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「チェコの音楽で日本人を幸せにしたい」と、日本に定住を決めたチェコの作曲家がいる。
岐阜県各務原市(かかみがはら)に住むダニエル・フォルローさん(53)。
1970年に開催された大阪万博のとき、チェコで放送された日本特集を観て以来、日本のことが忘れられず、2003年、満を持して日本へやってきた。
きっかけになったのが、当時留学生としてチェコに滞在していた小島千絵子さん(37)。
ダニエルさんと恋におちて結婚し、日本へ導いた。現在、小島さんの故郷である岐阜県を拠点に音楽活動を展開している。
小島故郷の人たちは心から歓迎してくれました。現在、数多くのコンサートなどを開催し、ダニエルを応援する会もあるんですよ。
と小島さん。彼女はコンサートの企画から作詞作曲のマネージメントまでを一手に手がけるマネージャーでもある。
小島私は大したことはしていません。ただ、ダニエルは私をとても大切にしてくれるので、彼の夢をかなえたくて日々、がんばっています。
と笑う。
小島さんはダニエルさんの音楽を広めるために、機関紙「倶楽部ダニエル通信」を作り、編集長をしている。目的はダニエルさんを支援する人々へ彼の近況を伝えることだが、その内容が機関紙の枠を超えている。名だたる著名人が続々と登場しているのだ。
たとえばチェコ共和国親善大使を務める歌手の岩崎宏美さん。
ダニエルさんと同じ年の生まれで、ダニエルさんがチェコの音楽院に入った年に歌手デビューを果たした〝不思議な縁〟を背景に、ダニエルさんと語る様子が掲載されている。
また、大蔵流狂言師の茂山宗彦さんと、チェコ語の狂言師オンジェイ・ヒーブルさんとの三者対談も掲載されている。チェコでは狂言が人気を集めているらしく、両国の文化についての熱い論議が興味深い。
小島狂言は室町時代から脈々と受け継がれてきた日本の伝統文化です。音楽を学んできたダニエルが日本に惹(ひ)かれたように、日本とチェコはどこか引き合うものがあるのかもしれません。
ダニエルさんの活動は音楽ばかりではない。
クリスマスにはサンタクロースに扮装(ふんそう)して地元の子供たちにプレゼントを届けに行く。
まるで外国の絵本から抜け出たようなダニエルさんのサンタクロース姿に、子供たちは大喜びという。
東日本大震災で多くの子供たちが傷ついた今年、小島さんはダニエルさんの音楽で子供たちを癒(いや)したいと考えている。
小島音楽にも感動にも国境はありません。私はダニエルとともに、一人でも多くの日本人に感動を与えたいと思っています。
今年のクリスマス、ダニエルさんのサンタクロースが全国に出没するかもしれない。
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- 公開日 2011.11.11
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