常識破りのイノベーションで経営刷新 斜陽化のクリーニング業に成長戦略


時代刺激人 Vol. 305

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

トヨタ生産方式をヒントに「eクローゼット」で季節平準化狙う

大半のクリーニング店は、顧客が洗濯物を持ち込んでくるのを待つ「客待ちサービス」が多い。中畠さんはそこの発想が全く異なり、攻めの姿勢なのだ。モノが増えて収納スペース確保に困る都市マンションなどの住人の生活状況をしっかりとつかみ、冬物衣料のクリーニング引き受けと同時に、その洗濯物を半年間、無料で倉庫保管して預かりましょう、というのだ。この意表をつく経営発想が経営行動の原点にある。

中畠さんによると、トヨタ自動車の生産管理方式に学び、それをヒントにクリーニング需要の高い春秋期に比べ、閑散な夏冬期の稼働率を上げるため、半年間の無料保管での季節の平準化を思いついた。その際、10万着を倉庫保管できる体制をつくり、パーコードをつけ倉庫から洗濯物を取り出すピッキングシステムなどデジタル化対応も進めた。これらが顧客ニーズと合致、引き合いが多く大成功だ、という。

宅配ネットクリーニングサービスを全国展開

常識破りの極めつけは、宅配インターネットクリーニングサービスだ。宅配大手ヤマト運輸、それに中畠さんが全国行脚で提携にこぎつけたクリーニング企業52社の2500店舗と連携しての全国サービスがそれで、カギはインターネットと宅配だ。
中畠さんによると、顧客からのネットでのオーダーがベースだが、喜久屋のコールセンターへの電話でもオーダーを聞く。提携するヤマト運輸に連絡して集荷を依頼、そして中畠さんの確保した全国連携のクリーニング店網のうち、顧客が住む最寄り店でクリーニングしてもらう。最後はヤマト運輸が配送し、最大4日間で終える、という。

宅配集配料がクリーニング料金に上乗せされ割高になる懸念があるが、喜久屋は1回の利用額が3000円以上ならば集配料を無料にしているそうで、クリーニング店に持ち込むよりもメリットはある。現に、1992年をピークにクリーニング業界の斜陽化が進んでいるのに、宅配クリーニングは右肩上がりだ、というから驚きだ。

全国ネットワーク網のスケールメリットが他企業を誘発

面白いことに、喜久屋の取り組みに電力会社、アパレルメーカーやサッカーのJリーグ、大手スーパーなどが顧客取り込みを意識して提携を申し入れてきた。あるアパレルメーカーは洋服購入時にポイント付与と同時に、喜久屋のクリーニングサービスをつけた。電力会社も自由化でスイッチングという他電力からの取引先変更が実現した場合、ポイントを顧客に付与し、喜久屋のクリーニング代に活用できるようにした。

これら企業は、喜久屋の全国クリーニングネットワークにスケールメリットを認めWIN・WIN効果を求めてのものだ。中畠さんは「同業他社が喜久屋のプロジェクトに共同参画してくれたことで全国ネットワーク網が生まれ、スケールメリットが出た。これが異業種企業や顧客との共創を可能にした」と述べる。斜陽化など、どこ吹く風だ。

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