

ご存じだろうか。岸田首相は最近の記者会見で、次のように述べている。「若年人口が急減する2030年代に入るまでの今後6、7年が少子化トレンドを反転させるラストチャンス」、「若い世代の所得を増やすことを含め、すべての子育て世代に切れ目なく支援していく。これまでとは次元の異なる少子化対策が、今こそ必要だ」と。
この発言部分だけを切り取れば、岸田首相は少子化を含めた人口減少問題に、やっと取り組むのだな、との評価になる。しかし私の立ち位置は全く異なる。日本が人口減少に転じたのは2008年。それ以降、ずっと減少を続けているのに、大胆な政策対応がなかった。その点で、15年間も人口減少を放置してきた政治の責任は実に大きい、と言いたい。
率直に言おう。政治や政府が大胆な人口減少対策を放置した結果、今、生産年齢人口と呼ばれる15歳から64歳までの中核担い手の人たちの間で問題が深刻化している。人口減少対応の少子化対策も重要だが、足元の人手不足対策も待ったなしの状況なのだ。
運輸産業の現場がその1つだ。長距離ドライバーの時間外運転には意外にもルールがなく、過重労働職場だ。そこで政府は、2024年から新たに年間960時間の上限を設定し、働き方改革につなげる、という。しかし長距離運送の現場では、この新ルールに対応すると大幅減収になりかねない、と最近、職種転換する動きが表面化、このため、ドライバーの人手不足によって、モノが運べず大混乱をもたらす「2024年問題」が危惧されている。
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