



高市政権にとっての課題はやはり円安問題への対応だ。海外諸国は円安による通貨価値下落で「弱い日本」視を強めており、そのまま日本経済の影響力低下、二流国扱いにつながりかねない。円安はプラス、マイナス両面があるが、通貨価値が相対的に安く弱いと、経済面で不利に働く。とくに、円安による輸入物価の上昇は国内物価高につながる。
正攻法でいくならば、強い日本経済に向けての政府の積極的な取り組みをマーケットに強くアピールし、政策の裏付けを明確に打ち出すことだ。高市首相は、官民あげての積極的な国内投資に加え、物価上昇率を上回る賃金引き上げを、と施政方針演説で述べた。民間企業が賃上げに協力し、個人消費増が経済成長につながる、という経済好循環に向かえば、「通貨安で弱い日本」脱却が見込める。問題は、そのシナリオどおりにいくかどうかだ。
高市政権が外交政策で問われるのは、中国対応もあるが、同盟国米国への対応が優先課題だ。日米同盟関係維持は基軸ながら、米国の政治経済の劣化状況から見て、過剰な対米依存を見直し、つかず離れずの関係にとどめることが重要だ。高市首相は、トランプ米大統領との関係強化が日本の国益につながる、との判断でいるが、今年3月の日米首脳会談では米国第一主義のDEAL外交に振り回されるリスクがある。日本は対米5500億ドル(約84兆円)の巨額の民間投資プロジェクトへの協力を表明し、自らの存在力を示すことだ。
ただ、私の考えでは、日本は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国を軸にした成長センターの国々との関係強化に軸足を移すことが戦略的に重要だ。
アジア諸国の大半は、かつての高度成長期の日本と違って、経済成長の果実を得る前に、人口の高齢化や高齢者介護などの社会課題に大きく直面し、ある面で苦境に立っている。日本の経験は、アジアにとっては、学びの対象ともいえる。そこで、日本としては、ASEAN諸国などの期待に応えて、しっかりとした経済社会モデルをつくり、それらに磨きをかけて、新興国向けの支援体制をとれば、成長アジアの社会インフラ向上につながる。日本は頼りがいのある存在ともなる。日本の生きる道はそこだ、と言えまいか。
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク