ロングセラーは「顧客のライフスタイル」が決める!?売れる必然の秘密とは


株式会社オークローンマーケティング
代表取締役社長
ハリー・A・ヒル

特選インタビュー

家電、フィットネス、美容、レジャーまで。私たちの暮らしを豊かにする商品を数多く提供し、ショップジャパンブランドを掲げ事業展開しているのが、株式会社オークローンマーケティング。ショップジャパンでは数々のヒット商品をつくるだけではなく、それをロングセラー商品に育て上げ、提供し続けている。今回は独自の戦略でショップジャパンを運営する、オークローンマーケティングの代表取締役社長ハリー・A・ヒルの成長戦略に迫る。

白石私なんかは美容器具とか買いますし、今すぐ必要じゃなくても便利かなと思って、買ってしまうんですよね。

蟹瀬ただものがテレビの前に置かれていて、お客様が買うかというと実はそういうわけでもなくて。その背景には大変優れたマーケティング戦略、これがあるんですね。というわけで今回は独自のマーケティング戦略で、新たなビジネスモデルを確立した企業に注目します。

この商品を知っていますか?

白石本日のゲスト、株式会社オークローンマーケティング 代表取締役社長のハリー・A・ヒルさんです。よろしくお願いいたします。

蟹瀬よろしくお願いします。

ヒルよろしくお願いします。

蟹瀬女性だけかと思ったらちゃんと。

ヒルレディースファースト、ちょっと優先しました。

白石ヒル社長、大変日本語がお上手ですよね。

ヒルまだまだですけれども、どこから見ても日本人ですね。

(一同笑い)

蟹瀬ユーモアのセンスもすごいですね。

白石失礼ながら社名を聞いたときに、あまりピンとこなかったんです。でもショップジャパンというと、やはり誰もが知っている有名な会社ですよね。早速なんですが、オークローンマーケティング、一言で言いますと、どのような特徴を持った会社ですか。

ショップジャパンの商品やサービスを通して、お客様のライフスタイルにより良い変化をもたらすブランド(会社)

ヒルお客様がわれわれの商品とサービスを通じて、より良いライフスタイルに変換して、もたらすブランドです。

蟹瀬その背景にはいろいろなマーケティング戦略とかあるわけで、そのへんのところをじっくり今日はお話伺いたいと思います。

ヒルよろしくお願いします。

白石それではここで、ヒル社長のプロフィールをご覧ください。

株式会社オークローンマーケティング代表取締役社長、ハリー・A・ヒルは1963年アメリカ合衆国カリフォルニア州で生まれる。1985年コーネル大学卒業後、来日。1990年国際ビジネスを展開する会社を日本で起業。1999年株式会社オークローンマーケティングに入社。2006年代表取締役社長に就任、現在に至る。

日本への目覚め

蟹瀬日本に関心をお持ちになったというのは、どういうことがきっかけだったのですか。

ヒル最初は大学で少林寺拳法に出会いました。

蟹瀬少林寺ですか。

ヒルはい、もう1つは大学の2年生と3年生の間に、けがして治療している間に、自分の人生を見つめなおした時期がありました。その時は『Japan as Number One』という本を読んだんです。

蟹瀬一番経済が盛んだった80年代ですね。

ヒルそうなんです。ちょうどバブルの前なんですね。勢いのあるのは日本だというふうに認識しました。それからもう1つは、当時私の周りの人は、日本のことがわかる人が誰もいなかったんです。それならば私が誰よりも先に日本のことを勉強して日本に来れば、必ず成功のチャンスがあるんじゃないかと。そう確信して、3年生から日本語勉強しはじめました。

蟹瀬日本語ってよく言われる通り、なかなかマスターするのが時間がかかる。当時日本がそれほどよく知られてなかったとすると、どういうかたちで来日されたんですか。

来日

ヒル最初は当時の文部省、英語を指導する助手として日本にきました。最初は岐阜県に配属されまして、それで岐阜県で英語の先生を通して、日本のことを覚えました。30年前の岐阜県なんですけれども、他の外国人はほとんどいなかったんです。27日連続他の外国人に会ってなかった時期がありましたね。そういうことで初めて外人という言葉、マイノリティとして初めて認識しました。

想像、創造

ヒル想像と創造。想像は英語で言うとクリエイティブ、創造はメイク。考えることを実行する。単純なんですけれども、1回考えたことはどう実行するか、それはやはり自分の性格なんです。頭がよい人は何でできないかと考えすぎます。壁は必ずぶつかります。自分で壁を壊そうとすると、自分のこぶしが絶対痛いですね。壁にぶつかったら、乗り越えたり、潜ったり、何か考えてそれを工夫して毎日やってきました。

蟹瀬今、クリエイティブとおっしゃったけれども、考え方だけではなくて、いろいろな行動においても非常にクリエイティブティがあるということでしょうね。

その後バブル崩壊の影響を受け、会社を売却することを決定。1999年、ヒルはオークローンマーケティングに入社した。

白石さてこの番組では3つのキーワードで進行させていただきます。まず最初のキーワードは何でしょうか。

キーワード① 商品寿命がない

ヒル「商品寿命がない」です。

蟹瀬商品寿命というと、短いとかね、それからすごく長いとか聞きますけど、「商品寿命がない」というのはどういう考え方なのでしょうか。

ヒル当然、永久年数ですよね。それと品質も担保しなければなりません。私たちショップジャパンはヒット商品から、ロングセラーを育て上げることはいつも考えております。例えば、こちらのご商品、トゥルースリーパーですね。これ2003年から発売したんですよ。睡眠に関してですね、こういう悩みを持っているお客様が、2003年から今日までは変わっていません。それから2007年にスチームクリーナーの市場をつくりました。それが「シャーク」シリーズなんですよ。

蟹瀬蒸気が出るクリーナー、これも画期的でしたね。

ヒルはい。より効率的、それから簡単に除菌ができる、化学生物は使わない、こういうクリーニングの目標は、これは別に年々変わることはありません。

蟹瀬潜在的に買うほうのニーズがあるわけですよね。

ヒルそうなんですよ。それからもう1つ言えるのがフードプロセッサー。より簡単に食事のできる商品なんですよ。簡単に動けると、早くて簡単にできるから。

白石どの商品も1度は聞いたことがありますし、どれも長くヒットされていますよね。

ショップジャパンはお客様が主役――ロングセラーの作り方

ヒルどうしてヒット商品からロングセラーになったか。これはお客様が主役だというふうに考えているからだと考えております。私たちの考え方は、お客様の悩みをどう解決の提案ができるかどうか。実際に商品を使いこなして、ライフスタイルの変化をもたらしてハッピーになる。使いこなすためには、私たちがテストマーケティングする。そして、お客様からいろいろな意見をいただくという流れが必要です。

蟹瀬とすると、フィードバックが来ますよね。

ヒルはい、そのことによって、どういうふうに改善すると、お客様がよりハッピーになるか。それをいつも考えております。例えシャークシリーズからは2つのアクションとりました。1つはお客様から「どういうふうに使ったらより効果的ですか」ということ。そこからお掃除ガイド作りました。
2つ目も同じようなことですが、子供をもっていらっしゃるお客様が、子供のいたずらを心配して、それからチャイルドロックを付けて、そうすると安心して使えますよという風にしました。

蟹瀬いまおっしゃったポイントって、すごくマーケティングでは大事で。顧客が「価値がある」と認めないと、当然買わないわけですよね。物の価値とかサービスの価値は、お客様が決めるんだと、ここのところを日本の場合忘れていたケースが多かったですよね。

ヒル最近よく聞かれるのは、ネットで安いものがたくさんあるのに、どうして長く売れるんですかということです。お客様が求めているのは、安いものではないんですよ。価値のあるものでも、安く買って使いこなせなければ高く感じます。でも使いこなしているものだったら、いくら払ったのかそんなに気にしないと思います。
私たちがずっとお客様の声を聞いて、寄り添ってどんどん改善していきますので、お客様の声からロングセラーが生まれます。

蟹瀬今のお話を伺ってですね、ロングセラーがなぜ生まれるのか、どうやって生まれるのか、秘密というのが少しわかった気がするのですけれども、そういうところに到達した、そういった考え方に至るまで、何か経験があったのですか?

ヒルまずこの商品から。

ビリーズブートキャンプ

白石あ、覚えています。

ヒルこれから勉強しました、実はこの商品の失敗から教訓してきました。

白石これ失敗されたんですか。すごく有名ですよね。

蟹瀬売れたでしょう。

白石みんなやっていましたよ。

ヒル商品が非常によかったんですよ。いい商品でした。ビリーも私の友人なんですけれども、非常にすばらしい人でした。ただマーケティングの失敗はありました。

蟹瀬どういうところですか。

ヒル3つの大きな反省点がありました。

白石3つですか。

ヒルはい、短期の問題、中期の問題、長期の問題が3つありました。短期の問題は何なのかというと、残念ながらたくさんのお客様から頂いた言葉は、「買いましたよ、1回やってやめました」。1回やってやめたということに関しては、非常に期待が大きかったはずなのですが、私たちがみなさんが使いこなせるような、サービスの工夫が足りなかったんです。

失敗した理由①サービスの工夫が足りなかった――ビリーズブートキャンプの失敗

ヒル最初から少しハードでしたので、みなさんが少しでも、慣れてない方でも少しずつできるようになる、そういう工夫が1つは足らなかったです。中期的な問題は愛用者の使い方です。愛用者に対しては、Before・After理想の身体になったことを上手に見せることができました。

失敗した理由②継続的な魅力を伝えられなかった――ビリーズブートキャンプの失敗

ヒル2つ目としては、継続的な魅力が見せることができませんでした。

蟹瀬そこまで考えるんですね。僕なんか腹筋がバンバンと6つぐらいに分かれたら、OKみたいな、ああはいきませんでしたけれども。

ヒル私たちが使いこなしてハッピーになるのは、考え方、気持ち、精神が変わった、内心的も大事です。

蟹瀬それが大事なんですね。

ヒル3つ目の問題。これ見てください。ショップジャパンはどこにもありません。

失敗した理由③会社・ブランド名の知名度アップに繋がらなかった――ビリーズブートキャンプの失敗

ヒル長期的には私たちがショップジャパンの知名度アップには繋がりませんでした。

蟹瀬ビリーは有名になった。

ヒルビリーは非常に有名になったんですけれども、私がショップジャパンを経営しているハリー・A・ヒルと言いましたら、みなさんが「何ですか、ショップジャパンって」。でもビリーの会社と言ったら「ビリーは知ってる」、非常に私たちにとって、もったいない3つのところでした。

蟹瀬今ご説明がありましたけれども、何が必要だったのか、今振り返って思いますか。

ヒル私のマーケティングとブランディングの調和が必要だと思います。もう1つのマーケティングとブランディングの調和と、お客様の声を活かした商品やサービスの改善ですね。

出演者情報

  • ハリー・A・ヒル
  • 1963年
  • ニューヨーク州
  • ニューヨーク州コーネル大学

企業情報

  • 株式会社オークローンマーケティング
  • 放送日 2015.02.15
  • 業種:
  • 流通・小売
  • 本社:
  • 愛知県
  • 所在地住所:
  • 愛知県名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル14F
  • 資本金:
  • 14億6753万円 ※2015年4月現在
  • 売上高:
  • 666億4900万円(2016年3月期)
  • 従業員:
  • 正社員:481名 パート社員等:541名 (2016年2月29日現在)

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