行き過ぎた円安、日本は「弱くて安い通貨国」視される?


時代刺激人 Vol. 333

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

タブーと見られた米国債売却が選択肢、米国政府の了解は重要

日本経済再生のため、発想の転換による対応策が必要だ。その点で、まだ打つ手がある。

その1つは、日米同盟関係の維持という観点からタブー視されていた米国債(TB)売却も選択肢だ。政府は、外貨準備の形で米国債を大量に保有している。もちろん、日本政府が一気かつ大量に売却すれば、ドル急落を誘発し、米国政府の反発を招きかねない。このため日本側は米国政府の事前了解とりつけなど、政策協調が必要なるのは言うまでもない。

米国経済はいま堅調なので、事前に米国通貨当局と話し合い、それによって市場に混乱を与えない範囲での米国債売却で了解を得ればいい。この米国債売却によるドル売り・円買い策がうまく機能すれば、円相場は円高方向に改善される。

日本はゲームチェンジを、海外から円投資引き出す魅力策も

さらに、日本政府の「行き過ぎた円安」是正策として、海外からの対日直接投資を大幅に増やすのも重要な政策判断だ。税制面で際立った優遇措置を講じるのは当然だが、それ以上に、「日本は成熟経済に見合った新たな国づくりに取り組んでおり、投資価値がある」と、さまざまな国の投資家に思わせるような政策を講じ、大胆な対日投資を引き出すことだ。

まさに日本経済再生の魅力づくりがカギだ。これまでとは違った策を出せるように、政府、それに民間企業は大胆な発想の転換が必要だ。よく言われる「ゲームチェンジ」だ。

高市首相は「強い日本にする」との公言に沿って具体策を示せ

高市首相は「強い日本にする」と施政方針演説で語り、それに必要な策として「責任ある積極財政」を掲げた。しかし、「責任ある財政」部分と「積極財政」部分の整合性が依然としてとれていないため、金融市場関係者の間では、いまだに政策のかじ取りへの不信感が消えていない。

「日本成長戦略会議」の有識者メンバーの中には、「責任ある積極財政は、財政のバラマキではなく将来の成長への投資だ」という声も出ているが、この際、高市首相は問題を丸投げせず、自身の言葉ではっきりと「強い日本にする」ための具体策を示すことが必要だ。

それと、輸入インフレリスクを強めかねない、行き過ぎた円安に対し、どう歯止めをかけるのか、物価対策の観点からも、高市首相は政策判断を示すべきでないだろうか。

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