「ノーベル平和賞を取りたい」 企業サポートで世界平和を
株式会社サムライインキュベート
代表取締役
榊原健太郎
ベンチャー企業で悪戦苦闘した経験をもとに企業する人たちをサポートしようとサムライインキュベートを立ち上げたのが2008年。どれから10年、140社のスタートアップ企業を支えてきた。企業の聖地、イスラエルにも一早く進出し、日本企業をサポートする。目指すのは「ノーベル平和賞」という突拍子もない夢だ。
大企業の変化も急だ。SIは郵便と連携し、物流に関する新事業を創造していくことで合意した。
「自前主義が強かった大企業もオープンイノベーションの必要性を感じてきている」と榊原氏。アマゾンなどの革新的なビジネスを進める企業と対抗するために、日本郵便はスタートアップ企業とも連携し、新しいアイデアを募るという戦略だ。
本来、起業家は新しい技術やサービスを提供し、世の中を変え、世界を変えたいという存在だ。
榊原氏は「大企業が持つ豊富な経営資源を使えば、世の中は変えやすい。大企業と組んだり、大企業に入り込んだりして、世の中を変えることもできる」と指摘する。変化が遅いと言われる日本もようやく起業家を育て、評価し、連携する企業社会に脱皮しようとしているのだろう。
この10年間にSIは国内外の140社に投資した。そのうち2割はM&Aなどを果たし、イグジットした。残りの会社も成長著しい会社があり、榊原氏は期待をかける。
だが榊原氏には気になることがある。
黒字にはなったが大きくは育たなかったり、ビジネスモデルは成功するはずだったのに、清算したりした例も少数あったことだ。
「起業には強いストレスがあるものです。周りの人に相できずに、ストレスに耐えきれなくなる人もいる。ストレスに強い人を見極め、支援することが決め手です」
ストレス耐性のある人は起業で成功する可能性は高いが、耐性がない人でもベンチャー企業のトップでなければ実績を上げられるかもしれない。また大手企業でも革新的なイノベーションを起こそうとしたら、1、2年の実績を評価するのではなく年単位で人を評価する必要がある。
「これまでの日本企業はいい人材を他部門に出しはしません。部下は上司に意義を唱えません。それではイノベーションは起きません。優秀な部下を今後有望になる部門に出すような上司を評価するという工夫も必要です」
榊原氏は日本社会の人事評価もイノベーションを生み出すものに変えていかなければいけないと考えている。
榊原氏の夢は「世界を変えたい」と考える起業家が増え、大企業でもイノベーションが次々に起きて、都市も地方も日本が元気になることだ。そしてイスラエルに進出してからはもう一つ夢が加わった。
「平和国家、日本の企業がイスラエルと連携することで、イスラエルに紛争を起こさないようにとプレッシャーをかける、と勝手に考えています。僕たちの取り組みが平和をもたらせば幸せです」
冗談めいて言う「僕の目標はノーベル平和賞をとること」も実は真剣なのである。
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