遺伝子と免疫の力で、がん治癒を目指す
シカゴ大学
医学部教授
中村 祐輔
がん患者の遺伝子を調べ、最適な治療法を探る「オーダーメイド医療」がいま注目を集めている。その先駆者とも言えるのがゲノム医療の世界的権威であるシカゴ大学、医学部教授である中村祐輔。彼の研究が、がん治癒への未来を拓く。
蟹瀬賢者の選択リーダーズ。ナビゲーターの蟹瀬誠一です。
ドーキンズドーキンズ英里奈です。
蟹瀬今回は、ガンの治癒を目指し個別化医療を進める、ある研究者の取り組みに迫ります。
中村私は、ガンを治すということをゴールに研究してきましたし、今やもうそれは、現実的視野に入っていると思います。あと10年、20年すればガンは慢性疾患になるくらい、ガンの治療は変わってくると思います。
ドーキンズそれでは、本日のゲストをご紹介します。シカゴ大学医学部教授、中村祐輔さんです。よろしくお願い致します。
蟹瀬どうもよろしくお願い致します。
中村よろしくお願い致します。
蟹瀬先生、ガンはね。本当に日本で国民病と言われるくらいになりましたから。やはり、日本とアメリカの最先端の情報を今日は教えていただきたいと思います。よろしくお願い致します。
蟹瀬さて、冒頭のVTRでですね。ガンの治癒を目指すと。完全に治すということですよね。そういう日というのは、本当に来るのでしょうか?
中村1980年代になって、ガンが遺伝子の異常で起こるということが分かりました。いろんな技術の革新もあって今は、もう簡単に遺伝子が調べられるようになり、個々の患者さんで起こってきている遺伝子の異常が分かって来ましてね。それに応じた薬が作られるようになり、以前と比べれば今では50%以上の患者が治っています。それがだんだん治癒率を上げて行くと、そう感じています。
ドーキンズ遺伝子がポイントなんですね。
中村我々の持っている遺伝子は、年を取るごとにどんどん異常を積み重ねていって、あるレベルを超えると細胞の増殖に歯止めがかからなくなるんですよね。それがガンという状態になるわけです。
人体を構成する細胞は、遺伝子によって細胞の入れ替わりや増殖などが制御されている。本来、必要な細胞は必要に応じて増減するが、遺伝子の傷ついた異常な細胞は無制限に増えたり周囲に広がることで人体に悪影響を与える悪性腫瘍を形成する。これがガンである。
中村ある種の白血病などは、遺伝子の異常が分かって、それに基づいて薬が分かるようになりました。そのため、今や高血圧や糖尿病と同じ様な慢性疾患の様な形で治るようになってきています。
蟹瀬じゃあ、効率良く治療が出来るということになるんですかね。
中村そうですね。かつてガンの治療は、ガンも叩くけれども、とにかく正常細胞も叩いてしまって。それで強い副作用が出ていました。それが、原因に基づいて薬を作ってガン細胞だけを叩くという時代になってきたわけです。
蟹瀬中村先生は、このゲノム医療を専門にされているということなんですけれども、具体的にはどのような治療になっていくんでしょう?
中村ゲノムというのは、我々が親から子へ受け継いだり、あるいはそれぞれの細胞の中に含まれている遺伝子の総称を言います。私は、1990年の半ばからオーダーメイド医療という言葉を使っていたんですけれども、病気の性質、ガンの性質は一人一人の患者さんで違うということがわかりました。一人一人の患者さんの性質を見極めた上で、その薬を選んでいくと。プレシジョンっていうのは、正確にっていう意味で今はオーダーメイド医療っていう言葉がプレシジョン医療という言葉に変わって非常に広く使われるようになったんです。やっぱり一人一人にあった治療法を提供するという形で、どのような形で研究し、どのような形で患者さんに還元するのか考えながら研究しています。
蟹瀬そんな中で遺伝子検査を行うメリットを整理するとどういうことになるんでしょう?
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