働き方改革大激論!今後、日本の経営者と職場環境づくりはどうあるべきか?
青野 慶久(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
芦田 敏之(税理士法人ネイチャー国際資産税 代表税理士)
残業、給与、定年問題、育児休暇など、日本企業はいまだに前時代的な体質を脱却できていないのが実情だ。今後、従業員と企業はどのような関係を築いていくのか、経営者はどうあるべきなのか、についてをサイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久と税理士法人ネイチャー国際資産税 代表税理士 芦田敏之の両名を招いてそれぞれの思いを語ってもらった。日本の働き方の未来とは?
蟹瀬日本の企業の場合は当然のことながら定年退職と言う時を迎えて、じゃあそこから先どうするかいうことを僕らの世代だとやっぱり考えることが多いと思うんですけれども、その辺はどういう風に対応されてますか?
芦田我々、もうコンサルタントに関しては定年なくしちゃったんですよ。
蟹瀬じゃあ、働いてる方がずっと辞めないで100才まで頑張られても企業としては困るところもあるわけですよね?その辺の雇用形態はどうなってるんですか?
芦田ある一定の歳になったら、その契約自体を見直しているんですね。見直すけれども、自分が働きたいと言うんだったら、年齢の制限なく働けますよと。将来不安がなくなる。年金がどうだっていうふうに考えるのは、自分は働くのがなくなっちゃってそれで年金もなくなったらどうするんだという話ですけど、それがなくなる。
蟹瀬ただ、高齢者の方が辞めないと若い人たちがなかなか入って来られないっていう。数で考えたらね、そういう状況が生まれてきますよね。それから、能力があるかないかっていったい誰が判断するの、という経営者として難しい問題が出てきますよね。
青野ある意味、今までの日本の経営者は何も見ずに一人一人がどんな能力を持っていて、どれぐらい活躍しているかも見ずに、同じように給料あげて同じように辞めさせてきた。これはほんと一人一人見なきゃいけない。欧米に行ったら当たり前にやっていることですからね。日本の経営者も早く進化しないと。定年廃止に向かっては行けないと思いますね。
蟹瀬今、安倍政権化ではとにかく「働き方改革」「働き方改革」というのがキーワードで、毎日聞かない日がないような気がするんですけれどもね。でも、ほんとにえなきゃいけないのかどうかっていうのは、その必要性って青野さん、どの程度あるんですかね?
青野これは個々によると私は思うんですけどね。今、例えばある会社があって、従業員みんな幸せに働いている、家族も幸せに生きている。何も変える必要は無いですよね?もしそれが残業時間がなかったとしても、みんな幸せで健康であれば、何も変える必要がない。でも、それを国は一律的に個別の事情も見ずに「やれやれ」と。そういう感じがしますね。
蟹瀬制度化するときはどうしてもある種のこう、型みたいなものにはめざるを得ないというのもあるんでしょうけれども。やっぱり芦田さん、過労死の問題ね。このへんもきっかけになった気がするんですよね。続いてそういうニュースが出て、大手企業の中でほんとに働いてね、若くして亡くなっているっていうケース。このあたりは相当考えたことがありますか?
芦田頑張れる人なんかは自分のリミットを超えて頑張っちゃうんですね。誰かが止めてあげないと、いきなりそれが精神疾患に現れたりしちゃう。一回そういう風になっちゃうと職場に戻れますか戻れませんかで言ったら、なかなか戻れないって言う現実があるんで。それは誰かがその人がやりたいと言っても、「あなたはちょっと残業しすぎだからだめよ」というふうにセーブしてあげるべきだと思うんです。
蟹瀬これって僕らの世代ね。つまり、経営のトップの方って圧倒的に大企業が多いわけじゃないですか。そうするとかつての働け、働け、働くのが当たり前だと。額に汗して、そんなぶつぶつ文句を言うのはわがままだっていう。その価値観がこびりついているから、もうその辺も人から変えなきゃ駄目な気がするんですけどね。
青野おっしゃる通りですね。実際に働き方改革している企業はトップが変わっています。
蟹瀬例えば合理的にね、いろいろ変えていって、会社は収益上がる、株価は上がる。だけども働いている従業員の方々の給料は決して上がってない。格差が広がっているからこそ、そういう問題が出てくるんじゃないですかね、その働き方っていう。
芦田企業のトップっていうのは当然その利益を出し続けるそのシステムを考えないと、それはステークホルダーがいるので義務を全うしないといけない。ただそれを全うした後っていうのは、会社だけが太っていくと言うよりは働いてる人の環境をどんどん良くしていくっていうのが、私は好き!(笑)
蟹瀬ダイバーシティーということを考えていくときに、いろんな人たちがいて、いろんな人たちがやりたいという意見を取り入れていくと。それはそれで素晴らしいんだけれど、いつの間にかその「自分らしさ」というのが一種のわがままになっていて、経営者としてただほったらかしにするだけじゃないかと言う見方もありますよね。その辺青野さんどうなんですか?
青野逆に「わがままを言ってください」と言うのが僕たちの会社の中ではキーワードですね。例えば、「お昼ご飯を選ばせてくれない」「わがまま言っちゃういけない」という社会って辛くないですか?
ドーキンズ辛いです。
青野人は生まれながらに個性があるわけだから、そのわがままを出して、それが実現されれば嬉しいわけですよね。だからむしろ一人ひとりの幸福度を上げようと思ったら、一人ひとりがどんなわがまま持ってるのか全部教えてもらわないと難しい。だからこそ、わがままを出してもらうっていうのが、1つ私たちのやっている人事の考え方ですね。
蟹瀬じゃあ、それをマネージしなければいけないわけですよね?
青野そうですね。そのために大事なのはやっぱり理念が必要で、私たちの組織はどこに向かっているんだろうか?そしてそこに向かうためにあなたのわがままはどう活かせるんだろうか。ここを組み合わせるような。パズルゲームをしている感じですね。これをうまく組み合わせるとお互いがハッピー。これが経営者の仕事だと思っています。
ドーキンズ最後になりますが、今後の展開はどのようにお考えですか?青野さん
青野この人事制度っていうのは完成がないと思っていて、中にいる人もどんどん変わっていくわけだし、会社の規模も事業も変わっていくわけだから、「変え続ける」それをやりたいと思っています。
ドーキンズ芦田さんはいかがですか?
芦田どんどん新しいのを取り入れたい。それで人生をエンジョイするような会社になればいいな、と思っています。
蟹瀬お二人の話を伺っていると、まだまだ日本の全体の中で見たときに、だいぶ半歩か一歩先を行っている感じがするんですよね。そういう意味で、お二人が今お話しているようなことがね、当たり前になってくる日本、これがほんとに早く出来てこなきゃいけないのかな、という気がしますよね。今日はどうもありがとうございました。
青野芦田ありがとうございました
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