翼の再生を納得する「フィロソフィ」の中身とは? 元操縦士の挑戦と行き先
日本航空株式会社
代表取締役社長
植木 義晴
ナショナルフラッグキャリアとして、戦後日本の高度経済成長の一端を担ってきた航空会社、日本航空が2010年1月19日に経営破綻した。JALの再建を請け負った、京セラ名誉会長の稲盛和夫は、破綻後わずか2年8カ月というスピードで、東京証券取引所第1部への再上場を成し遂げた。JAL再生のために稲盛が手掛けた改革の2つの柱。それは「意識改革と部門別採算」であるが、驚異のV字回復を成し遂げるに至ったその原動力は、経営幹部から現場のマネージャークラスまでを対象に行われた、リーダー教育だと言われている。その再建の中心で、稲盛イズムを直接受け継ぎ、生まれ変わった日本航空株式会社代表取締役社長植木義晴が目指す新生JALとは、その全容に迫る。
植木パイロットの育成で難しいのは、例えば機長を作るためには、採用してから15年ぐらいかかるというですね。15年20年先を見越して養成をしていかなくてはいけない。われわれ日本航空には強みが2つありまして、1つは先輩が作り上げてくれたJALブランドというもの。したがってパイロットになりたいという若者が、みんなJALに入社したいと言ってきてくれます。もう1つは自社養成制度というのを持っているところですね。この自社養成制度というのは、普通の大学4年出られた方を、パイロットという職種別の採用をかけまして、自社で約3年かけて育て上げるんです。期間もかかりますし、莫大な投資になりますけれども。
蟹瀬その間コストになりますね。
植木そうです。そこで最高の人財を築きあげることができると。それが安全を守るために、フルサービスキャリアとして必要なことなんだ、というふうに理解をしています。
蟹瀬あってはならないことでしょうけど、当然事故が起きたりとか、緊急事態とかありますよね。そういうものに対する教育というのもかなりしっかりなさっているのですか。
植木もちろん、パイロットもそうですし、客室乗務員に対しても緊急の場合の処置、これを定期的に訓練をしています。彼女たちはそれのプロとして訓練を受けていますので、冷静に堂々とやってくれていますね。安全は一過性にみると、パイロットと整備で作り上げるものだ、みたいに思われるかもしれませんけれども、われわれはグループ社員3万2000人全員で作り上げるものだと、こう思っていまして、したがって1日がかりでの安全教育というのがあるのですけれども、これは3万2000人全員に受けてもらっていますし、電話を取って予約を受ける彼女にしても、カウンターに立っている子にしても、全てが安全の面で貢献をしているんだと、そういうことを常々言ってます。
蟹瀬安心を乗せて飛べるというのはね、われわれ乗るほうからすると、まず第1にそこですものね。今のお話を伺って少し安心しましたね。
植木ありがとうございます。
白石それでは3つ目のキーワードは何でしょうか。
植木「継承と挑戦」です。
植木義晴のもと、全社員で目指す新生JALへのキーワード、「継承と挑戦」その真意に迫る。
運航安全推進部運航安全評価室機長・山入端主体的に自分からという意識が強くなったのではないかなと、考えています。
羽田第1客室乗員部・清水世界一お客様を愛し、愛される会社を、今目指しているところだと思っています。
羽田事業所第1部国内パッセンジャーサービス・相澤一人一人の会社に働く意識がすごく変わったと思います。
出演者情報
企業情報
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク