“Rule of the Game”を掲げイノベーションを生み出すインキュベーターの戦略とは
ネスレ日本株式会社
代表取締社長役兼CEO
高岡 浩三
21世紀へのパラダイムシフトが急務の現代社会。あらゆる分野で真のリーダーの誕生が待たれている。リーダーは常に革新的である。日本アジアそして世界に展開するビジネスリーダーにその戦略と決断を問う。全ての選択にはフィクションに勝るドラマがある。ネスレ日本株式会社代表取締社長役兼 CEOの高岡浩三のリーダーアンドイノベーション賢者の選択とは。
高岡初めて業界でその食品売り場の中に家電量販店様で売ってらっしゃるような機械を実は置いていただいた。当初は正直申しまして反発もございました。といいますのは、まず機械を売った経験がない。
蟹瀬スーパーの方からの反発が?
高岡そうですね。まあそれとスペース、たくさん置くスペースがない。
蟹瀬それ大事ですもんね。
高岡そういうことでいろいろ我々もテストをしながらですね、どういう形で売っていくのが良いのかということをお客様と一緒に行って行った結果ですね、実は今では多いとこで一日に100台ぐらい。
蟹瀬そんな売れるんですか?
高岡はい。びっくりです。
長尾そもそも、もともとそういった機械を置いていなかった市場ですもんね。
高岡全くなかったですね。しかもですね、その100台を必ず店頭に置いていけないことはなくてですね、予約販売でもいいということがわかったんです。
蟹瀬なるほどそれだけだんだん知名度が上がってくれば。
高岡日本の機械が置いてあって、そのデモンストレーションをすればですね、お客様がその値段で買いたいと思えば、在庫がなければ、予約して次入った時点でまた来られると。
蟹瀬なるほど。高岡さんとね、時々こうお話をさせていただく機会があって伺ってると、そういうアイデア、例えば販売ネットワークとかね商品開発ともありますよね。こういうのというのは割と高岡さんの頭の中でできてくるんですか?あるいはなんかそういう開発チームがあってそこからアイデアで出てくるのか、どこからそういうアイデアが出てくるですか?
高岡それは両方です。ただ全社的にモットーにしているのは「rule of the game」を変えようと。
高岡これだけ日本のように非常に成熟した社会の中ではですね全産業が同じようにやっているビジネスモデルの中ではなかなか突出した成功というのは納めるのは難しいと思うんですね。だから逆に過去に成功したモデルであってもいっぺんそれを変えてみようという発想があればですね、逆にそういうアイデアが出てくる。
蟹瀬もうゼロからやり直すぐらいの気持ちということですか?
高岡そうですねはい。
蟹瀬あらゆる商品でその市場で成功しているときのひとつのキーワードだと思うんですけども、このブランドということに関しても高岡さんどのように考えてらっしゃるんですか?
高岡私自身もそうですしネスレ自身の考え方としては我々ナショナルブランドメーカーですけれども、我々の考え方はブランドはお客様が持っているという考え方なんですね。
蟹瀬と言うと?
高岡お客様の頭の中に刷り込まれているブランドでないと本物のブランドとは言えないということなんです。ですからお客様がそのブランドの名前ですとか形ですとかいうものを全てインプット、イメージも含めて出来上がっている。それだけが実は本当のブランドだとそのブランドをメーカーとしていくつ作れるかというものが勝負じゃないかなという風に思っています。
蟹瀬ネスレにおけるブランドマーケティングというのはいろんな商品がありますよね。それはどういう形で展開されてるんですか?
高岡いやもうワールドワイドではありとあらゆる食品をやっておりますので日本ではたまたまコーヒーのネスカフェ、それからチョコレートのキットカットがまあ非常によく目につくんですけど、実は水でいますとペリエ。イタリアンレストランに行きますとサンペレグリノ 。
蟹瀬サンペレグリノ。
高岡必ず出てきますね。全部ネスレ。
蟹瀬そうか、全部傘下にあるんだ?
高岡ペットフードもですね、実は猫が大好きなフリスキーというキャットフードも市場では日本で一番なんですね。調味料も例えばマギーブイヨンはご存知じゃないかと思うんですけど。これもネスレなんです。
長尾そうなんですか。
高岡ですからネスレはそのカテゴリの商品のブランドに対してものすごい投資をして、その市場の1番か2番を取るということが絶対的な本物のブランドの最低条件なんだと、ところがネスレという会社の名前に投資をしているわけではないので、結びつかないものが結構あるわけなんですね。
蟹瀬でもその一つの商品がまだブランドとしてちゃんと消費者に人気されてるということなんですよね?
高岡そうです。世界で10兆円近い売上が実はネスレあるんですけれど、その7割ですから7兆円の売り上げはたった30ぐらいのブランドで占められていると。
蟹瀬これってね、すごいことだと思うね。
高岡我々ミリオネアブランド、すなわち日本円で計算すると1000億以上のブランドを我々本物のブランドという風に位置付けて大事にしてるんですけれども、それが30しかないっていうのがすごい。私もそう思います。
蟹瀬ブランドが強いとやっぱり流通でもある種、強気でやれるというのあるんですか?
高岡強気ということよりもお客様の支持がありますので、いわゆる無理、ムラ、無駄みたいなものが市場にもしあるとすれば、それを変革したい時には自分のブランドが本物であることに対して自信を持って「rule of the game」を変えるというようなことは、やはりやりやすいんじゃないかなという風に思いますね。
長尾高岡社長に伺いたいんですけれども、 最近ジャンルを問わず有名無名どちらでもいいんですが気になる人物はどなたかいらっしゃいますか?
高岡最近気になる人物ですか?
長尾はい、 ニュースの中でとか。
高岡実は私経済同友会の方に入らせていただいてまして、その中の勉強会で実はアメリカ人のかたなんですけれどジョン・ウッドという実は「Room to Read」というNPOの主催者で。
高岡全米ではですね最も素晴らしい優れた慈善家の中の一人に選ばれて、ホワイトハウスに招かれた人物らしいんですが。私が驚きましたのは元々マイクロソフトに務めてられてエリートとしてですね仕事をされてたにも関わらず、たまたまプライベートで開発国に行かれてそこで子供達が本を読むと図書館がないと。
それにショックを受けられて、一念発起して全てを捨てですねそのNPOを立ち上げられて、世界中から古本を集められて寄付する。そういう新しい、寄付するといった時にお金を集めることを先に考えがちなんですけれども。もう読み古した本って確かにみんな持ってるわけで、それを全世界から集めて寄付をされるという新しいビジネスモデルを作られたということに対して非常に感銘を受けたんですね。
蟹瀬まあある人にとってはもうあんまり価値がないだけど、それが途上国の子供たちのところに行くとダイヤモンドぐらいの価値が出てくるということですもんね、本というのはね。
高岡そうですね。実はそれがありましたのでキットカットで寄付チョコというものを実はアイデアでいただいたんですけども。
蟹瀬寄付チョコ?
高岡はい。実はですねキットカットの商品、100円で売ってる商品を20円高くしてその10円20円分は買っていただいた方がある目的のために寄付していただくと。ですからネスレが寄付するのではなくてキットカットが賽銭箱みたいな役割をして、買っていただく方の善意を集めてそれをまとめて代表して寄付させていただく。
蟹瀬なるほど。
高岡キット願いかなう 、なんでそういう社会的な貢献をする意味でもできるんじゃないかと。それをジョンウッドさんから教えてもらったような気がしたんですね。
蟹瀬それはなかなか良い試みですよね。
高岡実は夕張メロンというのを作って夕張市が破綻した時に夕張メロン味を最初に作ったチョコレートがキットカットだったんですけど。
蟹瀬そうなんですか。
高岡その時に夕張メロン味をもう1回作って10円寄付金を募って高くして300万個ぐらい売れましたかね。
長尾私も買いました。
高岡そうですか、ありがとうございます。
長尾美味しかったです。
高岡ですから夕張市に少しは恩返しができたんじゃないかなと思いましたですね。
長尾そういったその企業の社会的責任というんですかCSRの面でもイノベーションされていると、いうそういう高岡社長なんですけれども、では伺いたいんですがネスレの次なる変革のキーワードは何でしょうか?
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