電力危機対応蓄電システムが面白い 大型ベンチャー、エリーパワーに期待


エリーパワー株式会社
代表取締役社長
吉田博一

時代刺激人 Vol. 187

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

 時代の先を見据えて、6年前の2006年に69歳で大型の電力貯蔵用のリチウムイオン電池を開発生産する大学発ベンチャー企業を立ち上げたら、しばらくするうちに東日本大震災、福島原発事故で電力供給不安問題が起き、一気に脚光を浴びる大型ベンチャー企業になった、という興味深い話がある。

電気自動車最大ネックはリチウムイオン電池と気づき、
量産化のコストダウンめざす

ところが、吉田さんによると、電気自動車は環境に優しいし、性能や安全性も抜群にいいが、問題は実用化に際しての展望がなかなか見えない。要は、装備する大型リチウムイオン電池が、試作の電気自動車の場合、当時、ケタ外れの2000万円もした、という。
そこで、吉田さんは大型リチウムイオン電池の低価格化のために、それに必要なプロジェクトを立ち上げる。それが現在の大型リチウムイオン電池につながっていくのだが、「このプロジェクトで、技術的な道が見え、量産化でコストダウンすればやれると言える段階に来たら、壁にぶつかりました」という。

「国内電池メーカー各社は、パソコンや携帯電話用の小型リチウムイオン電池を量産し、利益を上げていましたが、電気自動車用の大型電池に関しては、量産が見込めないとして、受注生産にしか応じてくれなかったのです。そこで、われわれ自身で電池をつくるしかないと、2006年、大学の研究室の研究者らと世界初の大型リチウムイオン電池専業メーカーをベンチャーでつくることにしたのです。それがエリーパワー社です」と。

吉田さん「私なりに“時代の目利き”があり、
蓄電池は重要と判断した」

吉田さんは「社長の私が当時、69歳で、電池の開発・生産という装置産業型の企業を立周囲は驚きましたよ。しかし大型リチウムイオン電池は間違いなく次世代のエネルギー源になるという私なりの時代の”目利き”がありましたから、自分では心配しませんでした」と、意外に楽観的だった、という。

それと面白いのは、資金調達に関しては、吉田さんがバンカーだったうえ、吉田さんの祖父が住友信託銀行の創設者の1人とあって、「住友一家意識」があり、それらの人脈を使えば、エリーパワーの資金調達はもっとスムーズだったかもしれない。ところが、吉田さんはあえて、住友グループを含む銀行、証券には世話にならないと決意。大型リチウムイオン電池の将来性を本当に理解する企業からのみ、資金を集めた。その出資に応じたのが、大和ハウス工業、エネサーブ、シャープ、大日本印刷、国際石油開発帝石、ミツウロコなどだ、という。

今は電力危機対応で蓄電池対応、
しかし電気自動車はいずれ、、、、

エリーパワーが取り組んでいるのは、電気自動車用ではなく、電力貯蔵用の蓄電池生産だが、そこはどうなのだろうか。吉田さんは、「大型リチウムイオン電池の量産化にメドをつけましたが、売れなくては何もなりません。現在の電力危機対応のみならず、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用には蓄電が必要になっており、その電力を貯蔵する蓄電池は間違いなく相当の需要が見込める。そこで、まずは、この分野で量産による低価格化を実現し、電気自動車向けについては時機を待とうという判断です」という。

確かに、エリーパワーは大型リチウムイオン電池に関して、技術的な問題以外に経営面でもかなりの問題解決に成功している。今後は、電力貯蔵できる蓄電池に、家庭用の100ボルトのコンセントをつなげば、電化製品が自由に使える。工事現場の照明用や災害時の緊急電源用など、用途は広いと吉田さんは期待する。吉田さんはいま75歳だが、まずは年齢を全く感じさせない、パワフルさがある。高齢社会の先進モデル事例の生き方と言って間違いない。

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