翼の再生を納得する「フィロソフィ」の中身とは? 元操縦士の挑戦と行き先


日本航空株式会社
代表取締役社長
植木 義晴

特選インタビュー

ナショナルフラッグキャリアとして、戦後日本の高度経済成長の一端を担ってきた航空会社、日本航空が2010年1月19日に経営破綻した。JALの再建を請け負った、京セラ名誉会長の稲盛和夫は、破綻後わずか2年8カ月というスピードで、東京証券取引所第1部への再上場を成し遂げた。JAL再生のために稲盛が手掛けた改革の2つの柱。それは「意識改革と部門別採算」であるが、驚異のV字回復を成し遂げるに至ったその原動力は、経営幹部から現場のマネージャークラスまでを対象に行われた、リーダー教育だと言われている。その再建の中心で、稲盛イズムを直接受け継ぎ、生まれ変わった日本航空株式会社代表取締役社長植木義晴が目指す新生JALとは、その全容に迫る。

今後のビジネス展開

白石賢者の選択leaders、本日のゲストは日本航空株式会社、代表取締役社長の植木義晴さんです。

蟹瀬羽田空港のほうもずい分国際化が進んで、競争も激烈になっていますけれども、このへんの収益の考え方ですね。どういうふうにこれからビジネス展開していくのか、このへんはなかなか難しいところだと思うのですが、いかがでしょうか。

植木羽田に国際線の離着陸の枠が広がりまして、うちで言えばヨーロッパでパリとロンドン、それから東南アジアでシンガポール、バンコク、それともう1つホーチミンですね。この5つの新しい路線を設定することができました。この意味は何かと言うと、成田よりも地方の方が、羽田に来られてそのまま乗り継いで行けるという、非常に利便性が高まりましたし、今ご存じのように外国からのお客様も非常に増えております。

こういう方も羽田で乗り継いで、いろいろな地方に行っていただくことができる、こういう面では新しい展開。それから成田は成田で、われわれは国際と国際のハブというかたちで使っていこうと、そういうふうに思っていまして、今回ニューヨーク線とジャカルタ線の増便をさせていただいて、ネットワークの充実を図っていきたいと思っています。

蟹瀬国内線もだいぶ飛ぶようになりましたね。

植木経営破綻のときに残念ながら閉鎖をせざるを得なかった路線があるのですけれども、そのうちの6路線をピックアップしまして、今年は夏季限定ですけど、その6路線を再開させていただきたいと、そのように思っています。

蟹瀬さて3つ目のキーワード、「継承と挑戦」

継承と挑戦

蟹瀬これはなかなか大きな話になりそうな気がするのですが、具体的に教えていただけますか。

植木簡単に言うと、よきものは継承し、かつその上でどんどん新しいものに挑戦をしていくと、こういうことを言っています。

JALの挑戦

蟹瀬具体的に挑戦というとどういうことがあるのですか。

植木一番大きな挑戦をしたなと自分たちでも思うのは、SKY SUITE37という新しい客室仕様を出させていただいたこと。これは去年からなんですけれども、ボーイング777の300ERという機体で、まずビジネスは今までフルフラットを持っていませんでしたので、フルフラットのビジネスを作りました。

もう1つ決断をしたのは、エコノミーのシートのピッチ、縦の間隔なのですが、これを10センチメートル広げたのです。そのせいで実はわれわれの商品である席は15パーセント減ってしまったと。一機運航する経費というのは変わらないですよね、席に関わらず。その中で売るべきシートを15パーセント失ったのですけれども、それでもわれわれは世界一の商品・サービス、これが提供できる航空会社になりたいという思いで、これはまさに経営破綻になった2010年に決めました。当時のわれわれの1つの夢の象徴でもありました。

蟹瀬たかが10センチメートルだけど、これが大変なことなんですよね、ビジネスからするとね。僕はエコノミークラスに乗るでしょう、そうするとこの10センチメートルの差ってものすごく大きいのですよ。だからこの飛行機に乗ったと。また元通りのどこかの航空会社に乗ったら、またやはりこちらに乗ろうと思うのですよ。

植木ありがとうございます。

蟹瀬そのへんのロイヤリティで、売り上げのほうへ繋げていくということも考えられるでしょうね。

植木おかげさまで15パーセントの席は減らしたのですが、以前よりも多くのお客様に、しかも高単価のお客様に乗っていただけるようになって、1機当たりの収入は実は増えました。そういう意味ではお客様に受け入れられてよかったなという思いがありますし、国内線では新しいSKY NEXTという、総革張りのシートを導入しましたけれども、それよりもむしろ思い入れがあるのが、全機77機に国内で初めてインターネットを装着すると。

蟹瀬Wi-Fiがね。

植木今国内線で飛んでいる飛行機は、他社も含めて1機もついていないんですね。その中でわれわれは全機にいれるぞと、新しい国内線のサービスを作っていくんだという思いで挑戦させていただきました。

蟹瀬そうやって考えていくと、先ほどおっしゃったハードの部分でも、ものすごく進んでいくだろうし、ソフトの部分でもまだまだ改良点があるということですね。

植木どうしてもそのハード、ソフトの部分というのはサイクルがありますので、そう毎年できることではないので、その間を埋められるのはヒューマンのサービスだというところには変わりないところだと思います。

蟹瀬とすると、継承すべきものというのは何なんですか。

出演者情報

  • 植木 義晴
  • 1952年
  • 京都府
  • 航空大学

企業情報

  • 日本航空株式会社
  • 放送日 2014.06.22
  • 業種:
  • 鉄道・航空
  • エリア:
  • 東京都
  • 所在地住所:
  • 東京都品川区東品川二丁目4番11号 野村不動産天王洲ビル
  • 資本金:
  • 3,558億4,500万円
  • 売上高:
  • 1兆3,366億円(グループ連結:2016年3月期)
  • 従業員:
  • 31,986人(グループ連結:2016年3月時点)

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