「堅忍不抜」でつくった、街づくりまで進出する保険薬局の「サービス」とは?
阪神調剤ホールディング株式会社
代表取締役社長
岩崎 壽毅
「保険薬局」の全国展開で独自のサービスを提供する阪神調剤ホールディング株式会社。代表の岩崎壽毅(としき)が創業以来つくりあげてきた、医療と調剤の分業の思いは広まり、いまや世間のイメージを超える「サービス業」へと変貌を遂げた。「かかりつけ薬局」を目指すなかで、「街づくり」まで進出するその理由と仕組みとは?
ドーキンズなぜ、保険薬局とサービスを結び付けようと思われたのですか?
岩崎やはり、病院では人の悪いところばかり指摘されるものです。患者さんは薬局へ来たときには、心を痛めた状態で来ます。ですから「下から目線」で接してあげて、柔らかい言葉を提供してあげなければならない。創業時からそのように力を入れていますので、保険薬局はたくさんあっても、かなりの差別化になっていると思います。
こちらは阪神調剤ホールディングが運営するコトブキ調剤薬局日大前店。店舗のこだわりについて話を聞いた。
金井塚1階は全面ガラス張りになっていて、患者様から中がよく見えるようになっています。中が見えることによって、入りやすいようなスペースを設けています。4階と5階には薬局ではなかなか見ないキッズスペースを設けているなど、薬を待つ空間というよりも、くつろいで待てるカフェのような場所になっています。
待合室には電子レンジや無料の飲み物なども設置しており、リラックスして薬の調剤を待つことができる。さらに、接客の面でも利用者の目線に立ったサービスを展開している。
金井塚うちのお店にはコンシェルジュがおりまして、患者様がむせてしまったときなどにスッとお水を出してあげるだとか、世間話をしたりだとか、患者様にとってなくてはならないような存在になっていると思います。病院に行ってから薬局に来るのは体力的にも大変だったりもするので、体調の悪い方含めどんな方にも安心して、最後には笑顔で帰っていただけるような薬局にしたいなと思います。
ドーキンズ現在、店舗展開のほかにはどのようなサービスに力を入れていらっしゃいますか?
岩崎たくさんありますが、薬剤師はただ単に調剤室で調剤をして、お店の中でお仕事をするということだけではないと思います。私どもが特別大切にする言葉で「出掛ける医療」と言っています。
ドーキンズ出掛ける医療?
岩崎出掛けていって、患者サービスをして差し上げなければならない、ということです。地域住民のニーズに沿う街づくりをもしています。
蟹瀬薬剤師の方が出掛けていくというのは、非常にユニークな感じがしますね。
岩崎でもドクターも出掛ける医療ということで、同じような役割を担っているわけです。ですから、薬剤師も当然、それをやっていかなければならない。今後、出掛ける医療も私どもの薬剤師の仕事として、大事な役割の中の一つになります。
現在、阪神調剤ホールディングでは薬剤師が介護・福祉施設などを訪問し、入居者の薬の一括管理やイベントへの参加など、医療・介護と連携してサービスの質を高めるための活動を行っている。また、暮らしに寄り添う街づくりをテーマに健康支援や子育て支援の需要が高いUR賃貸住宅に併設した施設の運営も行っている。
蟹瀬具体的にはどういうことをやっていらっしゃるのですか?
岩崎保険薬局、それから開業医さんの地域医療、それから接骨院なども入っていただいています。そしてそこでお茶を飲んだり、あるいはまた音楽会を開いたり、体操教室を開いたりしています。薬剤師だけではなくて、ドクター、看護師、介護士、栄養士なども加わって一体となって、地域住民に溶け込む。そういう街づくりをしていく。地域に役立つ、地域のための憩いの場を作り、私どもは国民の皆さんの健康増進のために役立っていく。保険薬局以外に、そういうことにも取り組んでいるということです。
蟹瀬高齢者だけではなくて、子供たちとか若い人たちのことも考えるということですね。
こちらは阪神調剤ホールディングが運営する、ちしまメディカルパーク。担当者に話を聞いた。
道上我々、阪神調剤のちしまメディカルパークでは、健康なときから来ていただこうと(思い)、そのためにどういう工夫をすれば健康な状態で薬局に来ていただけるかということを考えながら運営をしています。
イベントスペースのほうで、体操教室をやっております。体操教室の先生も高齢の先生でございまして、すごくやりやすい、自分でも一緒にできるんだな、という印象を持たれているようです。そこに参加される方が増えてきたりとか、管理栄養士も常駐しておりまして、その管理栄養士が健康レシピを皆様にお伝えするための教室を開いたりしています。
我々薬剤師は健康な時のお客様を知っています。その方が病気になられたときに、お医者さんはおそらく病気になられたその方しか見られていません。そんな点でドクターと協力ができれば、一段高い医療が提供できるのではないかと考えています。
ちしまメディカルパークでは施設の立地を生かし、保険薬局の枠を超えたサービスで地域の住民とのふれあいを大切にしているという。
道上ここに来られる方はUR住宅の方が大半です。ご近所の方はどんどん来ていただいて、用事がなくてもいいと思います。私たちは商品を売るのではなくて、薬剤師を売るということを考えてやっております。「あの薬剤師と話をしたい、だから薬局に来ました」と言っていただければ、非常に私たちはうれしいですし、ありがたいと思います。ぜひ、お越しいただければと思っております。
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