長期政権化が見えてきた高市政権、でも課題は山積


時代刺激人 Vol. 331

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

「通貨安で弱い日本」から脱却のため、高市首相は積極対応を

高市政権にとっての課題はやはり円安問題への対応だ。海外諸国は円安による通貨価値下落で「弱い日本」視を強めており、そのまま日本経済の影響力低下、二流国扱いにつながりかねない。円安はプラス、マイナス両面があるが、通貨価値が相対的に安く弱いと、経済面で不利に働く。とくに、円安による輸入物価の上昇は国内物価への波及につながる。

正攻法でいくならば、強い日本経済に向けての政府の積極的な取り組みをマーケットに強く印象付けることしかない。高市首相は、官民あげての積極的な国内投資に加え、物価上昇率を上回る賃金引き上げを、と施政方針演説で述べた。民間企業が呼応して賃上げに協力し、個人消費増が経済成長につながる、という経済好循環に向かえば、「通貨安で弱い日本」からの脱却が見込める。問題は、そのシナリオどおりにいくかどうかだ。

劣化する米との同盟関係を見直し今後は成長アジアに軸足を

高市政権が外交政策で問われるのは、中国対応もあるが、同盟国米国への対応だ。日本にとって、日米の同盟関係維持は基軸ながら、米国の政治経済の劣化状況から見て、過剰な対米依存を見直し、つかず離れずの関係にとどめることが重要だ。高市首相は、トランプ米大統領との関係強化が日本の国益につながる、との判断でいるが、今年3月の日米首脳会談では米国第一主義のDEAL外交に振り回されるリスクがある。日本としては対米5500億ドル(約84兆円)の巨額の民間投資プロジェクトへの協力表明で十分だ。

それよりも、日本は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国を軸にした成長センターの国々との関係強化に軸足を移すことが戦略的に重要だ。アジア諸国の大半が経済成長の果実を得る前に、人口の高齢化や高齢者介護などに直面している。日本の経験は、アジアにとって学習対象だ。日本が、それらの支援体制をとれば、成長アジアの社会インフラ向上につながり、日本は頼りがいのある存在となる。日本の生きる道はそこだと言えまいか。

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