人口減少が見えていたのに放置、政治の責任は大きい


時代刺激人 Vol. 323

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。
2023/6/30

今や人手不足は深刻、少子化対策と同時に外国人積極活用も

ご存じだろうか。岸田首相は最近の記者会見で、次のように述べている。「若年人口が急減する2030年代に入るまでの今後6、7年が少子化トレンドを反転させるラストチャンス」、「若い世代の所得を増やすことを含め、すべての子育て世代に切れ目なく支援していく。これまでとは次元の異なる少子化対策が、今こそ必要だ」と。

この発言部分だけを切り取れば、岸田首相は少子化を含めた人口減少問題に、やっと取り組むのだな、との評価になる。しかし私の立ち位置は全く異なる。日本が人口減少に転じたのは2008年。それ以降、ずっと減少を続けているのに、大胆な政策対応がなかった。その点で、15年間も人口減少を放置してきた政治の責任は実に大きい、と言いたい。

ドライバー不足でモノが運べない「2024年問題」

率直に言おう。政治や政府が大胆な人口減少対策を放置した結果、今、生産年齢人口と呼ばれる15歳から64歳までの中核担い手の人たちの間で問題が深刻化している。人口減少対応の少子化対策も重要だが、足元の人手不足対策も待ったなしの状況なのだ。

運輸産業の現場がその1つだ。長距離ドライバーの時間外運転には意外にもルールがなく、過重労働職場だ。そこで政府は、2024年から新たに年間960時間の上限を設定し、働き方改革につなげる、という。しかし長距離運送の現場では、この新ルールに対応すると大幅減収になりかねない、と最近、職種転換する動きが表面化、このため、ドライバーの人手不足によって、モノが運べず大混乱をもたらす「2024年問題」が危惧されている。

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