エネルギー転換という時代の節目にさらされた、プラント建設企業の戦略と組織作り
日本建設工業株式会社
代表取締役社長
笹岡 智充
戦後、日本の爆発的な経済成長を支えてきたのが電力だ。日本建設工業株式会社は発電所の建設、保全業務をメイン事業とする。これまで数多くの発電所を計画、施工してきたそのノウハウは建設業界の財産といえる。しかし、エネルギーの在り方が見直される昨今、発電所建設の見通しは決して楽観視できるものではない。代表取締役社長 笹岡智充はいかに会社の事業を転換し、社員と一丸となって会社を未来に残すのか、その舞台裏に迫る。
唐橋 専門性の高い現場で働くには、技術はもちろんですけど、人材力っていうのも必要になると思うんですが、その辺りは?
笹岡 私共が仕事するときはお客様、それからメーカーの方、それから私共、それから協力会社の人、みんなでチームを組んで仕事をするわけですよね。工事場によりますけども、多い場合は300人とか400人とか、全員が同じ仕事をさせるわけじゃなくて、それぞれ分かれていくわけですね。配管をする人たち、機器を分解点検する人たちとか、いろいろ分かれていきますが、1人のうちの社員が大体10人ぐらいをまとめていかなければいけない、ということで、みんなをまとめる力、それから決断力も必要ですし、それから責任感も必要になってきますよね。そういう案は人間のいろんな技術を支えている、人の力というのが非常に大事になってくるので、その人間力を高めるために、いろいろな教育を会社の中で取り入れています。
笹岡 入社して最初の2ヶ月半は、会社の全体が分かるように集合教育をします。集合教育が終わった後にそれぞれ配属します。配属された部署で先輩の人の下について、その部署の特化した教育を受ける。ブラザー制度といいまして、1年間は先輩の下に付く。2年目は担当補佐制度ということで、2年目になりますと、部からそれぞれの作業現場の方に配置される場合が多くあります。
メーカーさんとかお客さんによっては、ルールが違いますので、そこのローカルルール、個人的なローカルルールを覚えながら、そこの現場のやり方を覚えていくということで、担当補佐制度というのを約1年間。ですから合計2年間ですね、そういう教育をするように会社の中で示しています。いろいろな悩み事とか、それから困ったこととか、人生的な相談もできるようにケアしています。
唐橋 マンツーマンだとやっぱり違います?メリットがありますか?
笹岡 そういう仕組みに変えて、成長度が少し速くなったというふうに感じております。
こちらは、鹿島臨海工業地帯にある火力発電所。日本建設工業は、発電タービンを回すための蒸気を発生させるボイラのメンテナンスを担当している。こちらは、担当補佐制度のもと、若手社員の指導係を務める入社20年目のベテラン社員。
(インタビュー:鹿島北共同作業所 近藤 弘崇さん)
近藤 自分がやっぱり昔苦労してきたことってのは、後輩も同じように苦労すると思うんで。相手が今どういうレベルにあって、どういうものの見方をしてるのかっていう目線で見てあげれば、その子が今苦労してそうなところは、自分でも分かるのかなと。あと、あくまでも一から十まで全部教えるんじゃなくて、やらせてみてそこを失敗してもフォローしてあげる。見捨てるんじゃなくて、フォローしてあげることが一番大事じゃないかなと。
指導を受ける若手社員は、この担当補佐制度についてどう思っているのだろうか。
(インタビュー:鹿島北共同作業所 鶴島 史章さん)
鶴島 昔ながらの見て覚えろっていうようなスポーツ界系な先輩ももちろんいますし、また手とり足とり丁寧に1から教えてくれる先輩もいらっしゃいます。失敗しても、俺が責任取るから、恐れずに自分の考えるようにやってみろということは、すごい印象に残ってます。
日本建設工業の仕事ぶりについて、発注元の方に話を聞いた。
(インタビュー:鹿島北共同発電株式会社 設備技術部 機械グループマネージャー 金原 宏彰さん)
金原 日々の着工の手続き、工事前の段取りというところから入って最後の検収ですね、工事の仕上がり状況というものをきちんと相互で確認して、確実に運転に入れるように、お互いにコミュニケーションを取りながら、仕事をしていってもらっています。はい。
現場の責任者でもある鹿島作業所所長に、若手社員に伝えたいことはどんなことなのか、話を聞いた。
(インタビュー:鹿島北共同作業所所長 石毛 誠一さん)
石毛 ウチらはボイラマンだけど、要は病院のお医者さんと一緒ですよね。ここ悪いなぁとか診断しながらね、悪いところを見つけて定修(定期修理)で直す。やっぱりボイラはかわいいですね。そういうのを若い子に現場で実践して教えているようなやり方ですけど。
唐橋 ボイラがかわいいとおっしゃってましたね。
笹岡 はい。私もやはり建設で携わった現場とかですね、あるいは大きな苦労をしたような現場、そういうのは非常に思い出に残りますね。それでやはり定検が始まって、それで機器に直接、近づけるような時には、「よく1年間頑張ったね」と機械を叩いたことはありますね。
唐橋 そうなるんでしょうかね。
笹岡 このプロ意識っていうのが、やはり出てくると気持ちが高ぶるということですかね。そういう気持ちをみんなに持ってもらいたいなと思いますね。
唐橋 こういう教育制度を通じて、どういう社員に成長してほしいと思われてます?
笹岡 トラブルをなく工事を進めるということが大事ですね。それで効率的にどういうふうにやれば、物事を進めていかれるかということを、自分でしっかり考えながら進めていける、そういう社員になってもらいたいなというふうに思います。
唐橋 笹岡社長は、日本建設工業のトップとして、どういった会社を目指されていますか?
笹岡 はい。安全・安心・ノートラブルをずっとお客様に提供し続けていけるような会社。社員にとっては、日本建設工業が魅力のある会社としていきたいと思っています。
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