働き方改革大激論!今後、日本の経営者と職場環境づくりはどうあるべきか?
青野 慶久(サイボウズ株式会社 代表取締役社長)
芦田 敏之(税理士法人ネイチャー国際資産税 代表税理士)
残業、給与、定年問題、育児休暇など、日本企業はいまだに前時代的な体質を脱却できていないのが実情だ。今後、従業員と企業はどのような関係を築いていくのか、経営者はどうあるべきなのか、についてをサイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久と税理士法人ネイチャー国際資産税 代表税理士 芦田敏之の両名を招いてそれぞれの思いを語ってもらった。日本の働き方の未来とは?
ネイチャーの制度を社員はどのように利用しているのか話を聞いた
(インタビュー:税理士法人ネイチャー国際資産税 国際部 相続事業継承・M&A戦略グループ マネージャー 梶原正太郎さん)
梶原かなり普段忙しいので、フレックスではあってもやはりけっこう仕事、仕事、という感じがあって、忙しくてもこれが終わればもう少しで長期休暇だと、モチベーションはむしろ上がるかなと思います。非日常的なところの休みになりますので、普段とは違う体験ができますから、逆に休みで学んだことを活かして、新たな仕事に活かすためにも非常に良いなというところです。
社員絶対に9時、絶対に5時と決まっていると絶対そこに来なきゃいけないので、自分の調整できる範囲が少なくてストレスが溜まってしまったり、疲労が抜けきれなかったりするんですけど、急ぎの大きい案件があって残業してしまったと思ったら、来週もまた同じ時間に来なくてはいけないと言うわけではなくて、朝はゆっくりちょっと遅起きしたり、早く帰ってみたりとか、そういうことができるのでストレスが減ったり余裕ができたり、そういうところはやっぱり1番大きい効果かと実感しています。
(インタビュー:税理士法人ネイチャー国際資産税 国際部 相続事業継承・M&A戦略グループ コンサルタント 權田洋介さん)
權田勤務時間中にですね、勉強時間を設けることができまして。例えば、8時間のうち、1時間を勉強に使うことができますので、かなり自分の能力の向上に役立てるといったところでございます。勉強の時間制度を利用していない時においては業務でやってきたことを簡単調べるだけでしたので、業務以外のことを勉強できていなかった部分がございまして、勉強することによってやはり自分のキャパがあがりますので余裕ができますね。やはりお客様からどんな質問が来ても答えられるようなところでできているのかな、というところで、余裕が生まれてきております。
蟹瀬企業としてのメリットはどこにあるんですか?
芦田離職率と、あと働いている人の満足度。家族の一員としてこの人はこの制度を導入したら楽しいか楽しくないかで考える。そのときに、そのコストは会社として持ちこたえられるだけの負担があるものなのかというものは冷静に判断する。それが持ちこたえられて、その負担よりも働いている人の満足度っていうか幸せ感が高いならば、すぐに導入する。
蟹瀬青野さんところは時代の変化に追いつきながら制度を変えてったというところがあるんでしょうけど、制度っていうのは後追いになってきますよね。その辺のところはどうやって対応されているんですか?
青野とにかくメンバーの意見を、聞いてすぐやると。「時間」「場所」はやったんですけど、その後に来たのが「複業」っていうのが来まして。「サイボウズで働きながら他で働きたい」とか言うんですよ。「何と言う失礼なやつだこいつは」と思ったんですけど、まぁそうは言っても辞められるとかなわないですから。「じゃあ複業いいよ」ってやってみて、そうしたらいろいろな効果が出て、今はどっちかと言ったら私も複業推進派で。「みんな複業やれやれ」って言っています。
サイボウズで社員として働きながら、複業として農業法人で働いている社員に話を聞いた
(インタビュー:サイボウズ株式会社 社長室 チームワーク総研 事業企画部(兼務) 中村龍太さん)
中村嫁が農家の娘です。で、自宅が農家です。「僕のスキルとか今までの経験を通じて何か面白い農業ができればいいな」と思ってた、というのがベースの背景です。ITをやりながら農業やると言うので、たとえば農業講演をやってくれとかですね、農業のコンサルをやってくれとか、っていう別の複業もまた来てますし。農業関連の人脈はたぶん、サイボウズだけにいたら全然拡大しなかったんですけれども、べらぼうに大きくなってきていると感じます。家族の会話も増えました。ITをベースにした話は食卓では何も盛り上がりはしませんよね?当然、わからないので。だけど、今日たとえば「人参どうだった?」「茄子作るけど播種したの?」みたいな話から始まるわけですよ。すごく、家族のコミュニケーションが増えたというふうに言われていますし、僕も楽しくなりました。
蟹瀬複業の方が面白くなってそっちの会社に行っちゃうというリスクもありますよね?
青野あります。カレー屋さんを複業でやっていて面白くなって奥さんと一緒にほんとにレストランをつくっちゃった人、いますしね。ただ、それはそれでまた良いお付き合いができたりしますし、逆に複業ができるからサイボウズに入社したいと言う人の方が圧倒的に多いので。もちろん出て行く怖さはあるんですけれども、入ってくる子のリターンを考えれば全然大丈夫ですね。
青野「育自分休暇」というんですけれども、「育児」ではなく「育自分」で、自分を育てるために6年間はサイボウズ以外の仕事をしていいよと。戻ってきたかったら戻っておいでと。その時に辞める時に6年間有効のパスポート渡してですね。10人ぐらい戻ってきてるんですよ。面白いですよね。そうすると、いろんなところで経験してやっぱりそれでもサイボウズで働きたいと戻ってきてくれますから。人脈も広がってるし、スキルも全然社内では得られないものを持って帰ってきてくれるので。出ていって戻ってこないことももちろん多いですけれども、それでもサイボウズに少し思いを持って外で働いてくれていますから。そこで人を紹介してくれたりもしますし。自分が転職していった会社でサイボウズの製品を導入してくれたりもしますし。
蟹瀬じゃあ、その複業とか他者に例えば人が流れていってしまうと言うこと自体は青野さんから考えて、プラスの方が多いという?
青野プラスの方が多いですね。囲い込もうとするからこそみんな出て行きたがる。逆に、囲い込まない、自由にしていいよと言うと社内にいても社外にいてもみんなロイヤリティー高くサイボウズと接してくれる。
蟹瀬なるほど。
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