

介護の実体験から社会課題へ。話題の介護業界に安定の枠組みをつくる発想とは?
株式会社アーバンアーキテック
代表取締役社長
川又 則夫
超高齢化社会、要介護人口の増加という社会問題と、ともなっての人材不足などで話題が尽きない介護業界。そのようなマーケットのなかで、月々の年金で賄える程度の金額で入居可能、というサービス付き高齢者住宅事業を営むアーバンアーキテック。入居者にも、働く方にも、そしてこれから社会へ出る若者の未来までも担う挑戦ができる、安定した品質とスケーラブルな仕組みは、どうつくられたのか?代表取締役社長の川又則夫に聞く。
川又やはり、まず施設の数自体が足りないという実態があります。まず数を増やすことが第一だと思っていますし、それが高価な施設ではいけないなと。本当に一般の方が普通に暮らせるような施設を作りたいという思いがありました。
蟹瀬川又さんの実体験に基づいた思いというのはよく分かるのですが、今度は事業とした場合に、それを社員の方とどういうふうに共有していくのか、この辺りは相当難しい部分があると思うのですが、実際にどのようなことをなさってきたのですか?
川又私どもの会社には「7つのクレド(信条)」というものがございまして、やはり私もビジネスをして、いろいろな苦労をしてきました。そういった苦労の中から生まれてきた文言、それをまとめたものがクレドです。社員も今800人以上いますので、毎朝、毎朝、唱和して、私の思いが社員に伝わるようにしております。
蟹瀬やはり朝、朝礼で唱和をすることの意味は大きいですか?
川又そうですね。毎朝やっています。社員の中には飽き飽きしている方もいるかもしれませんけれども、欠かさずやっております。大事なことだと思っていますので。
川又が掲げたクレドについて社員はどう思っているのか、介護保険請求担当・田澤加奈子さん、リクルートマネージャー・佐藤駿さん、営業本部 主任・渡辺法広さんに話を聞いた。
田澤私の担当している介護請求のチームが4人なのですけども、やはり各々が力を合わせていかないと、難しいんですね。ミスが見つかることもあるので、6番目の「チームワークを重視し、共に助け合って仕事をする」というところは常に頭に入れてやっています。
佐藤私が一番共感しているところは7番ですね。ライフワークバランスというところは川又代表が、従業員のことを思って作ってくれているのかな、というのは一従業員としても共感しています。それを働く仲間に伝えるという意味でも一番大切にしています。
渡辺アーバンアーキテックとしては縦割りの会社ではない。要するに建築から運営まで、ワンストップで行っているというところでは、縦割りではないところが生かされているのではないかと思います。
ドーキンズ高齢者向け住宅の運営で一番大変なことは何ですか?
川又人材不足というのはどの業界でも同じみたいなのですが、特に介護業界は人材不足がひどい状況でして、私どもは「介護カフェ」という名前の人材紹介会社を運営しております。人材紹介会社が、私どもが運営する高齢者住宅に人材を供給するといったことをやっております。
またやはり、これからは国内の人材だけではどうしても不足してきますので、海外から人材を募るということが必要になってきます。今度、外国人技能実習制度として介護も入ることになりましたので、これからは外国人がたくさん日本に入ってきてくれるのではないかと期待しております。今、ベトナムやフィリピン、そういった方面から介護の人材を集めてくるということをスタートしています。
川又私も最近フィリピンに行って感じたのですが、非常にアジアの若者は真面目な方が多いですね。ですから、文化の違いをよく理解してあげて、対応してあげれば必ず日本に馴染んでくれると思っています。
アーバンアーキテックでは人材確保対策として、2017年から外国人の雇用を始めている。介護職員として働くサンブラーラケバ・スレンさんにお話を聞いた。
福井モンゴルご出身と聞いたのですけれども、働いていて困ったことはないですか?
サンブラーラケバ・スレン困ったことはあまりないですね。同じアジアの人たち、みんな肌の色はだいたい一緒ですね。お年寄りの人たち、したいこと、気持ちがよく分かって、助けてあげることが一番いいですね。
蟹瀬国籍にかかわらず、どういう人材を求めていらっしゃるのですか?
川又やはり、真面目に介護に向き合っていただける方、そういった方を募集しています。
蟹瀬そこ(介護業界)で働く人材が足りないという話が出て、外国人労働者をもっと導入しよう、でも、考えたら日本の若者もいるわけです。そういう人たちが積極的にそこで働きたいと思うには……ドーキンズさん、どう?
ドーキンズ何かモチベーションが上がれば、働きたいと思う人が増えると思うのですが、いかがですか?
川又どうしても介護事業者さんというのは、中小零細の方が多いです。「一つの施設を運営しています」「二つの施設を運営しています」というなかでは、なかなか将来が見えづらいということがあります。そういった意味でも、私たちのように「たくさんの施設を運営しています。将来的にはもっと上がありますよ」ということを見させてあげるということも一つ、重要なことだと思っています。
蟹瀬いわゆる、キャリアパス。ある程度、道ができていないとなかなか入りにくいということはありますよね。ずっと同じ仕事をしていくというのでは。
川又そうですね。
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