大組織病にはまず企業風土の改革を GEは企業文化変革に取り組んで成功


時代刺激人 Vol. 298

 グローバル展開するリーディングカンパニーは、さすがに取り組み姿勢が違う。学ぶことが多い。前回コラムで取り上げた「今や日本の大企業が壊れつつある」という問題提起について、うれしいことに反響があったので、アングルを変えて再度、取り上げてみたいと思った矢先、そのグローバルなリーディング企業の1つ、米ゼネラルエレクトリック(GE)に出会った。時代先取りする取り組みがあった上、大組織病に苦しむ日本企業にとっても参考になる事例があった。そこで今回は、それを紹介しながら、製造業現場で不祥事が続く日本企業がそれら企業から何を学ぶべきか、そのヒントが何かを考えてみよう。

 イノベーション研究を続ける企業経営者や大学教授らによる新経営研究会(松尾隆代表)の興味深い会合にチャンスがあって参加した時のこと。運よくGEジャパン社長兼CEOの熊谷昭彦さんの講演「次世代製造業に向けたGEの革新」を聞けた。その内容は刺激的で、ロジックもしっかりしており、私は思わずリーディングカンパニーは違うな、と感じた。

IoT活用の「製造業のサービス化」でGEは時代先取り変革、さすがリーディング企業

 熊谷さんによると、GEが現在、取り組んでいる企業変革は3つ。まず第1が「インダストリアル・インターネット」という、インターネットとモノやモノづくり現場をつなぐIoT(INTERNET OF THINGS)を活用した大胆な事業展開だ。端的には主力製品の航空機ジェットエンジンをこれまでのようにメーカー売り切りにとどめず、新たに、エンジンにセンサーをつけて保守管理チェックサービスを行うほか、エンジンの蓄積データをもとに燃費削減のための運航システムを提案、それらにとどまらずユーザーの航空会社向けにエンジン活用の最適化を盛り込んだトータルソリューションの提供やそのサービスを事業化したのだ。まさに製造業のサービス化だ。

 熊谷さんは「日本の製造業は生産性向上への関心が強いので、ピッタリのテーマだが、GEはいち早く、このサービス化がビジネスチャンスと考えた」という。日本では、日立製作所が高層エレベーターで同じような保守管理サービスを事業化しているが、GEはIoTをリンクさせるところに先見性がある。イノベーションへのチャレンジ精神がすごい。

「完璧なものをつくり世に問う」自前主義に決別、クラウド・ソーシング活用も見事

 2つめが、GEの世界450か所のさまざまな機器の工場をデジタルで切れ目なくつないでサプライチェーン化し、リアルタイムでグローバルレベルの生産効率化をはかったこと。それだけでない。熊谷さんによると、GEはクラウド・ソーシングというシステムを導入し、ジェットエンジンの開発部品を全世界にネットでオープンに公募した。当初、GE内部では「時間をかけて完ぺきなものをつくって世に出すのがGEの企業文化のはず」と反発が強かった。ところがインドネシアの若いエンジニアの応募アイディアが素晴らしく、採用に踏み切ったら大成功だった、という。それもクラウド・ソーシングの1つなのだ。

 大企業の枠組みにとらわれず、外部、それも世界中に技術の源泉を求めてオープンにしたところが何ともすごい。日本企業はまだ何でも自社で、という自前主義を捨てきれていないが、GEは、今やインターネットを活用して埋もれる外部資源活用の時代という判断だ。間違いなく大組織病に陥った日本企業と違って、時代の先を見ている、と言っていい。

著者プロフィール

  • 牧野 義司
  • 1943年
  • 大阪府
  • 早稲田大学大学院

今はメディアオフィス「時代刺戟人」代表。毎日新聞20年、ロイター通信15年の経済記者経験をベースに「生涯現役の経済ジャーナリスト」を公言して現場取材に走り回る。先進モデル事例となる人物などをメディア媒体で取り上げ、閉そく状況の日本を変えることがジャーナリストの役割という立場。1968年早稲田大学大学院卒。

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