



日米間の金利差が円安を招いているのも無視できない。日銀は今年6月16日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%に上げたが、米FRBの政策金利の誘導目標は現時点で3.50~3.75%のため、日米間には、まだ金利差があり、ドル高・円安要因になっている。日銀は、物価安定のために金融政策を発動するもので、為替対応は論外、との立場を崩していない。
しかし、ベッセント米財務長官は、9月の日銀金融政策決定会合での利上げを期待している、といった見方が強い。その一方で、高市首相は、積極財政政策を打ち出している手前、日銀の利上げには冷ややか、といったことが政府関係者から出ている。その点で、「日銀が金融政策決定会合で、日米両国政府の動向をみながら、物価上昇対応から利上げに踏み切るかどうかだ。日銀は、金融政策発動が物価安定策のためで、円安是正で政策対応はあり得ない、という姿勢を変えていない。しかし利上げは、結果的に、日米金利差の縮小につながり円安是正にからむので、市場側からすれば、関心事だ」(金融市場関係者)という状況だ。
確かに、円安が長引けば、輸入品価格が円換算で跳ね上がり、国内物価押し上げにつながる。日米両国が協調しての円安是正に向けた為替介入は意味があるが、日銀利上げは、物価対策からも焦点になるのは間違いない。それにからめて、政府の総合的な輸入インフレ防止対策もますます重要になる。
円安は輸出企業の輸出競争力を高めてプラスという評価だったが、円高時に、輸出企業が生産拠点を海外に移し、現地ニーズに対応した生産体制に切り替え為替変動へのリスクヘッジが進んでいる。このため、日本企業にとっての最大懸念は、輸入原材料高への対策、端的には輸入インフレ対策なのだ。
とはいえ円安是正の抜本策は「安くて弱い通貨の国」からの脱却が最重要となる。要は、日本経済そのものを強くする方策を再構築する以外に手がない。経済のイノベーション力をフル稼働させる、世界中の国々から「日本はたくましい。高齢社会国化しつつあるのに、経済大国としての力強さを失っていない」といった評価を得るための対策を講じることだ。日本の現状は、その政策対応がまだ十分に出来ていないので、政府の責任は重い。
日本経済再生のため、発想の転換による対応が必要だが、その点で、まだ打つ手がある。
海外からの対日直接投資を大幅に増やすことだ。「日本は成熟経済に見合った新たな国づくりに取り組んでおり、投資価値がある」と、海外投資家に思わせる政策を講じ、対日投資を引き出すのだ。税制優遇で海外からの対日投資を引き起こすというよりも、魅力ある日本市場に持っていく構造政策がカギだ。
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