今や社会分断など混迷の時代に、ネット上の虚偽情報も影響


時代刺激人 Vol. 329

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

日本は臆することなく同盟関係をベースにDEAL外交に対応を

交渉相手とのDEAL(取引)を先行させ、米国の利益、もしくは自身の利益のいずれかにつなげてしまう強引さは、トランプ氏一流のもの。とはいえ、政治リーダーの気まぐれな発想で、かつ、強引に行動されると、行政レベルで、端的には日米当局間で積み上げてきたことが、ぶち壊しになりかねない、そればかりか白紙に戻しゼロからの新たな対応、といった事態になる。その意味で、政治リーダーには冷静で、思慮深い行動が求められる。

日本は、第2期のトランプ政権に対し、どういった対応が必要なのだろうか。結論から先に申し上げれば、日本は、トランプ氏に臆することなく、日米同盟国の立場から主張することは主張し、DEAL(取引)外交と割り切って対応することが必要だ。

首脳同士でプライベートな関係構築&維持ができるかがカギ

とくに、トランプ氏が第1期時の安倍元首相との親交を大事にし、安倍氏が死去後の最近も安倍昭恵夫人を米国に招待してトランプ夫妻で会食した、というニュースを見て、個別の交友関係をつくりあげるだけでなく、その関係に日ごろから磨きをかけておくのは、重要なのだな、と実感した。その点で、首脳同士でプライベートな関係構築は重要だ。問題は、日本の政治リーダーに、その関係構築、そして維持がどこまでできるかがカギだろう。

最後に、日本の政治・経済リーダーの問題だ。冒頭に、日本の中間所得階層の弱体化などが心配、と書いたが、今、日本のリーダーたちが心すべきは、間違いなく人口の中核を担う中間階層がアクティブに活動する場づくり、次代を担う頼もしいリーダーづくりだ。

次代を担うリーダーづくりに関しては、日本のリーダーたちの責任は極めて重大だ。富裕層でもない、また、貧困層でもない、いわゆる中間所得階層が人口の中核になることがベストだが、その層に、重厚ともいえる厚みが出てくること、それらの人たちが常にアクティブで、知的好奇心いっぱいで、問題意識旺盛だったら、その経済社会は、外から見ていても活気に満ちて、思わず楽しくなるだろう。そんな経済社会をつくってほしい。

日本はまだ捨てたものでない、世代間交流で新エネルギーを

今の日本は、成熟社会国家と言えば、聞こえはいいが、課題が多い。ASEAN(東南アジア諸国連合)10か国には、新興国なりのさまざまな課題を抱えている中で、必死に上をめざすというハングリーさ、経済社会の旺盛な活力などがある。日本にはそれが欠ける。

重ねて言おう。日本は、まだまだ捨てたものでない。シニア世代が、自分たちで集まりや塊(かたまり)をつくってしまうのでなく、若い世代との交流、世代間交流の場を積極的につくり、自らの経験や体験を伝えるだけでなく、若い世代と情報共有してエネルギーをもらう積極さが重要だ。政治・経済リーダーたちは、その橋渡し役を担うことも必要だ。

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