コロナ危機対応での日本の危機管理は最悪


時代刺激人 Vol. 316

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

原発事故は起きる、と危機管理に徹した米国事例は重要

危機管理という点で言えば、2011年3月の巨大津波襲来による東京電力福島第1原発事故も決して無縁でない。「原発は安全だから大丈夫」と政府や電力会社が言い続け、その「原発安全神話」化で、危機管理がルーズになり、事故を引き起こした。私がかかわった国会福島原発事故調査団(国会事故調)は報告書で、津波リスクに対応し防潮堤の高さを上げるべきだ、との指摘に経営陣が耳を貸さなかったなど、「人災だった」と断じている。

私は、2007年の中越沖地震で東電柏崎刈羽原発が被害にあった際、新潟県柏崎市での国際シンポジウムに参加し衝撃を受けた。米国の原発専門家が「米国では原発事故は起きるとの前提で危機管理策を講じている。日本はその発想が全くない。驚きだ」と指摘した。パネリストの東電幹部は当時「日ごろから万全の安全策を行っており問題ない」と述べたが、この日米の立ち位置の違いで、危機管理対応は当然、大きく変わる。米国の危機管理策を学んでいれば、その後の福島第1原発事故事故は回避できたのでないか、と思ったほどだ。

ビル・エモット氏「危機対応で日本の国際的評価は失墜」

本題のコロナ感染危機対応の問題に話を戻そう。ロンドンエコノミスト誌の元編集長で国際経済ジャーナリストのビル・エモット氏は6月13日付けの毎日新聞コラム「時代の風」で、日本のコロナ危機対応に関して、主要国がワクチン開発対応で積極策を講じたのに比べ日本は対応が大幅に遅れ、国際的な評価が失墜した、と以下のように述べている。

「日本は、優れた技術を持ち高い危機対応能力や組織力を兼ね備えている、との国際的なイメージがあった。(中略)その予測は完全な誤りだった。感染症を抑制した過去の成功体験に政府はあぐらをかいていた。危機対応を妨げるほど組織が硬直化、タテ割りになっている官僚機構の弊害が出たのか、日本には優れた技術力など実はなかったということなのか。欧米や中国が輝きを放つ中、日本の国際的イメージは傷ついた」と。何とも鋭い指摘だ。

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