社会課題の中心に住宅あり?!ハイテク産業となった住宅の新たな方向性と希望
積水ハウス株式会社
代表取締役会長兼CEO
和田 勇
住宅産業界のリーディングカンパニーとして住宅関連市場を牽引してきた積水ハウス株式会社「グローバル化した国際社会、変化する社会状況にあって、住宅産業界は大きな転換期を迎えている」と、代表取締役会長兼CEO、和田勇は言う。和田勇の成長戦略、住宅産業の将来性とは? その全容に迫る!
白石では、続いてのキーワードは何でしょうか。
和田「キッズデザイン」。
蟹瀬ずっとこう何と言うか、とても熱い語り口で住宅に対する思いを語っていただいてきて。三つ目のキーワードに「キッズデザイン」という、あんまり聞き慣れない言葉が出てきましたけれども。キッズって子どもですよね。これはどういう意味なのですか?
和田これは要するにね、子ども目線で世の中を見つめていった時に、各々商品というのは全部大人目線なんです、作ってるのが。子ども目線でそういうものを作ろうということで、安全安心、それから子ども達が生育していく中でいろいろ考えることをする、あるいは親が生み育ててどんどん子どもを増やしていけるような、そういう世の中にするためにはね、商品でいろいろそういうものを作り出そうということで。そういうことでNPO法人を作ってちょうど6年になったんですけど、我々がこれを自主的に起ち上げました。
蟹瀬キッズデザイン協議会というのを起ち上げられた。
和田起ち上げたんです。これ初代から私が会長をやらせてもらっているんですけど。「なんで住宅屋がキッズデザインや」っていうことになるんですが、そういう意味ではなく、広い目線でやっぱり物事を考えていこうということでね。もう6年になりますと、どんどん新しいアイデアが出てきて世直しになってきたんじゃないかなと思うんですよ。
蟹瀬お言葉ですけれど、子どもの目線でいろいろ考えるっていうのは悪いことじゃないと思いますけど、それがそれほど重要なのかどうかね。私達が社会作っていく上で、大人が作っていくわけですよね。やっぱり大人の目線っていうのがまずあって、それから子どもの目線という感じがするのですけれども……。
和田既に大人の目線っていうのはもうできあがっていますからね。それにプラス子どもの目線っていうね。
蟹瀬例えば子どもの目線で住宅なりを考えた時に、どういうところが新鮮でメリットがあるのですか?
和田例えば今年の表彰された例で言いますとね、小児がんってありますね。小児がんというのはどちらかと言うと他の病院で一緒に看護したりするのが大変難しいらしいんですよ。と言うのはですね、子どもさんですから、親が横にいてくれないとできないので。
蟹瀬それはやっぱりね。
和田そういう専門のことをやるとかね、そういうアイデアまで出てきているわけですよ。
積水ハウスでは、キッズデザイン・プロジェクトの一環として神戸ポートアイランド内のチャイルド・ケモ・ハウス建設に協力。日本初の小児がん専門治療施設として2013年に竣工、開業しました。こちらは小児がんの子どもと、家族が治療中でも共に生活ができるように設計された病院なのです。
これまでは小児がんの子ども達は、狭い病院のベッドの中で半年以上に渡って病と闘いながら勉強や遊びを通し成長しなければなりませんでした。付き添う親に与えられるのも小さな簡易ベッドだけという環境だったのです。こちらの施設では、まるで自分の家のような環境の中で家族が共に暮らしながら治療を受けることができます。キッチンや生活に必要な設備は全て完備しているのです。チャイルド・ケモ・ハウスは、小児がんの子ども達とその家族のQOLに配慮した初めての専門治療施設なのです。更に、抗がん剤治療で免疫機能が低下している子ども達にとっても重要な役割があるのです。
萩原今小児がんの子ども達が置かれている治療環境というのは、小児がんの専門の病院じゃないですので、例えばインフルエンザでちょっと重症化した子とか、ノロウィルスでしんどくなった子とかも、同じ病棟の中で暮らしているんですね。
となると、やっぱりいろんな菌が病棟の中にはあるので、そういうところで、そういう小児がんの子ども達はどちらかと言うと隔離をされているような立場で、お部屋に閉じこもっているんですけれども。ここは小児がんの子ども達の専用の施設ですので、そういったインフルエンザとかノロウィルスのリスクというのは、だいぶ避けられると思うんですよね。
感染症のリスクを負うことなく施設内を自由に動き回れるのも、この専用の施設が持つメリットでもあったのです。
楠木病院というのは、基本的にまず大人を中心に考えられて、いろんな制度とか建築の法律に関しても決められているんですけれども、子どもの場合、特に小児がんというのは当然親がいて子どもがいて親子が一つのセットになって治療に当たるということが当然なんですが、そんなことは全く想定されていないので、新しい医療の形というか、必要な医療の形として非常に重要な建物だと思います。
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