老舗家庭薬メーカーが考える
日本の医療制度を守る
家庭薬の役割とは
株式会社龍角散
代表取締役社長
藤井隆太
株式会社龍角散は、200年以上の歴史を誇る家庭薬メーカーだ。社名にもなっている「龍角散」は、ほとんどの日本人に認知されているトップ商品である。代表取締役社長 藤井隆太は、老舗企業だからといって守りに入ることを選ばない。常に進化し続けることで、人の役に立ち続ける企業とはなにか。藤井が目指す「オンリーワン戦略」に迫る。
蟹瀬 2017年の1月でしたかね、セルフメディケーション税制というのは、スタートしていますよね。
藤井 そうですね、はい。
蟹瀬 これはどういうふうにご覧になっていますか?
藤井 これは皆さんがおっしゃるとおり、行動変容、意識改革に非常に良いきっかけだと思います。残念ながら、あれは対象とする薬剤が非常に少ないんですよね。スイッチOTCだけですからね。でも本来、医療控除というのは一部じゃなくて全体ですから。だから、もう一回見直していただいた方がいいんじゃないかと思いますね。病院の薬は強いけど安い、一般薬は高いけど効かない。逆なんです。それだけじゃないんですよ。たくさん処方されているから飲みづらいしょうと。一般薬というのは配合されてるから飲みやすいわけです。症状に合わせてマイルドなものもありますから、しかも医療控除の対象だということなんですね。意外といい勝負になりますよ。バンバン処方されて飲みきれなくて捨てちゃうんだから、こんなもったいないことありませんよ。我々、別に捨てるために作っているんじゃないからね。やっぱり医薬品メーカーとしては、これだけ捨てられているのを見ると悲しくなりますね。
蟹瀬 だから、きちんとした制度を作っていくということは重要なんですよね。一般的にそういうふうになっていくのが一番いいでしょう。
藤井 やっぱり医療控除のときは、e-Taxを使うと領収書つけなくてもいいですから、非常に便利なんですね。ぜひ皆さん、e-Tax推進してやると思います。はい。
セルフメディケーションを 推進することで健康寿命を延ばす。それが龍角散に与えられた 新たな使命。
藤井 もしね、周りの環境が変わって、うちの会社が役に立たなくなったら退場すべきですよ。
オンリーワンであり続ける龍角散の事業継続の秘訣とは?
坪井 さて番組ではリーダーズチョイスと題しまして、ゲストの方に選択の基準、敬愛の人、賢者の文の三つの中からカードで一つ選んでお話しいただきたいと思います。それでは社長、よろしくお願いします。
藤井 はい、選択の基準。
蟹瀬 はい。これはどういう選択の基準をお持ちなんでしょうかね。
藤井 せっかく経営者になったわけですから、やっぱり結果責任もありますし、そういうポジションになればできる限りチャレンジするというふうに思いますね。私は何か迷った場合は、まずやってみると。無鉄砲じゃいかんと思いますよ。これはやっぱりちょっといかにも会社傾くなってことはやりませんけどね。いやこのぐらいだったらいいだろうと。なぜかというとやってみないと分からないことがあるから。迷ってやらないと、後であれやっといた方がよかったな、と。やっておけば、たとえうまくいかなくてもわかるからね。経験則として活かせるでしょ。何もやらないっていうのは経営者の仕事じゃないからね。私はそう思うんです。
坪井 今後の展開については、どのようにお考えですか?
藤井 おかげさまで私も8代目で、当社の長い歴史からするとですね、私のやっているのはやっと23年か。大したことではありませんけどね。よく言われるのは、会社を長く持たせるにはどうしたらいいんでしょう?と言われるんですけど。逆に聞くんですよ。なんで長くやらなきゃいけないの?と。もし、周りの環境が変わって、うちの会社が役に立たなくなったら、退場すべきですよ。それはそれで一つの選択だから。もうできなくなっても居たらそれはご迷惑ですから。それはやめるべきなんです。だけどそうならないように、皆さんのお役に立てる会社であり続けるためには、自らどんどん進化するということは必要ですよね。経営者はそのためにいますから。忙しいし、別に暇になろうと思って仕事しているわけではございませんし。そりゃ軋轢もありますよ、社員に別に好かれようと思いませんね。それはもう、私は辞めるときは嫌われまくって辞めると思います。結構ですよ。そのかわり結果として、別にこの会社でかくなくても、コンパクトでも、オンリーワンであって、皆さんのお役に立てるということがいいんです。強くなればいいんですから。それが私の使命です。
蟹瀬 今日お話伺っていて、やっぱり現場を見る目の大事さと決断力と、それから改めてそのセルフメディケーションが、いかに日本に大事かということを再認識させていただきました。ありがとうございました。
藤井 ありがとうございます。
坪井 ありがとうございます。
選択の基準―迷ったらまずやってみる。やらずに後悔するよりもやって経験を積む。経験則こそが事業に厚みを持たせる。迷っている瞬間(じかん)などない。何もしない経営者などいないのだから・・
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