時代刺激人 Vol. 319
牧野 義司まきの よしじ
経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2022/5/6
「デフレ慣れ」が怖い、変革の起爆剤にユニコーンを
日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と評価されたのは遠い昔の話。その日本経済は1990年代のバブル崩壊から30年たった今、デフレから全く脱却できずGDPベースで年率1%前後の低成長が続く。1人当たりGDPでみると、アジアで勢いのあるシンガポールに既に追い抜かれ、韓国、台湾の後塵を拝するのも時間の問題という驚くべき状況だ。
この国力の低下のもとで、怖いのは、政治や行政、企業がこの現実に対応しきれないまま状況に流され、「デフレ慣れ」してしまっていることだ。成熟社会国家、経済先進国の「顔」を保っていても、実態は間違いなく二流、三流の国になりつつある。今こそ、この「デフレ慣れ」の異常事態に強い危機感を持ち、状況を変えるアクションを起こすべきだ。
頑迷システムをぶっ壊す破壊的イノベーション必要
こういった時に時々、「オールジャパンでスクラムを」といった声が聞こえる。しかし、戦後日本を支えた政官財一体の日本株式会社システムは、もはやスピードの時代、デジタルの時代に対応できない。しかもシステム管理する重役たち、端的には政治が強力リーダー不在で弱体化、行政官僚は政治に忖度するだけでプライドを失い、企業経営者も足元の大組織病に気づかず、安全運転経営に終始しイノベーターでなくなっている。まさに重症だ。
この頑迷なシステムをぶっ壊す新たな破壊的イノベーションが必要だ。「自民党をぶっ壊せ」と立ち上がった小泉純一郎元首相が郵政民営化などを実現した「小泉改革」は数少ない好事例だ。私は、破壊的イノベーションの担い手として、巨大ベンチャーのユニコーン(非上場企業で時価総額10億ドル、円換算1300億円以上の企業)を候補に挙げたい。
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