“Rule of the Game”を掲げイノベーションを生み出すインキュベーターの戦略とは
ネスレ日本株式会社
代表取締社長役兼CEO
高岡 浩三
21世紀へのパラダイムシフトが急務の現代社会。あらゆる分野で真のリーダーの誕生が待たれている。リーダーは常に革新的である。日本アジアそして世界に展開するビジネスリーダーにその戦略と決断を問う。全ての選択にはフィクションに勝るドラマがある。ネスレ日本株式会社代表取締社長役兼 CEOの高岡浩三のリーダーアンドイノベーション賢者の選択とは。
蟹瀬企業家精神ですよね。
高岡企業家精神ですよね。これを非常に期待してそういうものがなければまた日本の難しいマーケットはやっていけないだろうとそういう判断はあったと思うんです。
蟹瀬これまでお話を伺ってきてやっぱり新しいことをどんどんやって来られた。それは小さいものもあれば大きいものもある。いわゆるイノベーションということですよね。それが認められたということですよね?
高岡そういうことだと思いますね。
長尾ただもしかすると少し気の早いお話かもしれないんですけれども、それだけイノベーティブなことを実施されてきた高岡さん。でもやっぱり後継者を育てないといけないと思うんですが、それについては考えてらっしゃるんですか?
高岡もちろん企業のトップになればですね、一番考えなければならないのが後継者の問題。後継者と言うか自分の後継者だけではなくて社員をどう育てていくかということだと思うんですけれど。やはりそういった意味ではネスレグローバルにも一番求められる社員像というのがいかにリーダーシップをチームの中で発揮できるかと。
高岡そういった意味では今あるものを壊して新しいものを作っていけるようなリーダーシップを発揮できる人材です。それを私としてもなんとか一人でも多く育てていきたいと思っています。
蟹瀬もう一つはやはりそのグローバル企業ですよね、ネスレが。その中でネスレ日本がある種、主導的にやれる事ってあるのか?あるいはどういうポジショニングというのを考えてらっしゃるんですか?
高岡そうですね。ご承知の通り、非常に成熟した マーケットで、もちろんヨーロッパやアメリカにも成熟したマーケットというのはあるわけですけれども、その中で唯一ですね移民とかを取り入れていないので人口が減りだしている。そして最も早いスピードで高齢化が進んでいる。すなわち食品企業で言いますと胃袋の数が減ってさらにサイズが小さくなっている。明らかに国内市場はシュリンクと言いますか、縮小していくようなんですね。
蟹瀬縮小していく。困った状態なわけですよね?
高岡そういう意味では唯一日本が先頭を切ってシュリンクしだしたと。こういう難しいマーケットでいかにネスレのモデルと言われている売上も利益もですね毎年成長させていくかと。そのモデルをですね、示す我々インキュベーターと呼んでるんですけど。実験場ですね。
高岡そういう役割がネスレグループの中で求められていると思うんですね。
蟹瀬それは相当難しい課題ですね。
高岡大変です。ですから並大抵のイノベーションではダメなんです。だからこそ先ほどもお話ししましたシステムにしてもですね技術がネスレが日本が一番最初なんですね。そういうものを一緒に開発をして先に日本でやって、そういうことをやり続けていかないとですね、この日本で成長していくにはなかなか難しいと思いますね。
長尾最近はその時しか出ない限定の季節商品が出ますよね。あれが楽しみなんですよ。そういったものを新しく提示していくものもこういった方は飽和市場というんですかね、高齢化が進む市場にとっては生き残る手段になりますか?
高岡そうですね。これまでも期間限定というのは確かに冬季限定というんですか秋と冬6ヶ月間市場にある期間限定というのはあったんですが、我々が初めて業界であったのは2ヶ月なんですよね。
蟹瀬非常に短いスパンでね。
高岡それは日本のコンビニエンスストアという存在があったからです。ものすごいスピードで新製品の買い替えが激しい。ですから一つの商品出してもなかなか半年1年とおいていただけない。そういうマーケットでは2ヶ月で切り替えていくような戦略も必要だったということですね。
長尾そこでちょっとお伺いしたいんですけれども、色々なニュースが日々ありますけれども、社長として最近起きてきたニュースの中で気になるトピックというのは何かありますか?
高岡そうですね。先ほどのご質問の人物で気になる方という話が あったときとちょっと関連するんですけど実はあのタイガーマスクからきた伊達直人。
蟹瀬ランドセルを匿名で寄付して行ったと言う。 ニュースになりましたね。
高岡こういうデフレで経済が苦しいそういう状況の中でも日本人の心の中でたくさんの方がやっぱり困ってる人を助けたい善意の気持ちというのがある。存在してるんだと。それはすごく僕は感動を受けたんですね。ですからキットカットでやったそういう寄付チョコの精神というのはこれからも続けていかなきゃいけないなという風につくづく思いましたですね。
蟹瀬本当にね。こういう世知辛い時に明るいニュースでしたよね。
高岡ほんとそうですね、ちょっと感動しましたですよね。
蟹瀬それをどう続けていくのかというのが大事ですよね。
高岡はい、だから企業も負けてはいけないなと、もっと頑張らなきゃいけないなという思いがしましたね。
蟹瀬ではそこでこれからについて伺いたいんですけれども。次なるネスレの変革を表すキーワードは何でしょうか?
高岡「新しい人事戦略」ですね。
蟹瀬さて次なる変革のキーワードは人事戦略だとおっしゃいましたけれど具体的にはどういうことなんですか?
高岡やはりCEOにとっての非常に重要な役割というのは人事をどういう風にして行くか。どのような社員を作っていくあるいはチームを作っていくかということだと思うんです。特に最近話題になっております就職難とか、すごく言われてるわけなんですけれど、人材を多様な人材をどういう風に集めていくか、英語で言うとよく言われるダイバーシティですよね。その人材の多様化と年に1回の一括採用言う、今までの古い日本のやり方ですと、なかなか多様な人材を採ることが難しい。
ですから私がCEOになりましてからは、一括採用を全部止めてしまうわけではないですが、かなり絞ってですね、年間を通じて外国人、日本に留学をして日本の文化あるいは日本語を勉強されたようなですね、優秀な外国人の方も視野に入れながら。
また単なるインタビュー形式あるいは試験というような採用制度だけではなくてインターンシップみたいなですね。
蟹瀬今インターンシップは多くなりましたよね、現場で実際ちょっと働いてもらってっというね。
高岡ですから、私は同友会のメンバーでもあるんですけれど経団連、同友会が言っているような逆に就活活動を遅らせるような考え方よりはですね、3年生4年生に限らず、もっと早い時期から門戸を企業としても広げて、働くことの意味こととかを実際に体験していただくことの方がですね大事なんじゃないかなと。
蟹瀬そこはね私も一応を学部長をやっておりますから複雑な思いですね。結局企業が早くそういう採用の入り口をみたいなものをやると、そっちへみんな学生が入っちゃって勉強しなくなるわけですよ。
高岡はい。ですからそれを3年生4年生というようなまだ学業が忙しいタイミングではなくてですね、夏休みとか勉学とは別のところで時間を避けるタイミングをちゃんと設定をしてですね短期間でもいいので経験していただくと。私はやっぱりそういう仕組みというのはどんどんトライして行かなきゃいけないんじゃないのかなと。もちろん正解はないので。
蟹瀬そうですね。
高岡はい。やりながら答えを見つけていくという方法をやって、その結果として我々としてはもっとダイバーシティを実現していきたいと。我々はどんどん海外のネスレで活躍したいというやはり日本発の若い人たちをどんどん採用していけないと思いますね。
蟹瀬研修システムとかそういうのも作られてるんですか?
高岡はい。ローカルでも作っておりますがグローバルのもスイスを中心にビジネススクールを、それから我々の研究書を展開してます。
蟹瀬さあ時間の方もだいぶなくなってきたですけど、最後にですね社員の皆さんに恒づねおっしゃっているこだわりの一言と言うんですかね、それをもし聞かせていただければ。
高岡もう口を酸っぱくして言ってますのが「人と違うことをやれと」いうことですね。
高岡会社の中にはとにかく戦略、戦略という文字が飛び交うんですが、人と同じこと、他の人でもやれることが基本的に勝つ戦略にはならない、というのは私の持論で。ネスレしかできないこと、ネスレしかやっていないことだけがですね。勝つ戦略の一つのエッセンスだと。それをどれだけトップから下までやり切れるかということが全てだという風に思っています。
蟹瀬改めてリーダーシップとはどういうものだといい風に高岡さんはお考えですか?
高岡まず「自分が言っていることを自分で示せるかどうかということ」に尽きるのではないかと。言動と行動が100パーセント一致すると。
高岡私はそのようにネスレもそのように考えています。
蟹瀬なかなか意味があるし重い言葉ですよね。
高岡大変です。
蟹瀬どうもありがとうございました。
高岡ありがとうございました。
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