生活の代弁者として提案するアイリスオーヤマのアイデアの源泉とは
アイリスオーヤマ株式会社
代表取締役社長
大山 健太郎
プラスチックがまだ新素材としてもてはやされていた頃、業界で初めて透明なプラスチック、ポリプロピレン樹脂を開発したのが、アイリスオーヤマ株式会社。メーカーベンダーという新しい業態を提唱した代表取締役社長 大山健太郎が語るものづくりとアイデアの源泉とはどのようなものか。グローバルな視点から語る。
大山だから会社の社員ですと、それは業務でやりますけども、奥さんは忙しいわけですから、子育てとか……。
蟹瀬極端なことを言えば、「セーター」って、開けたら毛布が入っているみたいなことですね?
大山そうなんです。そういうことで結果、もういっその事、いちいち箱を開けなくても外から見て見えたほうがいいのではないかという発想でしたね。ただ、そうかといって、今でこそ簡単なのですが、その当時、中身の見える収納ケースの原料というのはなかったのです。
蟹瀬透明のプラスチックって結構難しかったわけですか?
大山透明のプラスチックはCDケースもそうですけども、大体落とせば割れるのです。大きなもので透明になると、結局は衣類入れるわけですから重いですし、落として割れては困ると。
蟹瀬で、柔らかくなってないとうまくいかないでしょうね?
大山そうなんですよ。ですから、ポリプロピレンでよりクリアに近い原料を、原料メーカーさんと一緒に2年ぐらいかけて開発しまして、できたときには、もうおかげさまで独占状態、原料からですからね。
蟹瀬それはそうでしょう、だってみんな困っていたわけですから、その当時はね。
大山はい。
蟹瀬だけどアイデアだけじゃやっぱり駄目なわけですね。
大山そうですね。
蟹瀬その作るという、そこまでのつながりが、2年と今、おっしゃいましたけど。
大山そうですね。それでおかげさまで市場が変わっていったのですが、もうわれわれの供給力をはるかに超えるニーズがございまして、慢性的に商品が品不足という状態が続きましたので、当然それを見ていますと、競合のメーカー、同業も2、3年後参入してくると。
蟹瀬それはそうですよね。
大山するとあっという間に50社ぐらい増えてきまして、すると先ほど申し上げたように、やっぱり過当競争イコールやはり利益が出ない。で、私が、われわれがつくったマーケットであっても儲からない商売やめようよ、ということで、当社のクリア収納の売り上げを半減に落としまして、われわれのコンセプトを理解いただけるお店には出そうと。
それで、このニーズは間違いなくアメリカやヨーロッパにもあるだろうという仮説のもとで、余った機械、金型をアメリカに持っていったのですね。ですから競合が出てきて過当競争にならなければ、多分このクリア収納もグローバルにならなかったのだろうと思いますね。
蟹瀬だけど考えてみると、プラスチックってアメリカから来たのですよね?
大山そうです。
蟹瀬するとアメリカ人だって、物をしまうのが得意じゃないですから、先に作っていても不思議ではない気がするのですけどね。
大山収納っていうのは今まで、やはりいかに上手にしまうかと、しまう収納だったのです。アメリカはクローゼット大きいわけですから、しまう、実はソリューションがなかったわけですよね。
蟹瀬あまりそんなこと考えなくてもよかったのですね?それで。
大山ただし、実は収納用品というのはいろんな、それこそ女性の下着も入っていればハンカチも入っていれば靴下も入る、すると今度探すのが大変。で、われわれはそのコンセプトを、「探す」収納という切り口、そうするとアメリカにもやっぱり探す不便があるわけですから。
蟹瀬それはそうです、同じ人間ですから。
大山はい、そうなんです。それでアメリカで工場をつくってスタートしましたら、半年もしないうちに爆発的に売れまして、その当時は原料もアメリカになかったですから日本から原料をコンテナで運びましてね。すると2年もすると、またアメリカも……。
蟹瀬追いついてくるのですよね、当然。
大山そうなんです。
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