ロングセラーは「顧客のライフスタイル」が決める!?売れる必然の秘密とは
株式会社オークローンマーケティング
代表取締役社長
ハリー・A・ヒル
家電、フィットネス、美容、レジャーまで。私たちの暮らしを豊かにする商品を数多く提供し、ショップジャパンブランドを掲げ事業展開しているのが、株式会社オークローンマーケティング。ショップジャパンでは数々のヒット商品をつくるだけではなく、それをロングセラー商品に育て上げ、提供し続けている。今回は独自の戦略でショップジャパンを運営する、オークローンマーケティングの代表取締役社長ハリー・A・ヒルの成長戦略に迫る。
ヒルはい。実はですね、CMがベースとして、そこからインフォマーシャル、29分の番組も作っていますし、新聞の広告もありますし、イベント、いろいろなことを作っています。
先のメディア軸も考えますけれども、メディアによってやはりお客様が少し違います。伝統的なテレビショッピングになりますと、50歳以上の方がコールセンターに電話します。
40代50代はPCにいきます、20代30代はスマホにいきます。そちらの方にメッセージを変えてオファーも少しずつ変えています。
部分最適を今までやって来ましたけど、全体最適を作ることにより更なる任意がアップして全てのチャネルの売上げと利益の増加ができました。
蟹瀬このオムニチャンネルという言葉ができあがって、それで成功した商品というのは具体的にあるんですか。
ヒルこれはショップジャパン、ワンダーコアです。
蟹瀬知ってる?
白石知ってますよ、今有名ですよね。
ヒル伝統の部分最適は、今年は大体50万台を販売する想定はできました。これが非常に自信のある想定だったんですね。ただ、全体最適をやることによって、結果としてですね、各チャンネルの売上げ利益の増加ができて、結果的には100万台突破しました。
蟹瀬目標の倍ですからね。
ヒルしかしそのクリエイティブでデータで分析して、そこで仮説を立ててテストマーケティングやった上に拡大しましたね。もしオムニチャンネルがデータで分析することができなければ、お金をかけてどういうふうにやるかとなると、怖くてできません。こういうふうにデータで測定モードと、想定モードを作ることによって、私たちがどんどん全国展開目指すことができました。
蟹瀬気分じゃなくて合理的なんですよね、そういう意味ではですね。
白石では続いてのキーワードは何でしょう。
ヒル「平等=不公平」です。
オムニチャンネル戦略で他社との差別化をはかり、ショップジャパンブランドで大ヒット商品を生み出したハリー・A・ヒル。次なるキーワードは、「平等=不公平」その核心に迫る。
蟹瀬大変面白いお話を伺ってきているんですけれども、3つ目のキーワード、またこれも不思議ですね。
蟹瀬その平等とは、どういう平等なんですか。
ヒルそちらのほうは私たちが多様性を大切に考えております。
蟹瀬多様性という意味ですね。
ヒル多様性ということに関しては、特に平等に扱わないことは、正直社員に発信する言葉ではなく、われわれ経営層、またマネージャーは必ず考えなければならないことです。みなさん平等に扱うと、成果をより考えることじゃなくて、単なる管理しているだけになります。人によってスキル、生産性、それぞれが違います。そうすると我々のマネージャー、経営層の責任は、会社成功できる環境、一人一人の社員が、一番スキルが出し切る環境をつくる義務です。そういう意味では勤務外で全部平等にしなくてはいけないとか。
蟹瀬お給料も全部平等って。
ヒルそういうことは成り立ってないと思います。私がある程度は日本語が上手だと思いますが、全く会社で日本人と同じ扱いされると、私の要素が絶対出ないです。簡単に言うと稟議書、精算書、いろいろなこと自分で書かなくてはならないならば、1日の半分ぐらいそれでなくなってくるかもしれません。
蟹瀬本来の能力、活かすべき能力がそこで出せないような状況が出てくるということなんでしょうね。
一方でアメリカ型の成果主義の弊害みたいなのも、日本ではずい分指摘はされるようにもなりましたよね。本当に能力があると評価された人はそれでいいでしょうけど、能力があっても能力がないと評価されたらどうなるのか、つまり誰がどういう基準で評価するのかというところが、能力主義の一番難しいポイントだと思いますけれどもね。
ヒルおっしゃる通りだと思います。会社が成果を正しく評価するためには、透明性がとても大事だと思います。公平で一人一人評価して、公平な透明な目標。それからマイルポスト、それを出すことによって、その主義は成功すると思います。うちの社員の中でもときどき、これが不公平だというふうには指摘はあります。どう平等にするかではなくて、どういうふうに一人一人よりよい成果、より会社がどんどん長くいることができる、これが尊重していますので、あくまで会社の文化ということで。
白石このような取り組みによって、社内ではどのような変化がおきましたか。
ヒル結構よい変化があったと思います。私が社長になって2006年なのですが、より多様性を大切にする文化によって、当然女性の社員と、外国人の社員も増えています。結果として優秀な人材は継続的にいるようになってきました。もう1つ大事なことは、よい人材がいやすい、成果出してない社員もいにくい、自然的に離れていきます。こういうことは非常にいい効果がありましたね。
2006年から取り入れられている、平等=不公平の文化。これにより女性社員が大幅に増えたという。
こちらは出産を経て、現在育児をしながら時短勤務をしている女性社員だ。
齋藤実際に同僚に迷惑をかけることもありまして、それで少し自分で気に留めていたら、上司に時短勤務も非常に貴重な経験なので、それを自分が経験したことで発信していけるような立場になればいいというような助言を受けました。出産前に比べて一社会人としての視点と、母親としての視点という双方の視点で、物事を考えることができるようになって、業務時間中は仕事に集中して、業務時間が終わった瞬間に、頭の中に子供の顔が浮かびまして、すごく今は充実しています。
この他にもオークローンマーケティングでは、スポーツ競技に取り組む女性社員を、会社を上げて支援している。
藤岡普段の練習とか普段の活動は週末が主になってくるので、そこまで平日の業務に支障をきたすということはないんですが、しかし、国際大会とかに出場する機会があると、長期で会社を休まないといけないということで、周りの方の協力体制というか、業務の面でもそうですけれども、気持ちの面でもとても応援してくれているなというのが伝わってくるので、そういう部分では自分もモチベーションが上がりますし、ワークライフバランスを重要視するという考えの中で仕事させていただけるというのは有難いと思っています。
かつては優秀な人材が応募(入社)して来なかったが最近はより優秀な人材が集まるようになった
ヒル昔ですけれども、なかなかいい人材を応募することも難しかったので、最近よりいい人材も「ショップジャパンに入りたい」という人が増えていると思います。
蟹瀬働き甲斐が感じられる職場が、だんだんできあがってきた、特に女性がこれだけ数が増えてきたということでしょうか。白石さんどうですか。
白石そうですね、御社の取り組みは、女性としても嬉しく思いますし、今までも優秀な人って男女問わずたくさんいたと思うのですが、その中でも女性が活躍できる、環境が整っているというのが、パワーになって成果にも繋がるんでしょうね。
蟹瀬男性も頑張らなければいけないんですけどね。
ヒル成果を出す環境は、みなさん生き生きしています。私が社長になってから、女性の管理職も40パーセント増えて、今21パーセントです。それが確実に比例しているかどうかわかりませんけれども、同じ時期では売上げは400パーセントアップしています。
蟹瀬それは結果に繋がっているという感じはしますけれどもね。さてもう一方で、今グローバル化というのが、どこへ行っても叫ばれるわけです。そうすると海外展開ですね、これも1つの重要なポイントとなってくると思うんですが、このあたりはどのようにお考えでしょうか。
ヒル私たちはまずショップジャパンは日本で評価していただいて、そしてアジアへ展開したいと考えております。実際に面白いのが、ショップ「ジャパン」としてアジアに行っています。
蟹瀬ショップ「ジャパン」がついていると。
ヒルどうしてだとよく聞かれるのですが、私たちが最近いろいろアジアに行ってアンケートとか、分析していますが、以前から日本、ジャパンの品質は高いところに評価されています。私たちの考えとは少し違います。日本の会社が当然信頼しているけれども、特に日本人の消費者、すごくアジアの人は信頼しています。日本人の消費者がこれがOKだと言っているならば、私も欲しいですと、私たちがショップジャパンで日本で成功したもの、選りすぐったものをアジアに紹介する、それを今目指しています。
蟹瀬そういっていただけると、嬉しいですけれどもね。だけどお話伺っていて、ものの考え方というのを、紋切り型のかたちではめ込まないで、本当に新しいクリエイティブなものの発想、そこからそれもデータに裏打ちされたという、これやはりビジネスを本当にうまく動かしてきているんだなという気がしますけれども、まだ夢半ばということですから、ぜひこれからも頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
ヒルありがとうございました。
蟹瀬ありがとうございました。サンキュー。
ヒル私からのメッセージは「青空を見上げよう」です。ただ上を見上げるだけだと、そこにあるのは「天井」です。そこにはチャンスも、成長するための機会もありません。私の母はいつも私に青空を見るように教えてくれました。天井の上の青空には、夢やチャンスがたくさん広がっています。若者のみなさんへ「青空を見上げよう!」これが私からのメッセージです。
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