日本の老舗製油メーカーが
目指す「小さくて強い会社」
その世界戦略とは
太田油脂株式会社
代表取締役社長
太田 健介
太田油脂株式会社は、1902年に愛知県で創業し、1930年から製油製造業に事業転換を行った老舗製油メーカーだ。その技術力と質は高く評価され、宮内庁や伊勢神宮にも献納されるほどだ。代表取締役社長 太田健介はもともとやっていた音楽活動と経営に相関性を見出し、経営戦略にも取り入れている。その大胆かつ綿密な事業展開は、日本のモノづくりメーカーの道標になる可能性を秘めていた。
蟹瀬 ここまでは原料だとか、それから技術だとか、そういうお話を伺ってきたんですけれども、やっぱりそれを生かしていくためには、当然人材っていうことが必要になってきますよね。そのあたりはどういうふうにやってらっしゃるんですか?
太田 最近積極的に取り組んでいるのが、部門間を超えたプロジェクトチームを組みまして、そこによって、商品開発を一緒にやったり、それから、工場見学の受け入れチームを発足したりということで、なるべく接点を増やすことで、社内のコミュニケーションをよくする、そういったことを心がけてやってます。
こちらは太田油脂のファン作りをテーマに作られた、あぶら部(A・BU・LOVE)。各部署から若手女性社員が集まり、様々な活動を通じて、社外への情報発信を行っている。この日は、地域の小学生が工場見学に訪れるという。
あぶら部メンバー 今日はこちらにいるメンバーでご案内しますので、何かわからないことありましたら、どんどん質問してもらえればと思います。
十数人ずつ3班に分かれ、工場見学。油を製造する仕組みをクイズ形式で紹介するなど、小学生が楽しめる工夫がされている。
あぶら部メンバー この下で瓶に充填する作業や、ラベルを貼る作業が行われています。この外の小窓から覗いてみたいと思います。
坪井 あそこで入ってるね。
生徒 あ、来た!入ってる!
生徒 すげぇ!
そして、最後は実際に自分たちで油を搾る圧搾体験。およそ60分の工場見学は終了。見学を終えた子どもたちに感想を聞いた。
坪井 今日の工場見学は何が楽しかった?
生徒 ごまを搾って油にするのが楽しかったです。
坪井 やってみてどうだった?
生徒 最後の方だったから重かった。
坪井 重かったんだ!
(インタビュー:幸田町立坂崎小学校 教諭 佐伯 優斗さん)
坪井 今日の工場見学はいかがでしたか?
佐伯 やっぱり学校の中だけじゃなくて外に出ることによって、経験できることもたくさんあるので、そういうのが一人一人ができたのがいいかなと思います。
(インタビュー:生産本部 岡崎工場 製造第2グループ 生産管理第2担当 永田 敦子さん)
坪井 今日のアテンドはいかがでしたか?
永田 そうですね。工場の中って割とすごいたくさんの人が働いてるんですけども、働いている人の人数の多さ、あとは機械の動きとかですね、やっぱり皆すごい関心持って聞いてくれたので良かったかなと思います。皆さん、良い体験ができたと思ってもらえたら嬉しいです。
坪井 今後は、どのような人に入社してほしいとお考えですか?
太田 当社の特徴は、1年目2年目からある分野を任されて、そしてチャレンジできる。やはりここは当社の強みとして、ますますそういう方が来てほしいなと思ってます。
こちらは小包装タイプのえごまオイルのドレッシング。この商品を開発したのは、入社2年目の女性社員。
(インタビュー:開発・マーケティング本部・研究開発グループ 添田 愛理沙さん)
坪井 この開発は、何年目の時に始めたんでしょうか?
添田 1年目から開発をしておりまして、だいたい1年ぐらいで商品化になりました。
坪井 入社1年目からこの開発を任されたんですか?
添田 そうですね。
坪井 プレッシャーはありませんでしたか?
添田 プレッシャーは大きくて、それで原料の調達から、レシピを作るまで1人ってことで、本当に試行錯誤をしながら行いました。
東京支社に勤務するこちらの社員は、入社2年目から東アジアを中心に海外営業を担当。
(インタビュー:営業本部 maruta事業部 販売担当(東京駐在) 岡本 朋泰さん)
岡本 香港と中国を担当させていただいておりまして、本当に最近1、2年の話なんですけれども。やはり中国に関しては富裕層が日本の総人口よりも多いというところで、非常に大きなマーケットでかつ需要があるというところでございますので、世界に目を向けて最近は営業の方をしております。本当に若手の内から責任のある仕事だとか、チャンスを与えてもらえるような会社だというふうに感じます。
蟹瀬 企業が成長していく上で、当然資金力が必要になりますし、知名度も高めていくっていうようなことになると、大抵の場合は上場を目指すわけですね。あるいは本社機能を東京に移すと。このあたりはどのようにお考えなんですか?
太田 東京に本店を移すとかですね、それから上場をするっていうことは考えておりません。やはり創業の地であるというところで、それがあって今まで育てていただいた。それは地域あってのものなので、地域とのコミュニケーション、お祭りやったり、工場見学会をやったり、これは地方の地域の中小企業の役割としてはすごく大切なことで、雇用以外にもそういった地域コミュニケーション、地域の文化を作ってくっていうことは、ローカル企業として重要な役割だと思って、今後も続けていきたいと思ってます。
大きく成長する必要はない。しかし止まることは許されない。小さくて強い会社。それが太田油脂という会社。
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