イノベーション都市深圳レポート3 日本の対抗軸はオープン&クローズ


時代刺激人 Vol. 303

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

イノベーション都市深圳レポート3
日本の対抗軸はオープン&クローズ

中国国内各地からビジネスチャンスを求めて、あるいは出稼ぎ労働で押し寄せる「移民」、そして海外留学からスタートアップで帰国する海亀組によって人口が1190万人に膨れ上がった香港そばの巨大都市深圳。その人口の平均年齢は32.5歳。成長への執着心の強い人たちを中心に人材集積、そしてハイテク・ローテク技術の集積があり、しかも電子部品を軸に数時間で部材を供給できる製造業サプライチェーンが出来ている。そこに深圳版エコシステムというヨコ連携の独特のイノベーション起こしの仕組みが作動し、時価総額10億㌦(円換算1100億円)のユニコーン企業などを数年内に誕生させている。

過去2回の現場レポートでご紹介したとおり、中国深圳はアジアのシリコンバレーと名付けてもおかしくないイノベーションセンターだ。この現実を見て、日本はサプライズだけでは今や済まされない。深圳から何を学びとり、どう対応するかが問われている。

自前主義と決別し、オープンイノベーションで必死かつ大胆にチャレンジを

そこで、私の問題提起だ。結論から先に申し上げよう。深圳でのスタートアップ企業のアイディアをすぐ製品化するメーカーズスペースといった、オープンな技術情報の交換広場システムはじめ参考になるものが多かった。しかし日本は、これら深圳モデルを真似ても無理がある。それよりも日本企業が自らの強み、弱みをしっかり見極め、その力をフルに作動させる新たな日本版エコシステムづくりに踏み出すしかない、と私は考える。

その軸になるのは、やはりオープンイノベーションでないかと思う。ところが日本では、このシステムについては誰もが重要と認めながらも、産学連携など大学や研究機関とのおつきあい程度の連携にとどまった。肝心の企業内部でも、総論から、いざ各論に移った段階で、自前主義が災いし、実体が伴わず現在に至っている。
でも、私の見る限り、日本はこのオープンイノベーションの重要性を再認識し、必死でチャレンジするしかない。その際、企業はレガシーと言われる過去の成功体験に執着せず、しかも自前主義、とくにすべて自前でやり遂げるというフルセット型、垂直統合型自前主義と決別し、時代の先を見据えて、既存の枠組みと違って新しい発想で動く内外のスタートアップ企業などとオープンに積極連携することだ。

強みのコア技術を知財特許で固め、それを武器に他企業とオープン連携が重要

そのカギを握るのがオープン&クローズ戦略だ、と私は最近、実感している。具体的には、強み部分のコア技術、秘伝のたれの技術を知財特許でしっかり固め、それを武器にさまざまな企業と大胆にオープンベースで連携し、知識情報や技術情報の交換を行って新事業にチャレンジする。クローズドの強み技術部分をうまく活かすことがポイントだ。

日本企業は、優れもののオンリーワンの技術に加え、品質管理技術、メインテナンスの技術など、他の国々に比べて、まだまだ強み部分を持っている。だから、あとは自前主義を捨てて、新たにオープンイノベーションによって、広い外部の世界に横たわる新事業創出のビジネスとの連携を探ればいいのだ。あとでも述べるが、日本にとっては、そのオープンイノベーションの展開の場の1つが、アジアの成長センターだと考える。成熟市場とはいえ、人口減少で内需先細りの日本にしがみつく必要はない、と思っている。

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