「ハイポネックス」の高い知名度と、新製品開発を追求し続けるナショナルブランドの強み
株式会社ハイポネックスジャパン
代表取締役社長
村上 恭豊
園芸用肥料のトップブランドとして高い知名度を持つ「ハイポネックス」。
「主力商品の『微粉ハイポネックス』をはじめ、『ハイポネックス原液』『マグァンプ』など当社の製品は、いずれもロングセラーを続けており、現在も家庭園芸のマーケットにおいてシェア・ナンバー1の地位にあります」
家庭用を中心とした園芸市場において、信頼の厚いナショナルブランドとしての地位は確固たるものがある。
「小売企業が自らのブランドを前面に出したいとする戦略から、プライベートブランド化が一段と進んできたように思います。当社の製品をお取り扱いいただいているホームセンターなど流通業界では、プライベートブランド商品の販売を強化する企業が伸びています。こうした流れに対応し、主力商品についてはナショナルブランドの位置づけをしっかりと堅持しながら、それ以外の製品は、ホームセンターのご要望に応じてプライベートブランドとしても商品供給しています」
ホームセンターなどが扱うプライベートブランド商品にも同社の高いブランド力が生きているという。
「当社のブランドである『ハイポネックス』と、販売するホームセンターの名称の両方を表示した『ダブルチョップ』製品が人気です。パッケージに両社のブランドを併記することで、オリジナル性をアピールでき、商品訴求力が強まると高く評価されています」
大手ホームセンターのM&Aなどによって、プライベートブランドへのシフトがさらに進んでいく動きも見られる。
「家庭園芸分野は、コモディティ(日用品)ではなく、趣味やこだわりが強く反映される世界です。当社のブランドを評価されるお客様は、そこに信頼や安心感を見いだし、少々高価であってもご購入されています。趣味・嗜好の分野では、今後もナショナルブランドが根強く支持されると信じています」
ナショナルブランドメーカーの強みを生かし、多大な開発コストをかけて新製品を次々に市場に投入している。
「有力なホームセンターは大企業ですから、自社で製品開発する力がありますが、そこにはリスクも伴います。商材によってはナショナルブランドメーカーの供給を受けた方がリスクは小さく、メリットが大きいはずです。そこで当社は常に新しい製品を投入し続けることを基本戦略に掲げて、研究開発力を磨いてきました。すべてがヒットするわけではありませんが、1年間に4〜5アイテムの新製品を出し続け、市場に新しい刺激を与えつつニーズを探っています」
コロナの影響で在宅時間が増え、同社の経営環境にも変化をもたらした。
「ご家族で野菜づくりを楽しむ人が増えています。現在はプランターや土・苗の売上が大きく伸び、当社が手がける肥料の販売はまだそこまでの勢いはありませんが、これからの伸長が期待できます。また在宅時間が長くなった結果、インドアグリーンへの関心も高まっています」
アフターコロナを迎えたときこそ、企業としての真価が問われる。同社には2つの中長期的戦略があるという。
「1つは家庭菜園です。若い人を中心に花よりも野菜への志向が高まっています。当社は主に花卉の分野で成長を続けてきましたが、そのノウハウを野菜にも生かし、他企業とのコラボレーションも進めながら市場での存在感を高めていきます。もう1つは、バイオスティミュラント資材の展開です。農薬などに頼らず、植物由来のもので生育を促しつつ、作物や土壌への負荷を抑えます。植物が本来持っている力を引き出す、新しい農法の資材です。環境問題と有機栽培の先進地ヨーロッパを中心に広がっており、当社はスペインの企業との提携で販売を始めました」
同社を率いる村上 恭豊社長は2020年秋、「黄綬褒章」を受章された。これは、永年家庭園芸産業に従事し、事業の発展と都市緑化の推進に尽力するとともに、公益社団法人「日本家庭園芸普及協会」の役員として業界の発展に寄与した功績が認められたものだ。
「受章はなによりも両親からの贈り物だと考えています。父は協会団体の創設や『微粉ハイポネックス』などの製品普及に尽力し、母はこれを支え続けました。受章の連絡をうけて、私は真っ先に墓前に報告しました。そして、私が個人として受章したのではなく、両親や社員、諸先輩方の努力の積み重ねが、実を結んだものだと心に刻んでいます」
どのような肥料を使えば、未来の安心・安全につながるかを即座に判断するのは難しい。しかし、同社が「ハイポネックス」で培ってきた信頼と積み重ねてきた実績は、1つの確かな裏付けとなるだろう。子どもたちが担う未来に向けて、同社の歩みは続く。
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