時代刺激人 Vol. 319
牧野 義司まきの よしじ
1943年大阪府生まれ。
ベンチャー企業がイノベーション交流で化学反応を
そんな矢先、東京虎ノ門ヒルズビジネスタワー15、16階にあるケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)東京がイノベーションを生み出すベンチャー企業の交流ワークスペースをめざしている、と聞き、さっそく取材を兼ねて見学した。ビルの2フロアをオープンな階段でつないだ合計6000平方メートルという広大なスペースに、さまざまなベンチャー企業、支援の弁護士&会計士の事務所、ベンチャーキャピタルなど250社が部屋を持って互いに交流、またカフェや共用ワークスペースも持つなど本格的なセンターだ。
文部科学省官僚OBで工学博士のジェネラルマネージャー、名倉勝さんによると、CICは米マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置く。2020年10月に日本センターをオープン後、面白いイノベーター企業が参加している。化学反応で大化けを期待したいという。
名倉さん自身、デフレ脱却できず30年も低成長の日本に強い危機感を持ち、変革のため大組織ぶっ壊し必要派の1人。このイノベーションセンターから日本を変えたい、という。
深圳市に勢い、日本は「デフレ慣れ」している状況でない
さて、私は今、本当に政治リーダーや企業経営者らが「デフレ慣れ」して状況に流されていることに、強い危機感を持っている。この状況がこのまま何年も続き、デフレ脱却が出来ず40年になったら日本が経済先進国とは到底、言えなくなる。場合によっては先進国クラブと言われるOECD(経済協力開発機構)からメンバー資格を問われる事態もあり得る。
数年前、私が米シリコンバレーと並ぶ世界のイノベーションセンター、中国深圳市を訪問した際、古い街並みの旧市街と並ぶ南山地区で、イノベーションハブの地区に先端テクノロジーや情報通信のベンチャー企業が入居する高層ビルが林立、それにリンクしたベンチャーキャピタルやアクセラレーターなどの企業がひしめき合い、また企業法務サポートの弁護士事務所がオフィス名をアピールしているのを目にして、経済の勢いが日本とは全く違うな、と実感した。数年たった今、深圳市はさらに勢いを増していることだろう。こうした動き1つをとっても、日本は「デフレ慣れ」している状況でない。いかがだろうか。
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