潜在患者数は530万人！まだ世に知られぬタバコと関係がある生活習慣病とは

宮川　賢者の選択 Leaders、ナビゲーターの宮川俊二です。

ドーキンズ　ドーキンズ英里奈です。

宮川　今回は肺の生活習慣病として、世界的に注目されている病気の啓蒙活動をする、ある医師の取り組みに迫ります。

公益社団法人日本医師会―1947年全国の医師の自由意思による社団法人として設立。
以後、医道の高揚、医学および医術の発達、並びに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進することを目的に、様々な活動や提言を行っている。
国民のための安全・安心な医療の実現を目指すのは、日本医師会 副会長 今村聡。今村は日本医師会 副会長でありながら、COPD啓発プロジェクトの理事を務めている。COPDは現在世界的に注目されている病気。

今村　COPDは主に喫煙による肺の生活習慣病です。まずはCOPDという病気を知ってください。

もしかしたら、あなたもCOPDかもしれない。肺の生活習慣病COPDとは？

ドーキンズ　それでは、本日のゲストをご紹介します。公益社団法人日本医師会 副会長 今村聡さんです。よろしくお願いします。

今村　よろしくお願いいたします。

宮川　今日は肺の生活習慣病でありますけれども、これはどういう病気なのか、じっくり伺いたいと思います、よろしくお願い致します。

今村　よろしくお願いいたします。

氷山の一角　COPDとは？

ドーキンズ　先生は日本医師会の副会長でもいらっしゃいますが、今回は一般社団法人COPD啓発プロジェクトの理事としてお話をお伺いしたいと思います。
さて、冒頭のＶＴＲでも紹介がありましたが、COPDは肺の生活習慣病ということなんですが、具体的にはどんな症状が出るんですか？

今村　症状の前にですね、まず肺の役割っていうのは、人間が生きていくためには酸素が絶対に必要です。だから空気中から酸素を取り込んで、そして体の中で酸素を使って、そこから出てきた二酸化炭素を外に出すと。機能を障害するには大きく分けて2つのタイプがあって、一つは肺が硬くなってしまって、十分に膨らまないために、外から空気を吸い込むことができない。これ「拘束」って言い方をしています。もう一つは、膨らむんだけれども、今度それが上手に出て行かない、出にくくなる。これは「閉塞」っていう言い方をしています。
COPDは、閉塞性の病気で、肺の中に空気がどんどん溜まっていってしまって、肺が膨らんじゃった状態になっています。そうすると、結局新しい空気を取り込むことが、できにくくなってくるという病気ですね。

ドーキンズ　どういう原因で起きてしまうんですか？

今村　その原因の9割が喫煙なんですね。やっぱり喫煙という生活習慣から起こってくる肺の病気っていうことで、肺の生活習慣病というふうに言っています。

宮川　患者の数だとどれぐらいでしょうか？

今村　2011年で22万人ぐらいと言われています。これは多いと思われるかどうかなんですけど、世界的にいうと、決して多い数字ではないんです。それはですね、実は潜在的に530万人ぐらいの方がいるんじゃないかと言われているんですけども、その方たちがきちんと診断を受けていないために、みかけの数字は22万人ということで、治療を受けている方がそのぐらいいらっしゃるということです。
だいたい40歳代で8.5％ぐらい。60歳代になると12％ぐらいあるので、平均で押しなべて言うと、60を超えると1割以上の方たちが、COPDなんじゃないかというふうに推計されているわけです。

4つの頭文字　病気の由来

ドーキンズ　素朴な疑問なんですが、「肺疾患」と言われたら肺の病気ってすぐわかるんですけど、「COPD」と言われるとどうしても何の病気だか分かりづらいですし、あと覚えるのもちょっと大変なんじゃないかなと思うんですが、なぜ「COPD」と呼んでいるんですか？

今村　これは世界的に共通の呼び方なんですね。肺の病気って急に起こってくる病気と、それから慢性的に続いている病気があって、この病気が慢性的に続いているので、まず慢性というところの頭文字をとってCHRONIC（慢性）でCと、OBSTRUCTIVE（閉塞性）でO、PULMONARY（肺）でP、DISEASE（疾患）でDになっています。だからCOPDという呼び名になっています。

ドーキンズ　英語の意味がわかっていれば、ちょっとはわかりそうですね。

今村　そうなんです。だから英語の意味がわかっている人、そして医学の知識がある人だとすっと頭に入るんですけれども、一般の方たちに言葉、アルファベットの4文字を頭の中に記憶するのは大変難しいのかなというふうに思っています。