「トランプショック」、高率関税はトリプル安リスク


時代刺激人 Vol. 330

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2025/5/24

日本は米大統領に対し毅然対応が必要、対米関係見直しも

ドナルド・トランプ米国大統領は、実に人騒がせな人物だ。グローバル世界に影響を与える米国の政治リーダーとは、とても思えない。強引ともいえる政策を平然と打ち出して主要国リーダーを翻弄するばかりか、世界の金融資本市場を混乱に陥れる。日本は米国と同盟関係にあるとはいえ、米国大統領の対応に問題があれば、毅然とした姿勢で臨み、状況によっては、日本として政治・経済的に揺さぶりをかけることも必要だ。

日本を含めた主要国への高率関税政策が最たる例だ。トランプ大統領は、自身で「関税は美学」と盛んに誇示、そして米国の対外貿易赤字を大胆に減らすため、高率関税を武器にDEAL(交渉・取引)に持ち込み、米国にだけ有利な「米国ファースト」の保護主義政策を全面に押し出した。その強引さは、米国都合の身勝手なもので、反発を招くのは当然だ。

「高率関税が嫌なら米国に製造拠点移せ」は唯我独尊の発想

というのは、米国は、大幅な関税率引き上げで、貿易赤字の削減につながるが、その引き上げ分は関係国にマイナスに働き、大きな経済混乱をもたらした。しかも今年4月に株安、債券安、ドル安というトリプル安の「トランプショック」が現実化した。米国にとって誤算だろうが、関係国には重大な影響だ。米国の独善的な行動は、許されるものでない。

ところがトランプ大統領は「高額の関税支払いが嫌ならば、米国内に製造拠点を移し独自にビジネス展開すればいいでないか」と、半ば開き直りの姿勢だったため、反発が広がった。
グローバル展開する米国の政治リーダーとして、あまりにも思慮や見識に欠ける。

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