内向きの日本、メジャー大谷選手ら若手の活躍で変わるか?


時代刺激人 Vol. 328

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2024/8/30

日本全体に連鎖し世代交代のきっかけになればベスト

米メジャーリーグ野球での大谷翔平選手ら日本人選手のアクティブな活躍は全く見事だ。異文化が錯そうする米国で、人種を超えてあらゆる人たちを興奮させているのだから、素晴らしい。彼ら若手の行動は、今や内向き思考の強かった日本人を刺激しつつある。

パリ五輪で世界の強豪を抑えて金メダルをとった陸上のやり投げ、体操、レスリング、柔道、ブレイキン、フェンシングなどの若手世代の動きも同じ。どれをとっても素晴らしかった。この感動が日本中に連鎖し、世代交代のきっかけになれば、間違いなくベストだ。

健康被害が問われる小林製薬の前会長の企業私物化は驚き

そんな中で、冒頭から、世代交代がらみで、あまり楽しくない話を1つ。創業者一族の関与する企業の長老が、経営を私物化する問題が最近、判明した。その企業は、紅麹(こうじ)サプリメントで数多くの消費者に腎臓病被害などを引き起こし、企業責任が問われている小林製薬(山根聡社長、本社大阪)で、問題の長老は、小林一雅前会長のことだ。

小林氏は経営責任をとり会長職辞任の意向を示したあと、7月23日付けで特別顧問職に就いた際、事業再建へのアドバイス名目で、何と月額200万円の報酬を要求したのだ。同社規定では、顧問職の報酬は月額50万円なので、要求報酬額は4倍にあたる。その一方で、健康被害で企業責任が問われているのに、関係者によると、小林氏は「現場が対応する問題だ」とし、我れ関せずの姿勢だった、というから驚きだ。

創業者一族保有株の「数の論理」で経営ガバナンスが効かず

小林製薬の山根社長は8月8日の会見で、紅麹サプリ事業からの撤退を表明すると同時に、補償対応に関して「誠実に対応させていただく」と述べた。しかし、巨額報酬問題に関しては、社外取締役4人を含む7人の取締役会で、議論があったものの、最終的に承認した、という。企業経営ガバナンスは全く効かず状態だのだ。

前述の関係者の話では、社外取締役の中にガバナンス問題専門家の伊藤邦雄一橋大名誉教授がいたが、小林製薬の株式の30%を持つ創業者一族の中核に小林氏が隠然たる力を持っているため、賛成多数の「数の論理」で承認となった、という。本来ならば、長老の企業私物化に反発し、小林氏への特別顧問職解任決議といった事態に持ち込むべきなのに、取締役会は積極対応しなかった。消費者がこのまま見過ごすと思っているのだろうか。

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