電力危機対応蓄電システムが面白い 大型ベンチャー、エリーパワーに期待


エリーパワー株式会社
代表取締役社長
吉田博一

時代刺激人 Vol. 187

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

 時代の先を見据えて、6年前の2006年に69歳で大型の電力貯蔵用のリチウムイオン電池を開発生産する大学発ベンチャー企業を立ち上げたら、しばらくするうちに東日本大震災、福島原発事故で電力供給不安問題が起き、一気に脚光を浴びる大型ベンチャー企業になった、という興味深い話がある。

時代の先を見据えて、6年前の2006年に69歳で大型の電力貯蔵用のリチウムイオン電池を開発生産する大学発ベンチャー企業を立ち上げたら、しばらくするうちに東日本大震災、福島原発事故で電力供給不安問題が起き、一気に脚光を浴びる大型ベンチャー企業になった、という興味深い話がある。
時代刺激人ジャーナリストにとって、とてもワクワクする話だ。高齢での起業は高齢社会の先進モデル例という点で、興味深いが、それ以上に、この話にはドラマがいろいろあり、今回は、この先見性のあるたくましい企業経営のフロントランナーぶりにスポットを当ててみたい。

旧住友銀副頭取を最後に転身、
時代先取りの大学発ベンチャー起こした吉田さん

エリーパワー株式会社社長の吉田博一さんがその話題の人だ。もともと銀行勤務経験の長いバンカーだが、旧住友銀行副頭取を最後に住銀リース経営に転じた。そこでは医療機器などリース資産の産業廃棄物処理の難しさで環境問題にめざめ、さらに慶応大学に転出後、電気自動車の開発プロジェクトにかかわるうちにリチウムイオン電池問題に遭遇した。

ここからがすごい話の始まりだ。吉田さんの企業経営者としての先見性は、電気自動車用のリチウムイオン電池よりも、まずは電力貯蔵用の蓄電池の開発生産が重要と考えたことだ。6年前に、現在のような電力の危機、供給不安時代がやってくるとは想定していなかっただろうが、電気は流しっ放しで在庫貯蔵ができない、という固定観念にチャレンジし、電力の消費量が落ちる夜間に電池貯蔵し、電力消費のピーク対応に充てるシステムを作り上げるべきだ、と構想して取り組んだ。
そして大学ゼミの若手研究者らと一緒に自ら出資して大学発ベンチャーを起業し、苦労しながらも見事成功した。人生の第4コーナーというと失礼だが、この第4コーナーで一気にフロントランナーに躍り出たわけで、異色どころか、本当に素晴らしい生き方だ。

毎日新聞時代から取材通じて知り合い、
ベンチャーの起業以降、ずっと活動支援

実は、私は、毎日新聞経済記者時代から取材を通じて、旧住友銀常務当時の吉田さんをよく存じ上げていた。とくに慶応大学教授に転じて、69歳という高齢にもかかわらず、年齢を感じさせない青年のような問題意識と情熱で、このベンチャー企業を立ち上げられてからは、その生き方に共鳴し、時代先取りの電力貯蔵用リチウムイオン電池というベンチャー企業について、ジャーナリストの好奇心で関心を持ち、活動を支援してきた。

ジャーナリストというのは、面白い職業で、取材で知り合った人たちのうち、志が高くて、それを実践している人に出会うと、その生き方に共鳴してしまい、取材仕事を離れて深くおつきあいすることが多々ある。吉田さんも、その1人で、その旺盛な問題意識、行動力もさることながら、69歳でモノづくりベンチャーを立ち上げるたくましさにファンになってしまった。誰とでも出会えるジャーナリストの特権であるとはいえ、私にとっては、かかわりを持つことによって、いい意味で足跡を残せるきっかけにもなった。

川崎工場に年産100万セルの電力貯蔵用リチウムイオン電池設備を
完成で見学

今回のコラムで取り上げるきっかけとなったのは、エリーパワーが6月13日、川崎市の工場で年産100万セルの電力貯蔵用の大型リチウムイオン電池を24時間、完全自動化で生産する最新鋭の大型製造設備の竣工式があり、「ぜひ、見てほしい」という吉田さんからの話もあって、見学会かつ竣工パーティに参加させていただいたからだ。

2年前の2010年に、同じ川崎工場に年産20万セル生産の蓄電池製造設備が完成した時点でも見学したが、今回は5倍の生産力を確保し、大量生産効果でコスト削減を図り競争力をあげると同時に価格引き下げを狙う、という経営の強い意志を感じた。また、エリーパワーが強みにするリン酸鉄を使った発火や発煙の危険のない蓄電池システムがドイツの世界的な第3者評価機関の安全性評価を得たことも強みになっている、という。

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