情熱的に生きるキーワードは「INSPIRE」マーケティング本当の意味に迫る!!


日本コカ・コーラ株式会社
会長
魚谷 雅彦

特選インタビュー

100年に1度と言われる厳しい不況下にある日本。物が売れなくなっている今の時代、解決する方法はあるのか?! しかし、ここに120年愛され続けているブランドがある。本物のブランドを作るマーケティングを語る、日本コカ・コーラ株式会社の魚谷雅彦会長。魚谷雅彦会長が言う、その未来の選択とは?

1994年の全国発売以来、15年以上にわたって親しまれているナンバーワンブレンド茶の爽健美茶が次世代型ペットボトル、フラットボトルを採用した。

魚谷お茶っていうのは、当時、缶に入っていたりと。ペットボトルに入ったお茶なんか誰も日本人は買わないよっていう。

蟹瀬そうでした。

魚谷よく言われましたね。

蟹瀬もともと、だいたいお茶っていうのに、お金を払うっていう文化はもともと無いのですから。

魚谷したがって、それであればお金を払っていただけるためには、家庭で作れないようなお茶を、我々は目指すべきだ。ブレンドした、ああいう自然の素材を入れたものを作っていたのですが。最初は、それほど大きくヒットするかどうか全然分からなかったので。福岡をはじめ、九州の方で自動販売機にだけ入れて、テスト販売をしていたんですね。

当時、爽健美茶の開発チームの一員として九州でマーケティング調査を担当した斉藤さんに話を聞いた

斉藤我々は数字で爽健美茶は九州エリアで伸びるらしいと。これは、全国販売しても良いんじゃないかとっていうお話を、魚谷さんに差し上げたんですけれども。「何が良いんだと」。すいません。数字しか見てないので分かりませんって行ったところ、それで人を説得できるのかっていうところで、自分たちが福岡に行って直接、消費者に聞いて来いと。

魚谷それで、そのチームの人たちが「いや魚谷さん。いろいろ資料を見ると何にも広告だとかやっていない爽健美茶の売り上げが毎週、自動販売機でけっこう伸びているんですよ」と言いにきたんですよね。直感的にこれは面白いと思ったので、二人の若い人に明日から3日間、君らは福岡に行ってきなさいと。自動販売機の横に立って2つのことを見てきなさいと。1つは、どんな人が買っているか?ターゲットにしていたのは、若い女性でアクティブに仕事とかをしている人。その通りかどうか確認しなさい。2つ目は、その人に質問しなさい。

蟹瀬どういう質問なのですか?

魚谷飲んでいただいている方に、大事なことはいつもこれを続けて飲んでいただいているかどうかということを、聞いてきてくださいって言ったんですね。

従業員お客様の声を実際に聞くことで、やっぱりすごく好きな方が多い。好きな人というのは、日に1本や2本飲んでいるっていうくらい好きな人が多かったので、これいけるっていうのが、数字だけではなくて肌感覚として実感できましたね。

魚谷3日経って2人の若い人たちが東京に帰ってきました。報告に来た時の目を輝かせて凄いことが起こっていますって言った、あの表情は今でも忘れられません。

蟹瀬それは、どういう凄いことが起きていたのですか?

魚谷買っていただいているのは、本当に20代くらいの女性の若い方ですね。こういう方が中心にこれしか私は飲みませんって言ってくれていると。何故かってことを調べてみると、常に私たちが狙っている通り、ブランドのコンセプト通りに爽やかで健やかで美というのにも良いと。こういうのがしっかりと認められている。何も広告だとかのコミュニケーションをしていないんですよね。

蟹瀬ドンピシャだったのですか?

魚谷はい。

蟹瀬発売していくまでには、いろいろな経過があるわけでしょう?

魚谷はい。

蟹瀬そうやって口コミで広がったにせよ、その辺の発売までの経緯というのはどういう感じなのですか?

魚谷一つは、彼らが3日間居て、戻ってきてあの報告を聞いて私は、一切市場調査はやめようと。この言葉、現場で情報を得てきた。これが全てだと思ったものですから。
通常は、よく確認のための調査をやったりいろいろやりますけど、それを一切やりませんでした。このブランドを生み出すのに市場調査は一切やっていないわけなんです。
それからいよいよ全国に大々的にマーケティング、広告だとかやってですね。発売しようと提案のしたんですが、一つ目には私たちのビジネスの仕組みから言うと、全国にあるボトラー社というパートナーの会社があって、こういう企業が製造とか販売をしていますから、この人たちに発売のことをよく理解してもらわなきゃならないと。反対が強かったんですね。最初。

蟹瀬そうなのですか。どのあたりの反対が強かったのですか?

魚谷あまりそんなに大ヒットするとは思えない。大きなコンビニエンスストアのお客様にも、持って行って提案したところ漢方薬みたいな感じだと。

蟹瀬漢字が4つ並んでいるから。

魚谷それほど売れるとは期待できないね、という反応があったりしましたね。それで私たちが考えたのは、それであればこのブランドの素晴らしさを、ちゃんとエッセンスを込めた広告を作ってしまおうというので作ったんですね。これには、いろんなストーリーがあるんですが、裏側にですね。おそらく、20いくつくらいの広告代理店さんからの提案の案を却下しました。これだという納得できるものが無かったんですね。それで最終的に出てきたのは女性の美を象徴するのは、ミロのヴィーナスじゃないか?っていう。

蟹瀬そこまで行きましたか!

魚谷はい。あの美しい裸体ですね。それをモチーフにして、スレンダーなタレントさんに出ていただいて、あまり有名じゃないタレントさんですね。そういう方に素の良さを、音楽を入れないでアカペラの歌手のもとで提供しようと。

蟹瀬そのオーディションというのは、けっこう大変だったでしょう?

魚谷ええ、何週もかけて30人くらいオーディションして、この人って一応決まったんですけれども。私としては、なんとなくギリギリまでこだわりたいという気持ちがあって。それで、撮影が翌日だってくらいの時に、悪いけれどもう一度だけオーディションやってくれないかと代理店さんに頼みまして。それで最後の最後にじゃあって出てきた一人の人を見た途端に、私たちのスタッフもクリエイティブの人も全員、この人だって思える人が居たんですね。

蟹瀬その人がCMに出ているのですか?

魚谷出ていただいたんです。その辺はですね。本当に妥協しなかったということが、最終的に良い結果につながったという気がしますよね。妥協せずに、私だけではなくて、一緒に携わっているスタッフも追い込まれているところ、やっぱり何か運を呼び込めるんじゃないのかなと思うんですね。

蟹瀬単に社長の趣味の問題じゃないかって、反発した人もいたんじゃないかっていう、気がしますけどね。でも、そうではなかったのですか?

魚谷はい。

出演者情報

  • 魚谷 雅彦
  • 1954年
  • 奈良県
  • 同志社大学

企業情報

  • 日本コカ・コーラ株式会社
  • 放送日 2010.04.11
  • 業種:
  • サービス業
  • 本社:
  • 東京都
  • 所在地住所:
  • 東京都渋谷区渋谷4-6-3
  • 資本金:
  • 36億円
  • 従業員:
  • 487人(2017年3月31日時点)

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