



「円安は明らかに行き過ぎている」と思わず叫びたくなる歴史的な円安状況が最近、グローバル外為市場で起きていた。しかし日米両国政府が協調して15年ぶりの円買い・ドル売り介入を行ったことで、日本は「弱くて安い通貨」の国とみられかねない事態は回避された。
この円安は、外為市場で円売りが進み、今年7月下旬に一時、1ドル163.90円と、39年半ぶりの最安値を記録したことだ。1ドル80円を切る円高で大騒ぎになった時期に比べ、実に2倍の開きもある円安で、金融関係者の間でも行き過ぎだ、との声が出た。
当時、中東危機で「有事に強いドル」買いが進んでドル高となり、その裏返しで円安が進んだのは確か。しかし一部の投資家が「弱くて安い通貨」の日本円を投機材料に使い、それが過度な円安を引き起こしている、との判断から、日米両国政府が協調して円買い・ドル売り介入でブレーキをかけた。米国が自国通貨のドル売りに踏み切ってまで、同盟関係にある日本の円安是正に協調介入した効果は大きかった。一時、1ドル155円台にまで進んだ。この介入効果がどこまで持続するかだが、外為市場にインパクトを与えたことだけは確かだった。
日本政府は今年4月末から1か月間、11兆7349億円の巨額介入を行い円安の動きに歯止めをかけたが、円ベースで5円ほど円高に振れたのに、相場は、結果的に、介入前レベルに戻ってしまった。しかし、今回は、日本政府単独ではなく米国政府も協調して円買い・ドル売りで対応したことが大きい。「さまざまな思惑で投機的な動きをとる投資家に対しては、インパクトを与える」と金融市場関係者は述べている。
確かに、円買いの背中合わせのドル売り介入が巨額になれば、ドル基軸通貨国の米国の神経を逆なでしかねない。日本政府としても、さすがに大胆な為替介入を躊躇せざるを得ない。ところが、今回は、運よく?米国経済が堅調だったこと、また、米国政府が昨年9月の日米財務大臣合意をもとに、為替市場の不安定な動き、とくに今回の投機筋などによる思惑的な円安相場の是正のために積極行動に出たことが大きい。しかも米国政府は、EU外為市場でもユーロ売り・円買いで支援行動に出て、本気度を見せたのは効果があった、と金融市場関係者は語っている。
それに加えて、米FRB(連邦準備制度理事会)が日本政府保有の米国債を担保に、日本政府のドル資金調達に便宜をはかる仕組みをつくったことも大きい。日本政府の米国債売却によるドル売り・円買いで米国の長期金利が上昇するリスクを回避するため、FRBが、日本政府に対して米国債を売却しなくても為替介入のドル資金を調達できる枠組みをつくった。しかし、金融市場関係者によれば、米国政府の本音は、米国債売却による米国長期金利上昇への波及が米国内の住宅ローン金利上昇にまで及び、トランプ政権への反発につながることを避けようとした可能性が高い、という。
関連コンテンツ
カテゴリー別特集
リンク