コンサルタントは語る!「失敗から何を学んでいるか」の重要性
株式会社プロノバ
代表取締役社長
岡島 悦子
日本に一人でも多くの経営者を輩出したい。そして、40歳の社長を生んでいきたい。こう提唱しているリーダーシップ開発コンサルタントがいる。注目を集めるコンサルタントが語る、なぜ「40歳」なのか、これからの時代に必要なリーダーとは?
岡島そうですね。なので、私たちは連続のイノベーション、持続的なイノベーションみたいなこと、改善みたいなことは企業の中で死ぬほどやっていただいていると思いますので、ただ、これが習い性みたいになっていますので、逆に言うと、失敗しないように課題解決をしていく、効率的に課題解決をしていくことが最適なメカニズムとして、体の中にみんな入ってしまっている感じですね。
それで、今、申し上げている破壊的イノベーションは、全然枠組みが違って、理論的に、論理的に出てくるようなものではなくて、どちらかというと、直感的だし、共感的だしという、今と違う連続性の中にあるので、黙って現場に任せておけばできるという話ではまったくないですね。
松田そうですね。
岡島なので、方向性は決める。その中でリーダーが環境を整備するということだと思いますし、よい摩擦を起こすみたいなこともやっていかないと……。
松田敢えて、摩擦を起こす。
岡島はい。できないってことですし、縦割りの組織の中ではできなくて、やはり、横を通していく、離れたもの掛け算ですし、それから仮説検証していかないといけないので、失敗ありきなんですよね。
先見的な企業さんではチャレンジした数みたいな……、成功した数ではなくて、失敗した数をKPI(重要業績評価指標)に置こう、みたいなことをやり始めていかないと、このバイアスを壊すようなトライアルができないので、現場に任せるという現場主義をやっているよ、ということとは全然違いますよね、と申し上げているのですけれども。
松田面白いですね。KPIに失敗の数を置くというのは確かに面白いですね。これだけ失敗したから、これが生まれたんだということが明確に残るので、そこがなかったら、ただ単に成功事例だけが残ってしまいますからね。
岡島そうなんです。そうなると失敗したくないので、みんなチャレンジしないので、母数がないんですよね。母数が出ない限り、イノベーションなんて生まれないので、そこをどんどん進めていくという意味でいうと……。
今の感じでいうと、オーナー、経営者がいらっしゃるところはやるとおっしゃっていただくので、この破壊的イノベーションを経営者が後押しするということがすごくできている企業は多いですね。
今まで日本の企業ではなぜ、破壊的イノベーションが起こりにくかったのか? それは日本独特の企業文化にあるという。
岡島破壊的なイノベーションは何かというと、なるべく遠いものの掛け合わせなんですね。ここで新結合みたいなことが起きるのがイノベーションの基本なんです。
まったく違う組織、同じ会社の中なんですけれども、職域が違ったり、機能が違ったり、事業部が違ったりというところの、掛け算、三遊間みたいなところで、おそらく、イノベーションが起きる。
ただし、お作法がみんな違うので、いろいろな部署にサブカルチャーがありますので、明らかに摩擦が起きるようになっているんですね。
摩擦を起こさないように、今まで部分最適で来ていたところを、これは起こすことをしていかなければいけないので、「そんなお作法なの?」みたいなことがやはり、そろわない。
でも、そろわないからこそ、多様性みたいなことだったりもする……。
松田面白いですね。今までの日本の文化って、和を重んじるというか、協調性をすごく需要してきていますが、逆ですね。逆にこう、ぶつかって……。
岡島だから、ダイバーシティって、皆さん、おっしゃっていて、女性活躍みたいに矮小化されているんですけれども、これって違う視点を持っている人たちが集まる。
岡島でも、これって、とても居心地が悪いんです。
松田確かに居心地が悪いですね(笑)
岡島だって、暗黙の前提について、いちいちなぜなぜ聞かれるわけじゃないですか。
松田共通の言語で喋れないし、阿吽の呼吸がない……。
岡島なぜ、この枠組みでフォーマットを作らなければいけないのかという話になるので、ものすごく居心地が悪いんですけれども、新しいものが生まれる可能性はある。
リーダーの仕事は摩擦を敢えて起こすこと。それで、水がたまると腐っていくみたいな話があると思いますけれども、組織もだんだん正常化していくと思っていて、日本企業のいいところは割と、異動を起こしているので、これによって揺らぎが起きていることですね。
松田部署間の異動ですか?
岡島そうですね。なので、中途が少ないという意味では、揺らぎが起きていないですけれども、割と若手の異動とかはやっているところでは揺らぎが起きていると思っています。
メンバーがずっと変わらず、みんなで同じ仕事をずっとやっているということをしていくと、やはり、だんだん成長曲線が陳腐化していくので、このときに新しい視点を入れることが揺らぎ。
イノベーションって、カオスの淵ではないですけれども、揺らぎが起きたところで起きると言われているので、これをどういうふうに組織に持ち込むか?
だから、組織を固定化しないということがすごく重要で、今までみたいに年齢別の階層になっているとか、部署の異動があまりないとか、中途がいないとか……、ということよりは下剋上もあるし、いろいろな揺らぎを起こすということをやって、常に新しい視点を入れる。そして、「その常識って本当なんだっけ? お客様って本当にそれを求めているんだっけ?」って言える人たちの視点が入ってくるというところから破壊的なイノベーションを起こすという……。
松田組織が固定化していると、「そうして当たり前だろ」と上からつぶされてしまいますからね。
岡島そうですね。
松田どうしても長く会社にいればいるほど、成功事例が凝り固まってしまいますよね。「自分はこうやってきて成功した。だから、これをやれば成功するはずだ」という教え方をどうしても部下にしてしまうではないですか。そうではないですよね、今の話は?
岡島そうですね。それは効率化のためにはすごくいいんです。だから、型を作るみたいなことで、課題解決の型がすごくできているんですけれども、そこでやっている方々は、敢えて、言葉を選ばずに言うと、型をとにかく速く回すという正解ゲームみたいな形になってしまっています。
でも、ここからは、やはり、イノベーションが生まれにくいんですよね。なので、なんとかして、これを新しいパラダイムのほうにしていくということをやっている感じですね。
松田なるほど。
非連続の成長、破壊的イノベーション、揺らぎなど様々なキーワードでひも解かれる岡島からの提言。そして、いよいよ話は40歳社長待望論の核心へと進んでいく。
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