BUSINESS FLASH
徹底した〝体づくり〟を経験した元プロボクサーが造る「食酢」が人気を呼んでいる。
和歌山県岩出市の蔵元「九重雑賀」の社長、雑賀俊光さん(43)。
16年前までリングに上がっていた元プロボクサーである。
雑賀➖➖高校生のときにボクシングを始め、東京の大学に通っていたころには東京の代表選手にも選んでいただきました。いずれ実家を継ぐことになっていたのですが、それまで精一杯、戦いました。
と雑賀さん。
「勝つことがすべて」というボクシングの世界では、体づくりは何より大切な〝仕事〟。
勝つために自分の体を徹底的に管理したという。
雑賀➖➖ボクシングでは減量がよく注目されますが、減量はあくまでも勝つための手段です。食べる量を減らしてもスタミナを落とさず、体のキレを研ぎ澄ましていくには、どの時期にどのような食事をとらないといけないかを意識していました。ボクシングを通し、食べることの大切さを知りました。
28歳で引退して家業を継いだが、以来、「より良い酸を食卓へ」をテーマに、食酢のもつ「酢酸」や日本酒で仕込んだ梅酒の「クエン酸」などを通して「食べることの大切さ」を伝えていくようになった。
そして誕生したのが、現在、全国から注文が絶えない「柚子寿司召し酢」。
和歌山県南紀地方出身の母親が造った寿司酢が好評だったことを受けて発売した商品で、地方の食文化を残したいとの思いを込めた。
それが国にも認められ、「中小企業地域資源活用促進法」に基づく「地域産業活用事業計画」にも認定された。
発売してまもなく口コミで評判に。
「柚子の皮が入っている酢は珍しい」「この酢を使うと、寿司からほのかに柚子の香りが漂い、寿司酢の甘味と柚子の皮の酸味と苦味のバランスが絶妙」…などなど。
雑賀➖➖実はこの寿司酢、フランスにも輸出しているんです。柚子の皮を使った酢はドレッシングにもなるんですよ。私たちの蔵で造った食酢がフランス料理にも使われているというのはうれしいですね。
そして昨年、「原材料からの一貫造り」を実現するため、農家と契約して「特別栽培の米づくり」を始めた。
現在の家業が「酒蔵」なのは、酢の原材料である酒粕づくりを始めたからだが、それだけでは納得できなかったのだ。
雑賀➖➖自ら手にかけた米で、どんなおいしい日本酒や酢ができるのか…。
そして何より、より良い酸を通して、飲むことと食べることの楽しさを知ってほしいです。
プロボクサーの体づくりの知恵とノウハウが今、雑賀さんの手によって、多くの人たちの健康づくりに生かされている。
企業情報
- 公開日 2011.09.02
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