ビッグモーター事件、保険金水増し請求で利益かせぎ


時代刺激人 Vol. 325

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

自賠責保険料下げなどで損保も右肩下がりの経営リスク

ただ、損害補償問題への保険対応をビジネスにする損保会社にとって、今や自動車事故の自賠責保険がらみの保険ビジネスが、有望市場でなくなりつつある、という点だ。端的には、若者世代を中心に共有・共用のカーシェアリングが強まり、自動車保険に加入ケースが減ったこと、自動車の安全運転技術の高まりに伴って、ユーザーサイドから割高な損害保険料に関する値下げ要求が強まっていることだ。自賠責保険の保険料値下げもその1つだ。

今後、AI(人工知能)の進化で自動車の自動運転技術に対する安全度が高まれば、ますます損害保険リスクは減り、それはそのまま保険料引き下げとなって、損保会社に経営プレッシャーとなってくる。早い話が損保会社の経営は、かつてのような右肩上がり構図が描けず、逆に右肩下がりリスクが高まってくるのだ。BM問題で、損保経営の現実が見えてきた。

ガバナンス経営深化は重要だが、今後は品質経営をテーマに

BMの利益至上主義は、企業価値を上げることには何もつながらなかった。6000人ものBM社員は報酬や給与が同業他社よりも断トツに多かったそうで、利益稼ぎにこだわるトップの意向に忠実となる状況が見えてくる。そのBMで、保険金水増し請求という不正行動が起きのだから、ガバナンス経営とは全く無縁の企業だ、と言っていい。

そこで結論。企業ガバナンスを深化させることは間違いなく重要。ただ、今後は、企業統治という、経営面での統治や管理の意味合いが強い企業ガバナンスに代えて、品質経営に磨きをかけることをテーマにすべきだ。要は、エクセレントカンパニーとして、利益額を増やす量的な経営から、品性の高い経営、環境にやさしい経営などにベクトルを大きく変えることだ。品質経営は、ずっと以前から言われている経営目標だが、BM、ダイハツ工業事例を見ていると、経営の質を問う経営がますます重要テーマになってくる。いかがだろうか。

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