですね、ここのところずっとヒットが続いています。もう2年前に出た「恋してキャバ嬢」というゲーム、2年半近く前に出したもの。それもいまだに売れ続けています。
蟹瀬すみません。恋してキャバ嬢って僕らは知らないのですが、どういうゲームですか。名前だけ聞いてもちょっとゾクッとしますね。
真田キャバ嬢になりきって、キャバ嬢を育成していくゲームですね。いわゆるこれは主に女性をターゲットにしていて。
蟹瀬女性なのですね。
真田そうですね。女性をターゲットにして、アクセサリーとかドレスとか髪形とかを良いものに変えていくことによってどんどん強化していくという、強くなっていって、それで最初は落とせなかった良いお客さんを落とせるようになるという、こういうゲームですね。
白石そうなんです。
蟹瀬知っているの?
白石はい。私の友人もやっている子がいっぱいいて。そうやって成長させることによって、自分も何か自信がついて生き生きしていくというか。
真田そうですね。
蟹瀬その間、男にどんどん貢がせるとかそういう?
真田そういうこともあるゲームですね。
蟹瀬これヒットした理由っていうのはどのあたりですか。
真田最初出した瞬間からヒットしたわけではなくて、やはり2、3か月間、色々試行錯誤をして、そのゲームのシステムを変えたり色んなことをする中で、順番にヒットして火がついていったという。ヒットするまでに3ヶ月くらいかかりましたね。だから、どんどんお客様のご意見とか、色んなデータを見ながら中身を作り替えていくのです。ヒットするまで、高速にどんどん作り替えて、そこがこのビジネスの大事な特徴で、それによってヒットしていったところだと思います。
蟹瀬それやる人は、お金を払うわけですか。
真田これは、我々の中でFree to Payと言われているビジネスモデルで、最初はフリーで誰でも利用できますと、最後までフリーで利用できるのですが、Free to Payでもっと楽しみたい人、あるいは他の人に負けたくない、あるいは自分だけのオリジナリティーを出したいという人は、別途お金を払ってくださいと。例えば普通のドレスは無料で買えるのですが、ゲームの中で、特に良いドレスは有料で売っているといったような。
蟹瀬そうですか、すごいですね。先ほどおっしゃった業態を変えるということですけれども、そう簡単にはいきませんよね。当然色んなトラブルと言いますか、問題もあったと思うのですが。
真田そうですよね。我々も移行期間というのが3年くらいありまして。
蟹瀬それくらいかかるのですね。
真田そうですね。急に転換してやっぱり失敗している会社が多いです。それに対して我々は徐々に、最初は受託型の中で、受注、初期開発費用を受注してもらいながらも一方で、一部レベニューシェアでくださいと。
そうすると、売り上げのパーセンテージをくださいと。その代わり開発費は、本来は1億円かかるところを5000万で結構です。初期費用を抑える代わりに、売り上げの30%をくださいというような、中間ミックスの業態を何年間かやって、その過程で、企画をする人とか、プロヂューサー、ディレクターという人材を育てていって、それで100%全額自分で負担してやるモデルに転換するということをやっていったのです。
蟹瀬そのちょうど100%転換できた時ってどんな感じだったのですか。
真田100%自社のものも出していった時も、やはり最初から売れなかったので、やっぱりダメなのかなと不安で仕方がなかったですね。それでもソーシャルゲームをやるのだと決めたので、もう徹底的にやろうと。もう受注型のものをどんどん減らして、そっちの売り上げを減らして、人員をシフトして、もう背水の陣でやっていますから、何が何でも成功さようという思いでした。
蟹瀬先ほど業態転換した企業がたくさんあって、かなり失敗している企業があるとおっしゃいましたが、その失敗の原因はどの辺りにあるのですか。
真田おそらく、腹をくくれなかったことじゃないかなとか思いますね。
蟹瀬中途半端になっちゃった。
真田はい。中途半端になったこと。それと、移行期間の移行プロセスをしっかり踏まなかったことではないかと思います。
蟹瀬一気に行こうとして失敗しちゃっていると。
真田はい。
蟹瀬そのシフトの最大のハードルってどの辺りにあるのですか。
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