「野心ではなく志を」。志で考える、世界の日本、世代交代、後継への引き際


SBIホールディングス株式会社
代表取締役執行役員CEO
北尾 吉孝

特選インタビュー

インターネットを通じ、証券や銀行、損保、住宅ローンなど、様々な金融サービスを展開しているSBIグループ。創業からわずか10年で80社を超えるコングロマリットへと発展を遂げた今、グループは新たな成長路線への舵をきり始めた。ネットによる金融サービスで変革を起こした、SBIホールディングス株式会社代表取締役執行役員CEOの北尾吉孝が描く、次なる事業戦略その全容に迫る。リーダーアンドイノベーション賢者の選択。

海外市場開拓に必要な改革そして経営理念とは

海外に新たな市場を切り開こうとする北尾。そこで必要とされる次なる変革。そして経営理念とは?

宮川やっぱり次は世界戦略ということなんですけれども。その一端を少し伺ってもいいですか?

北尾の世界戦略

北尾まあその21世紀と言うとね、一言で言えばアジアの時代ということになると思うんですね。この間、精華大学の100周年、設立100周年記念というのがあって、そこで胡錦濤さんも精華大学出身なので大演説されるんですけども。そのまさに偉大な中華民族の復興という風に言われてるんですね。
20世紀というのはこれ西洋に支配されていた、ある意味、時代。21世紀はまさに、その20世紀の前の世紀というのはほとんど中華民族が世界の中心であり世界の最強の国だったと。
それがこの21世紀復興していくのだと。こういう風な意味で偉大な中華民族の復興という言葉を使われてるんですけれど。中国のこの言葉を象徴するように大変な経済国になっていく。
おそらく2050年には当たり前に、ひょっとしたら2030年GDP世界一位になると思うんですね。そして2015年にはアジアのトータルGDPは世界全体の半分を超えていると思います。このアジアの時代の発展にどう乗るかというところですね。

まあこれ時流に乗るといってもいいかもしれない。もっと言えば潮流に乗ると。時代の潮流に乗る。
できれば時代の寵児になる。それはもう僕の一言で言えば戦略。従ってアジアで投資活動も、そして金融事業もどんどん展開していくということで。大体の布石は今打ってきたんですね。主要国にまず投資事業からスタートして、そしてその投資を通じていろんな金融の事業を始めつつあるという状況ですね。

宮川確かにアメリカはああいう現状ですし、EUの苦悩ぶりを見ますとやはりどうしてもアジアが浮き上がってきますね。

北尾もうパックスアメリカーナというのは終焉の時期に差し掛かっている。ドルを基軸通貨体制とする仕組みというのはもう持たなくなってきてますね。ですからこの21世紀というのは、ある意味西洋文明とその中国を代表とする東洋文明の衝突が起こる。文明の衝突という可能性すらある。そこの中で最も早く西洋化をした日本がどういう貢献をして、この西洋文明東洋文明のうまく橋渡しをしていくかと。片一方で、今まで世界を支配していたアメリカがどんどんその地位を落としていくわけですから、片方の中国はどんどんその地位が上がる。両方が覇権争いをするとこれはもう大変な問題になる。そこを上手くつないでいくのが私は日本の役割じゃないかなと思うんです。

宮川具体的にはなかなか難しそうなお国柄だと思うんですけどもね。

北尾ですからまず日本は日本自身を開かないといけないですね。全然まだ日本自身が主体的に開国をしてないといけない。今のところは全く開かれていない。例えば外国人の居住者が人口千人当たり0.何人しかいない。そんな先進諸国ないんですよね。移民も全く受け
入れない。こんなのダメですね。全部日本も変えないといけない。そうしたらそういう可能性というのは出てくると思うんですけどね。

宮川国内ではこれからどのように展開していくんですか?

国内での事業展開

北尾国内はもうインターネットの世界がますます進化してきますから、放っておいてもどんどん伸びていくと思うんです。例えば私どもSBI証券のお客さんというのは30代20代40代この辺が一番多いんですね。
他方ね、いわゆるリアルの証券会社、野村証券とかそうですけども。どこが多いかと言うと50代60代70代です。20年経ったらどうなりますか?70代の人が90代ですね。私どものお客様である40代の人は60代です。どんどんね私どもで1回商売をした人はそういうとこ行かないです。手数料が13倍14倍なんで行くのとこうなりますから。
ですから向こうのお客さんはどんどん減っていく。私どものお客さんはどんどん増えていく。そういう風になっていく。

インターネットは食い止められない流れまさに時代の潮流、時流

北尾インターネットはこれはなんぼ食い止めようと思っても食い止められない流れ。これがまさに時代の潮流、時流なんですよ。

宮川そういった時代のこれからのリーダーのなり方を是非伺いたいんですけれども。その例えば社内ではどういうことをおしゃってるんですか?

北尾のリーダー論

北尾これだけグローバルに色々事業を展開していくということになると、みんながやっぱりインターナショナルにならなきゃいけないと思うんですね。インターナショナルになるということは別に英語が上手いに越したことはないけれど英語が喋れますとか、上手くしゃべれますということではない。やっぱり日本人は日本人の特質をよく理解して、どんな歴史で日本民族というのは今日まで来たのかとか。どういう文化文明を持っているのかとか。そういうことを十分に中に入れながら相手のことも理解しようと。そういうフレキシブルな、でもベースは日本人でなきゃいけない。

お互いが理解しようと努める人が本当の意味でインターナショナル

北尾そういうものを持ってやっぱりお互いが理解しようと努める、そういう人が本当の意味でインターナショナルだよね。

そういうインターナショナルな人しか僕の後を継げない

北尾そういうインターナショナルな人しか僕は次の時代、僕の後を継げないと思いますね。ですから例えば中国人を上海のオフィスの拠点長にしたと。非常に優秀でB君と言うんですけど、この人にいつも言うんですよ。君は今上海の拠点長にしたけど、上海のここのことだけ、中国のことだけ考えたらだめだよ。我がグループ全世界におけるグループを将来どういう風に発展させるかということを、常に考えなさいと。僕は野村證券に入社する時、デイワンにお前何やりたいかと聞かれた時、僕はまだよく分からないと。ただ、どこで働こうともいつも考えるのは世界経済の中の日本経済、日本経済の中の金融機関、金融機関の中で野村證券。この三つの側面で常に物事を考えるようにしていきたい。こういう風に言ったと。お前もそうあってほしいという風に言っているんですね。そうやってスケールの大きい経営者になってもらいたい。僕は国籍だとか性別だとか一切関係ない。

能力的に優秀だけじゃなく人物として優秀な人が私の後を継いでくれれば

北尾もうどんどん外国人が、優秀な人が、優秀というのは能力的に優秀だけじゃなしに人物として優秀な人が私の後を継いでくれたらなと。

宮川そうしますとあまり社内で激を飛ばすと言う感じではない?

北尾いやもう結構ミーティングの時は厳しいですよ、それは。僕は目標というのは立てるのは非常に大きく立てますしね。まあ僕は昔から形名参同と言う韓非子の言葉がありますが。
形と名、すなわち目標と実績同じでないといけないと。目標立てるときに実績がここまで行きました。これは目標の立て方がむしろ悪いんだと。必死になって努力してようやく達成される目標を掲げないとだめだというような調子でやってますから、ものすごく厳しいですよ。

宮川あるべきリーダー像というのは北尾さんどういう風に?

北尾やっぱり自分の知力ですね。

自分の知力体力気力この三つが衰えてきたらリーダーの資格はない

北尾あるいは知力体力気力。この三つが衰えてくるとこれはもうリーダーとしての資格ないと思ってるんです。
知力気力体力、これが自らを劣ったなと思ったら自ら引くべきです。それが意外と周りの人が会社の中で言わないかもしれない。やっぱり家族だとか、そういう人が言うべきなのかもしれないですね。それよりも何よりも自分で気づく。データを見て北尾さんここに脳梗塞がいくつも出来始めましたよと。はい分かった、ありがとうと。さっともう次の年には身を引くと言うことだろうと思います。いつ引いてもいいように世界中で後継者候補を。

後継者候補を育てるとき一番大事なことは地位を与え権限を与えること

北尾この後継者候補を育てるというのは、一番大事なことは地位を与えて権限を与える、そしてやらせてみる。私ども一番最初、20歳代の人に公開会社の役員をやらしてました。役員と言うか社長ね。それもやっぱり抜擢人事です。

宮川自ら決める。今日はどうもありがとうございました。

北尾どうもありがとうございました。

※出演者の会社名・役職など掲載情報は、収録当時のものとなります。
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出演者情報

  • 北尾 吉孝
  • 1951年
  • 兵庫県
  • ケンブリッジ大学

企業情報

  • SBIホールディングス株式会社
  • 放送日 2011.08.14
  • 社名
  • SBIホールディングス株式会社
  • 業種
  • 銀行・証券
  • 本社
  • 東京都
  • 所在地住所
  • 東京都港区六本木一丁目6番1号
  • 資本金
  • 81,681百万円
  • 売上高
  • 39,524百万円(平成29年3月31日時点)
  • 従業員
  • 連結 5,070名 / 単体 196名

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