中国イノベーション都市深圳で数々サプライズ 日本が忘れていた成長への執着心などが随所に


時代刺激人 Vol. 301

牧野 義司まきの よしじ

経済ジャーナリスト
1943年大阪府生まれ。
今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

中国イノベーション都市深圳で数々サプライズ
日本が忘れていた成長への執着心などが随所に

香港のすぐそばにある中国の新興都市、深圳は今や北京・中関村と並ぶ中国のシリコンバレーと言われるほど、ベンチャービジネスが主導するハイテク・イノベーションセンターとなりつつある。
私は最近、その興味深い深圳に、日本商工会議所の「深圳メイカーズ・スタディツアー」にジョインし、イノベーションの現場を歩き回るチャンスがあった。私自身、20数年ぶりの深圳訪問だったが、極めて刺激的、かつサプライズなことが多かった。そこで、3回にわたって深圳の動向、また日本は何を学ぶかなどを短期集中的にレポートしてみよう。

まず、結論から先に申し上げる。深圳には、日本が長期デフレ経済に落ち込んで忘れてしまっていた経済成長への執着心、ハングリー精神、イノベーションに対するどん欲なまでの好奇心などが随所に感じられ、経済全体に勢いがあった。とくにインターネットを軸にしたデジタル社会を大胆かつ積極的に活用していた。日本はモノづくりの面で基礎技術をベースに技術開発力、品質管理力などの強みを持っているので中国に凌駕されることはないと、たかをくくっていたら、間違いなく負けるな、と思ったほどだ。

南山ハイテクパークにベンチャー企業が集中、ヨコ連携のエコシステムがフル稼働

すごいなと感じた例を挙げよう。深圳・南山地区のハイテクソフトウエア・パークがその一つだ。高層ビルが林立しIT企業のTENCENT(テンセント)などの巨大企業からベンチャー企業までが密集していた。ある高層ビルの前で、入居企業名を書いたボードを見て驚いた。ハイテクベンチャーのスタートアップ(起業)をサポートするアクセラレーター、インキュベーターとすぐわかる企業が名前を連ね、ビルが丸ごとハイテクソフトウエア関係企業の相互交流かつ連携の場になっている。近くには弁護士会館があり、ベンチャー企業向け法務サービスを支援する弁護士事務所が数多く入居していた。ベンチャー企業やそれに関与の人材、技術が集積し、ヨコ連携を図るエコシステムがフル稼働している状況だ。
今回ツアーで案内役を担った地元のメイカーフェア深圳運営委員会メンバー、高須正和さんによると、そのハイテクパークは、深圳市政府が主導して土地開発を進めた。完成した2015年6月に高須さんがお披露目のメーカーズ祭りに行った際、あまりに新設ビルが多いため入居者があるのだろうか、いずれゴーストタウンになるのでないかと危惧した。ところが1年とたたないうちに、さまざまなベンチャー企業が続々と進出、精華大学なども大学研究院やR&Dセンターづくりに乗り出し、あっという間に南山地区自体がイノベーションの中核センターとして大化けし、今や深圳の中核地域になった、という。

中央政府の「大衆創業・万衆創新」が弾み、深圳市政府の「孔雀計画」などがすごい

中国関係者によると、李克強中国首相が2014年9月の天津・世界経済フォーラムで「大衆創業・万衆創新(大衆の起業・万民のイノベーション)」を、と方針表明したことが中国経済のイノベーションに弾みをつけた。中でも深圳市政府は、この中央政府の方針に共鳴した。深圳にはモノづくりのサプライチェーンなどが出来上がっていたが、市政府は当時、大胆に独自の補助金を使い支援策を打ち出した。民間も積極的に呼応したという。
そのベンチャー支援策が際立つ。興味深いのは孔雀計画という高度専門人材、グローバル人材などの誘致策だ。ノーベル賞受賞者ら優秀人材には最高1人あたり研究補助700万元(円換算1億2000万円)を支払い、海亀組と言われる海外留学中の優れもの技術者らも積極誘致に乗り出しした。すでにかなりの人材を招き入れている、という。
このほか新世代情報技術(5G)、人工知能(AI)、医療、ライフサイエンス、ロボット、電気自動車、ウエアラブル端末、ドローンなどの技術開発型ベンチャー企業にはとくに積極支援する、といった内容だ。

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