エルピーダ破たんは製造業全体のテーマ 韓国や新興アジアとの競争に勝つ対策を


時代刺激人 Vol. 174

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

半導体大手のエルピーダメモリが2月27日、突然、4480億円の巨額負債を背負って経営が破たん、東京地裁に会社更生法の適用申請を行った、というニュースを聞いて、思わず耳を疑った。

公的資金主導した経済産業省の政策判断など説明責任が重要に

公的資金注入を主導した経済産業省も、資金注入後のわずか3年でエルピーダメモリが経営破たんしてしまい、277億円の国民負担が発生する見通しであることについて、政策評価や説明責任が求められる。枝野幸男経済産業相は2月27日夕方の記者会見で、「厳しい事業環境にあったので、このような経営判断に至ったのはやむを得ない」とコメントしたが、それだけでは済まされない。

東電原発事故をめぐり経済産業省傘下の原子力安全・保安院の安全規制がどこまで厳しく原発を運転管理する事業者の東電に対して行われていたのか、それが不十分だったため、防ぐこともできた事故が起きてしまったのか――などが厳しく問われている。
同じことが、このエルピーダメモリという個別企業の再生への公的資金注入に際して、どんな見通し判断、政策効果判断があったのか、という点が問われる。今や、枝野経済産業相の「やむを得ない」発言だけでは国民は納得しない時代状況になっている。

経産省もインサイダー取引での元幹部逮捕で意気消沈、
産業政策も正念場

皮肉なことに、その公的資金の注入プロジェクトを主導した木村雅昭・経済産業省元審議官が1か月前の1月に、こともあろうか、このエルピーダメモリにからむインサイダー情報をもとにエルピーダメモリ株の売買で利益を得たとして、金融証券取引法違反容疑で逮捕されている。それだけに、経済産業省の友人の幹部も「木村氏の勝手な行動を恨む。あのことで、経済産業省全体の体質が問われ、われわれの産業政策判断までが冷ややかに見られてしまう」と述べている。まさに意気消沈状態だ。

とはいえ、グローバルベースに熾烈な技術開発などの競争が繰り広げられる中で、経済産業省など政府が、個別産業分野の競争力確保のために、産業政策というくくりでもって、どこまで何をやれるか、常に問われることだ。

戦略的に重要という判断ができても、個別企業支援はまず無理

しかし、今回のエルピーダメモリの経営破たんで、個別企業救済の形での公的資金投入の限界が見えたことは間違いない。そうなれば、日本にとって、戦略的に重要との判断をした産業の再生や競争力強化策などをどうするのか、経済産業省そのものが、その存在を大きく問われる事態となった、と言っていい。

産業のコメと言われた半導体に関して、一時は世界の市場を半ば独占したほどの日本の半導体産業が今やすっかりと競争力を失い、ことDRAM分野ではサムスンエレクトロニクスが38%、ハイニックス半導体が21%と韓国2企業が、世界市場のほぼ60%シェアを抑えている中で、エルピーダメモリは16%にまで落ち込む状況だ。

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