これこそベンチャー!「決めたらリスクをとって一歩を踏み出す」迫力
イー・アクセス株式会社
代表取締役会長兼CEO
千本 倖生
ADSLで日本をブロードバンド大国に押し上げた男は、さらにモバイルのブロードバンド化を目指していた。正統派のベンチャー企業とは何か、起業家とは何かを身をもって示そうとしている男の、ビジネスへのスタンスとは?
千本そう。早いとこ切らなきゃいけない。だから向こうは定額制だったんです。これはインターネットの料金とスピードがこんなことになってると。高速道路に例えると、日本は農道をガタガタ走っている、向こうは高速道路5車線の道を走っている、こんなのやってから日本の全産業おかしくなるだろうと。
それがブロードバンド革命をなんとか日本に早くやらなきゃいけないという焦りみたいなものがあって、それでビジネスプランを書いてたんです。ところがそのときにある一人の男に会って、これゴールドマン・サックスのナンバーワンのアナリストだったんですかね、通信の。エリック・ガンという、今のうちの副社長やってるんですが、彼と会って「これからやっぱりブロードバンドすごいことになるよね」と「インターネット、すごい変わるよね」「なんかやらないとこれ危ないね」ということで、「じゃあやるか」と。で、「君はゴールドマン・サックス辞めろ」と、「俺は慶応を辞める」と、お互いに辞めないとフルコミットできないじゃないですか?
蟹瀬その決断というのはわりと迷いなく、ポンといってしまったんですか?
千本いや、それはやっぱり慶応の教授をやっているといいことあるわけです。それがまた二人でトタン屋根の小さなベンチャー始めるとなったら、やっぱりある種の決断は要りましたよね。
蟹瀬しかし今、お話を伺ってると、やっぱり決断もすごいスピードでやらなければいけないということ分かりましたけど、今後の事業展開なんですが、ただADSLの会社というイメージがどうしてもわれわれはあるんですけど、そういうことではないわけですね?
千本そうですね。やっぱり日本見てますと、おかげで孫さんとか私どもがADSLに入って、2000年の頃のブロードバンドというのはせいぜいISDNの64キロビット、値段が1万円の世界が、いまや50メガビット、値段が2,000〜3,000円の世界。これは世界で最も速いスピードで、例えばアメリカはまだ0.5メガですから、イギリスがやっと1メガですから。
蟹瀬グアーっと追い抜いていったいう感じなんですね?
千本だから完璧にこの36カ月で最低の国家から世界最高の国家になったわけ、これやっぱり規制緩和のポリシーがうまく僕らがもぎ取っていったことと、もう一つは孫さんとか私とか、そういったアントレプレナーが出てきて、またNTTと戦って、それで日本の今、規制緩和の状況というのは世界で最も、このADSLに関してだけですが緩やかになんだと。
蟹瀬そうなんですか。
千本だから最低の国家から最高の国家にわずか3年半でなってしまった。
蟹瀬千本さんは、ではこれからどういう夢といいますか、これをやってやろうというのはおありになりますか?
千本やっぱりこれから見ると、世界の大きな動きはブロードバンドなんだけれども、動くモバイルの世界に入るんですよ、モバイル。だから今ADSLとか光と言っているけど、それは……。
蟹瀬それでイー・モバイルって会社も子会社作られた?
千本そう。だから今まではADSLとか光というのは固定、つまりうちの中とかオフィスの中、動けないじゃないですか。
蟹瀬はい。
千本で、日本は幸いにしてアメリカとかヨーロッパの50倍のスピードの固定のブロードバンドはうまくいった。だけど一旦外へ出ると、今、僕がPHSなんか使っているんだけど、128キロビットですよ。
蟹瀬そうですよね。
千本とすると、うちの連中からデータ、ボーンとファイルを送られると動かなくなる。つまり固定の2000年の状況が、まだモバイルではあるわけですよ。だからここをなんとか何メガビット、10メガビットの世界にするというのが、ここが今全世界が注目しているモバイルのブロードバンドの世界。これが次の巨大な潮目なんですよ。
蟹瀬本当にユビキタス?
千本ユビキタス、そうそう。
蟹瀬情報が手に入るというような。
千本だからこれはまだアメリカもあまりやってない。だからここのところが、おそらく日本でいうと何十兆円の世界に来るわけです。そこをやる会社、イー・モバイルという会社をこの間作ったわけですよ。
蟹瀬とすると千本さんは、当分これからはゆっくり休むということもできそうもないですかね?
千本いやいや。それは私どもの中にもトップマネジメントでいい人材がどんどん育っていますから、だからやっぱり時代、世代交代というのは必要ですし。ただそういうところにインボルブして、日本のこういうブロードバンド革命とか日本のこういったハイテクの革命とか、そういったものに対してやっぱりちゃんとコミットしていきたいとは思いますよね。
蟹瀬常にチャレンジ精神を持って、新しい視界を開いていくというね。
千本楽しいですよ。
蟹瀬これから大事ですよね?
千本リスクはあるけれども、もちろんリスクあるんです。だけども
千本リスクというのは恐れ出すとものすごく怖いわけですね。やっぱりリスクをのみ込んでいって前に一歩踏み出すということをやって、それがやっぱり自分の利益にもなるんだけど、やっぱりもっと大きな社会を変えるとか、社会の仕組みを変えるとか、消費者をよくしてあげるとか、そういう大きな大義を中に持っているような、ベンチャーとか新しい企業を作らないと日本は駄目になりますよね。
蟹瀬やっぱりそういう志を持った若者がこれから出てきてくれると本当にうれしいと思いますけどね。
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